パワースポットの力って?

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高橋秀実

パワースポットとは和製英語で、日本人が考え出した概念。世界基準に合わせて広域を無理やり意味づけた昨今の世界遺産よりもずっと面白い。ところが実際に出かけてみると、私は何処にもまったくパワーを感じなかった。感じないどころか、歩き疲れて眠くなったりする。

磁場が狂っていると聞いた山に登ると、方位磁石がぐるぐる回ったのだが、私自身が回っているからだと気が付いて、激しい脱力感に襲われたりした。

そもそもパワーとは何なのか?原点に立ち返るべく、物理学の本を読んでみることにした。しかし、用語に慣れる事はあっても、どうしても腑に落ちない。随所で「ん?」と疑問を覚えても、分かったふりをしなくては前に進めない。分かったふりが積もって自らを偽るような在悪寒にさいなまれた。

物理学とは人間の創作なのだ。自然現象に対して首尾一貫する説明をひたすら求めており、その為に様々な約束事を決めているのだ。それも単に約束の上の事なのに一度決めてしまえば、それからは、いつもこれを用いなければならない。
光速は不変、エネルギーは保存されるなどの法則もしかり、約束に約束を重ねて理解する。理解不能に陥りそうだが、知識には理想的な極限があるそうだ。しかもそれを、客観的真理と呼ぶと開き直っている。物理学とは物の理というより人の理であった。

パワースポットで「パワーを感じます」と答えた女性がいた。本当ですか?と問うと「本当です。だってパワースポットですから」おかしな論理に思えたが、物理学の萌芽のようでもあり、私は気を取り直して、パワースポットを巡り続けることにした。

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