牧野洋

少子化が深刻な日本で、福岡市の人口増加率は東京を抜き、全国1
位。「住みやすい都市ランキング」で世界7位。

そして何より興味深いことに、イノベーションや起業でも日本の先
頭を走っている。



2015年の国勢調査によると、政令指定都市のなかでは福岡市の
人口増加率は断トツだ

通勤・通学時間は日本の大都市圏のなかでは最も短く、食糧物価は
日本の主要都市のなかで最も安い

じつは、リバブルは二一世紀型都市を語るうえで不可欠な要素だ。
「クリエイティブ都市論」を唱える米都市経済学者リチャード・フ
ロリダによれば、リバブルでなければ都市の発展は望めない時代に
なりつつある。インターネット時代に入り、IT(情報技術)やデ
ザインなどの分野で活躍するクリエイティブな人たちは好きな場所
で働けるようになったからだ
※リバブル=住みやすい

リバブルで有利なポジションにある福岡は日本の西海岸に相当する
と考えてもいいのではないか。すでに起業の多さを示す開業率で日
本一であるうえ、国家戦略特区に指定されて「スタートアップ都市」
を宣言している

福岡で起業して世界で事業展開しているIT企業もある。代表例は
作図・共有サービス「Cacoo」を運営するヌーラボ

福岡は中国人旅行客による「爆買い」の一大拠点だ。博多港へのク
ルーズ船の寄港を見てみよう。2017年には港の工事で50日間
にわたって利用が制限されたにもかかわらず、中国人旅行客らを乗
せるクルーズ船の寄港回数は3年連続で国内最多を記録している

とくに女性の数が多く、女性については20代後半でも転入超過

国際空港から都心部までのアクセスのよさも注目点だ。同じGPC
I2016年版によると、アクセス時間で福岡は一一分であり、ス
イスのチューリヒ(一〇分)に次いで世界第四位。アジア一三都市
のなかでは首位である

学生の能力は同じでも、ヒトやカネなど起業のエコシステムの面で
九大は不利に立たされている

ユニバーサル・ディスプレイにとっていずれ強力な競争相手になる
かもしれないスタートアップが福岡市に存在する。2015年3月
に九大で産声を上げたKyulux(キューラックス)である

「スタートアップ特区」指定を活用して高島が掲げた政策はスター
トアップカフェにとどまらない。スタートアップビザやスタートア
ップ法人減税、スタートアップ奨学金もある

外国人人口の伸び率で全国首位

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