『AI vs.教科書が読めない子どもたち』

新井紀子

衝撃的なのは、人工知能が既に「MARCH」合格レベルに達して
いること、さらに対する日本の中学生の読解力レベルが著しく低く、
正答率で見るとコイン投げ並み(正答率57%)だということ。

「AIがすべての仕事を代替する」や「シンギュラリティ」もウソで
すが、「AIにできないことを人間はできる」もウソかもしれないのです。



今の数学にはその能力はないのです。コンピューターの速さや、ア
ルゴリズムの改善の問題ではなく、大本の数学の限界なのです。だ
からAIは神にも征服者にもなりません。シンギュラリティも来ません

日本の中高校生の多くは、詰め込み教育の成果で英語の単語や世界
史の年表、数学の計算などの表層的な知識は豊富かもしれませんが、
中学校の歴史や理科の教科書程度の文章を正確に理解できないとい
うことがわかった

AIでは対処できない新しい仕事は、多くの人間にとっても苦手な仕
事である可能性が非常に高い

実は「AIはまだどこにも存在していない」

「いい感じの政治」を数値化することには無理があります。人の幸
福は数値化できないからです

威力を発揮したのが、「マジャール人は民族である」とか、「ピピ
ンは人物である」「死んだ人はそれ以降の事柄を起こせない」とい
うような、あまりに人間には当たり前すぎることをリストアップし
て整備した「オントロジー」です。オントロジーはモノゴトをコン
ピューターに理解させるためにつける名前や分類のことです

東ロボくんの世界史の解き方はワトソン同様、基本的に情報検索だ
とお話ししました。また、数学の問題文に特有の、正確で限定的な
語彙から成る文章であれば、論理的な自然言語処理と数式処理の組
み合わせでかなりの点数が取れることもお伝えしました。けれども、
そのふたつの方法では克服できない科目があります。国語と英語です

行く手を阻んだのは「常識」の壁でした

特に、論理と確率で扱うことが難しいのが、人間の意志です

数学が発見した、論理、確率、統計にはもう一つ決定的に欠けてい
ることがあります。それは「意味」を記述する方法がないというこ
とです

就学補助率が高い学校ほど読解能力値の平均が低いことがわかった
のです。つまり、貧困は読解能力値にマイナスの影響を与えています

AIでは絶対にできない仕事の多くは、女性が担っている仕事

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