『遠ざけの法則』

Pocket

中山マコト

独立起業する時、決めていたことがあります。それは、「お客を選べる会社になる」ということ。偉そうな言い方になるかもしれませんが、違います。
昔、セガのゲーセンで働いていた時の苦い経験から、お客を選べない店は早晩ダメになる、と身にしみてわかっていたからです。「悪貨が良貨を駆逐する」は、商売においても言えることなのです。

本書に事例として登場するのは、暴力的なまでの激辛ラーメンで知られる「蒙古タンメン中本」や「初めての方にはお売りできません」のコピーで知られる再春館製薬所など、まさに客に「媚びない」お店・企業の数々。

『遠ざけの法則』により、実際にブランドが定着し、熱狂的なファンを抱えておけることを、これらの事例が証明しています。

赤色系の看板のなかで、異彩を放つのが『蒙古タンメン中本』。ここはとにかく赤い。看板だけでなく、壁面も、店頭のメニューも、カウンターやスタッフのバンダナまでも、すべてが真っ赤です
『蒙古タンメン中本』は辛いもの好きに支持されている店です
最強の辛さを誇る「北極ラーメン」は辛いものが苦手な人には絶対にオススメできないメニューです

『初めての方にはお売りできません』再春館製薬所は顧客をフィルタリングする戦略を選びました。
顧客が最初に手にするのはミニサイズのサンプルです。中身は正規品と同じもの。それを実際に使用して、肌に合うと思った人にだけ、商品を買っていただこうというわけです。
商品のクオリティに納得した上でお金を出すので、クレームのリスクを低減することができます

サービスを受けるよりも、自分でやってしまう方が楽──そんな需要の掘り起こしに成功したのが滞在型ホテル『マイステイズ』です。
館内には自分で洗濯するためのランドリールームがあり、アイロンの貸し出しサービスもあります。また、ミニキッチン完備の部屋には調理器具と食器が揃っています。
1泊からでも利用できますが、長期滞在の場合はよりメリットを実感できるでしょう

大分人が集まり、大分人が創る郷土料理店『とど』

ラーメン凪 看板には「すごい煮干ラーメン専門店」「煮干しが嫌いな方ご遠慮ください」「煮干王」「日本全国から厳選した20種類以上の煮干を独自ブレンドした濃厚スープ」など、これでもか!というくらい、煮干の文字が並んでいます。極めつけは『丼一杯に最高級煮干を60グラム以上使用』というフレーズ

『人の死なないミステリー』松岡圭祐の万能鑑定士Qシリーズ

現在、江原道には女優やプロのメイクアップアーティストが愛用するブランドというイメージが定着しています。
ブランドストーリーには早乙女さんの名前こそ出ていませんが、「肌荒れに悩むひとりの女優」が「自ら試し、つくりあげ、楽屋に置いた」のが江原道の始まりだと紹介し、それがそのまま『女優が創り、育てた自然派化粧品』というキャッチフレーズになっています

東京の豊洲にある『ミリの駅』は、サバイバルゲーマーをターゲットにした専門店です。サバゲーに欠かせないエアソフトガンや各種パーツ、BB弾、ゴーグルなどを扱っており、通信販売にも対応します

「その店に行こう」という意志の強い顧客だけを受け入れるこれは、起業家なら心しておくべきことでしょう。長く愛される企業作りをするために、間違った客を取り込んで従業員を不幸にしない

エンジンオイル、メーカー、OEM仲間の経営塾より

Pocket