『なぜか「運」をつかむ人逃がす人』

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植西聡

アメリカの一流の哲学者であり、教育家でもあるジョン・デューイ教授は、「人間のもつ最も根強い衝動は『重要な人物でありたい』という欲求である」と言っている。
アメリカの心理学者ウィリアム・ジェームスもまた、「人間のもつ性質で最も強いのは、他人に認められることを渇望する気持ちである」と言っている。
同じくアメリカ人で人生の師と仰がれたディール・カーネギーは、「人間の欲求の中で、人から重要な存在だと思われたい欲求が一番強い」と言っている。
つまり、三人とも「自分が偉いと思われたい」「自分は人より優れていたい」「自分は人から重要な存在であると思われたい」という、いわゆる「自己重要感の欲求」が一番強いものだと言っている。

人間は、この欲求を満たすためには、何でもやってしまう。そして、この欲求は死にたくない欲求よりも、お金が欲しいという欲求よりも、強いということが事実を通して見えてくる。

こんな話がある。
ある大企業の第一線で活躍していた部長が、定年後も嘱託扱いで会社に残ることになった。しかし、仕事はほとんど無い。つまり、彼の存在感はまるでなく、いてもいなくてもいい状態にあった。結局、彼はそれから三か月後に退職した。
給料は十分だされていたのに。仕事のない彼は、元の部下の視線に耐えられなかったのだろう。彼の自己重要感は、完全にスポイルされた状態にあった。
忠臣蔵の浅野内匠頭は殿中で刀を抜いたら、お家断絶、自分は切腹ということは十分わかっていたはずだ。それでも吉良上野介からバカにされたことに我慢できなかった。
自分の死やお家断絶よりも自己重要感のほうが強かったのだ。私たちの自己重要感の欲求というのは、死よりもお金よりも強いことが分かる。逆に考えれば、相手の自己重要感を高めてあげれば、どんな人間関係もうまくいくのは間違いない。
人間関係で悩んでいる人こそ、この自己重要感の原理を知れば、どんな人間関係もうまくこなすことができる。

エンジンオイル、OEMの仲間の勉強塾より

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