レス・ギブリン
人々はあなたを、あなた自身の自己評価をもとに
判断するだけでなく、
どういう評価をしているかをもとに判断する。
聖書「裁かれたくなければ、裁いてはいけない」
これは人間関係に関する名言である。
私たちは何かを裁くたびに、
自分を裁くきっかけを他人に与えてしまうのだ。
■多くの離婚訴訟を扱う弁護士が、こんなことを言った。
「夫や妻が配偶者のいやな部分について話すたびに、
その配偶者より
その人自身の本性があらわになっているように感じる」
つまり、他人についてネガティブな発言をすると、
自分について悪い印象を相手に与える結果になるのである。
■ニューヨークで職業安定所を営む
ウォルター・ローウェン所長は、高給が得られる仕事を
相談者に紹介することで知られている。
彼が相談者にアドバイスしていることの1つは、
「新しい雇い主と面談しているときに
前の雇い主に対する不満をぶちまけてはいけない」
ということだ。
前の雇い主を批判して新しい雇い主に
取り入りたくなるのは分からないでもない。
前の職場で不当な扱いを受けたことを
愚痴りたくなるのも理解できる。
だが、ローウェン所長は「それは絶対にしてはいけない。
不平を言う者を雇いたがる人はいないことを
肝に銘じるべきだ」とクギを刺している。
不平を言う人と一緒にいたとき、
あなたは不快な気分になったに違いない。
実際、不平不満を並べる人の人望のなさは、
誰も知っているとおりだ。
■あなたは自分の仕事や職場をどう評価しているだろうか。
仕事先と職場内容を尋ねられたとき、
申し訳なさそうに「ええまあ、〇〇銀行で〇〇係として
仕方なく働いています」と答えるか、
誇らしげに「はい、〇〇銀行という素晴らしい職場で
〇〇係として一生懸命働かせてもらっています」と答えるか。
後者の方なら、相手はあなたに好印象を抱くだろう。
出身地を尋ねられたとき、恥ずかしそうに
「つまらない田舎の出身です」と答えるか、
「〇〇という素晴らしい地域の出身です」と答えるか。
後者の答え方なら、相手はあなたに好印象を抱くだろう。
「上司はダメな人だ」とか
「自分のしている仕事はつまらない」などと言うと、
聞いている人は
「あなたがダメな人だから、
ダメな上司の下でつまらない仕事をしているのだ」と
思うに違いない。
■セールスにたずさわっている人に注意しておこう。
ライバルをおとしめると
顧客に嫌われることを知らないセールスマンが多すぎる。
相手に好印象を与えたいなら、
ライバル社やライバル社の商品を、けなしてはいけない。
そんなことをするのではなく、自社の商品を称賛しよう。
人々はネガティブな話し方を嫌うだけではない。
あなたはネガティブな舞台を設定し、
ネガティブな雰囲気をつくっている。
だから見込み客が買ってくれないのだ。
しかも、見込み客は心の中で
「ライバル社の商品の方がいいのではないか。
だから、この人はそれを恐れてこき下ろしている」と勘繰る。
■誰かが、人の悪口を言っているのを聞いて、
気分が良くなる人はいない。
それは、脳が主語を理解できないからだ。
「(あの人)大嫌い」と言うのを聞くと、
(あの人)という主語が抜けて、「大嫌い」だけが脳に残る。
つまり、まるで自分の悪口を言われているように感じてしまう。
実際、悪口を言う人は、その人だけでなく、
他の人の悪口も言う人だから、
まわりまわって、いつかは自分も言われるハメになる。
■人は、不平や悪口を言う人には、本能的に良い印象を持たない。
その逆に、人から良い印象を持たれるためには、
どんなときも、人の心を「あたたくする言葉」、
「気持ちよくする言葉」、「幸せにする言葉」、
「楽しくなる言葉」を言うことだ。
そして、嫌なことがあったとしても、
その中からいいことだけを見つけて、
人をほっこりさせることを言う。
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