『99%の努力はいらない』

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信長

何かをやってもうまくいかない方に「根気が足りないからダメなんだ」という方がよくいる。さらに、うまくいってもいかなくても、毎日根気強くやる方が引き合いに出されて「見習え」とまで言われるのだ。もちろん、一時的には「根気」が必要な場面だってあるだろう。けれども本当に大事なのは「根気がなくても続く仕組み」をつくる事。案外、そこに気づいていない方が多い。

私たちがどんなに努力しようと頑張っても、その気があっても根気が続かないことだってあるからだ。だからこそ、最初から根気が続かないこともある前提で、それでもうまくいく仕組みを作る必要がある。
夢をかなえた方の多くは、ほとんど例外なく、それぞれのやり方で「うまくいく仕組み」を作っているのだ。私はもちろん仕組みづくりにはいつも全力を注ぐ。

今は出版事業も行っていて、ほかの著者のプロデュースも含め2ヵ月に1冊という個人出版事業ではかなりハイペースで本を出している。それ以外にも、いろんな仕事をして遊びの時間も取っているから「どうやってそんなに仕事しているの?」と不思議に思われることも多いが、純粋に仕事する時間はむしろ減っていたりするのだ。その秘密は、「仕組み化」を意識的にやっていることにある。
出版に関して言えば優秀な編集者さんやデザイナーさん、ライターさんを探して一緒にチームを組んでやる。私は、そうした方を探し、企画のアイデアを出すことに全力を注ぐ。そうした仕組み化を知らなかった新人著者時代は、何から何まで自分でやって、ものすごく苦労しながら1年以上もかけてやっと1冊の本を書いていた。今は、そのときの数分の1の労力で、よりたくさんの、しかもおもしろいと思える本を出せるようになったと自負している。

個人的なことで言えば、あるときから「散歩」をしようと思い立った。とはいえ、毎日ほかにもやることがあるので、つい散歩よりも目の前のことをやってしまう。そこで寝る前に、起きたら必ずすぐに散歩に出られるように、散歩用のウェアと靴を用意して、顔さえ洗えばすぐに出られる状態にしてみた。すると、「準備するの、面倒くさい…」という言い訳も自動的になくなり、いつしか散歩が習慣化された。
そのほかでは、少し変わった仕組み化になるが、私は自宅の部屋にはテレビを置いていない。部屋にあると、ついムダにテレビを見て過ごしてしまうからだ。その代わり実家でレコーダーに全録画して、経済情報番組やおもしろそうなドキュメンタリーなど必要なものだけを選んで見るようにしている。

ささいなことのように思えるかもしれないが、そうした日常生活での「1%の努力」が仕事にも影響してくる。どんなことでも、いろんなことにエネルギーを振り分けていたら、エネルギー量は分散してしまう。そうするとやはり、うまくいきにくい。

すべてのことを根気強くやるよりも、自分がやることだけに絞って取り組める「仕組み」を作ることで、エネルギーを1点集中したほうが最善の成果が得られるのだ。
会社における「仕組み化」とは、誰が担当になっても、うまくできるやり方をルーティンのシステムとして決めることだ。個人においても同じで、「忘れないための仕組み」や「習慣を根付かせる仕組み」など、自分をプチ強制的にやるように仕掛ける、仕組みづくりのことだ。

たとえば、読書の習慣を根付かせるなら、本を読んだ感想や、本の中の感動した箇所を書き写して、それをSNSで定期的(できれば毎日)にアップするなどの仕組み。毎日アップすることを自分に課せば、必然的に読書はするようになる。同様に、ダイエットするなら、仲間にSNSで毎朝計測した体重計の写真をアップする。これらのSNSを使った習慣づけの仕組み化はかなり有効だ。
あるいは、何かを持っていくことを忘れないためには、スケジュールのToDoリストに書き込んだり、玄関の靴ぬぎ場に、持って行かなければいけないものを前夜に置いておく。

「根気がなくても続く仕組みをつくる」あらゆる場面で、仕組み化は役に立つ。

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『呪われた部分 有用性の限界』

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ジョルジュ・バタイユ

スペインの街のいたるところで、手足のない浮浪者を見ました。彼らは、純粋に庇護を受ける存在であり、「生産性」「有用性」の観点から言えば、排除されるべき存在です。すべての人間の価値を「生産性」「有用性」で判断することは、我々の社会の存在理由を脅かすものであり、決して許されるべきものではない。

哲学の人間が経済を語るところに無理があるとの指摘がありますが、「有用性」を追求する資本主義の行き詰まりに気づく良いきっかけであり、人間の孤独が社会問題となっている現在、考える価値がある。

太陽は輝いている。輝く太陽の放射は、太陽がその物質の一部を、熱や光の形で、空間にたえず投射するものである。このようにして浪費されるエネルギーは、太陽を構成する物質が、太陽の内部で破壊されて生み出されたのである。
どの恒星も太陽と同じように、法外な自己喪失に耽っているのである

栄誉とは、有用性への配慮とは独立してエネルギーをそのものとして浪費すること、あるいはある側面では過剰に浪費することによって発生する効果である
何の役にも立たないものは、価値のない卑しいものとみなされる。しかし私たちに役立つものとは、手段にすぎないものだ。有用性は獲得にかかわる──製品の増大か、製品を製造する手段の増大にかかわるのである。有用性は、非生産的な浪費に対立する。人間が功利主義の道徳を認める限りにおいて、天は天のうちだけで閉じている。こうした人間は詩を知らないし、栄誉を知らない

人間が有用性の原則に屈するようになると、人間は結局は貧しくなる。獲得する必要性、この貪婪さが、人間の目的になる──人間の巨大な活動の終局であり、目的になってしまう

アステカ族は、太陽の輝きにふさわしい行為で、他の人々に模範となる行為を作り出した。アステカ族が目を逸らすことなく見つめていたのは、供犠と太陽の輝きの統一、自己の贈与と栄誉の統一である
私たちのうちには栄光への意志がある。この意志は、私たちが太陽のように生きること、私たちの財と生を浪費しながら生きることを求めているのである

人間は、過剰な情熱に耳を傾ける時ではなく、さもしい必要性に動かされる時にこそ、劣った存在に、しかも残酷な存在になる

「栄誉ある行動」だけが人間の生を決定し、その値打を示すのである
工業の過度の発展は、発展だけを目的とするものであり、人間を目的としない

共同体は、危険に特有の偉大さを欠いた瞬間から、崩壊し始める
人間は、豊かに死ぬか、貧しく死ぬかのどちらかしか選べない

自律するためには安定性と、貪慾を満足させることが必要であるが、ここで立ちどまってはならない。これは貪慾な自律なのである。これを超えたところに、喪失と結びついた自律がある。これは奪う自由ではなく、与える自由であり、富を蓄積する自由ではなく、みずからを喪失する自由である

資本主義の世界で勝利を収めるには、蓄財し、資産を増やす材にだけ投資する必要がありますが、この考え方では、社会の一体感は生まれませんし、1000年もつ建物も生まれません。
「有用性」では、社会に本当のエネルギーは生まれないのです。現代の人間が生み出したのは、100年もつ面白みのないヘーベルハウスであり、人間の美意識を刺激するパルテノン神殿ではない。人間には、栄誉が必要なのです。

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