『黒柳徹子の言葉』

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桑原晃弥(てるや)

《いくつになっても「好奇心のかたまり」であり続けよう》(黒柳徹子)

〈子どものときから「わぁ」と言って、そのまま大人になってしまって、「わぁ」と、いまでも言っている人間なのです。〉「タマネギのひみつ。」

黒柳徹子は「好奇心のかたまり」だと言われています。ある時、コピーライター の糸井重里が、自分の会社で黒柳と対談するにあたって、社内をフランスの女優サラ・ベルナールの書斎のように飾りつけて迎えました。すべては黒柳の好奇心を刺激したいという思いからでしたが、 その期待通り、黒柳は部屋を見て、また糸井の話を聞きながら、何度も「わぁ」と口にして、「面白い」と言ってくれました。そんな黒柳を、糸井は「尊い好奇心」と呼んでいます。

黒柳は、番組の収録中も、きれいなもの、珍しいもの、凄いものが映し出されると、「わぁ」とか「へぇ」「凄い」と驚いて声を出します。「自分が映りたい、目立ちたい」という「ワイプ芸」ではなく、純粋な好奇心からの声が、ディレクターや視聴者にとても面白く感じられるのです。

黒柳によると、「わぁ」とか「面白い」 と思っていると、免疫力を高め、認知症になるのが遅くなるそうですが、もちろん黒柳はそのために言っているわけではありません。子どもの時から「わぁ」と言いながら 成長し、今も「わぁ」と言い続ける、そんな好奇心のかたまりだからこそ、黒柳はいつまでも生き生きとしているのです。

「ディズニーの成功を支えている最も重要な要素は、遊び心と好奇心だ。遊び心とは、笑うことを愛することだ。好奇心とは、常に人間の心にあって、想像力によって刺激されて生まれたものだ」(ウォルト・ディズニー)

驚きや感動が多い人は、子どものような感性を失っていない人。「わっ」と驚いたり、「ハッ!」と気づいたりする。そして、いつもワクワク、ドキドキして、キラキラと輝いている。気づきや驚きや感動の多い人は、一緒にいると楽しい。食事を共にしたり、旅に一緒にいくならこういう人がいい。

定年をとうに過ぎた年齢なのに若々しい感性を持っている人がいる。反対に、実年齢は若いのに、すでに老人のような人もいる。その違いは、「好奇心」や「驚き」「ハッとする」という心を失っていないかだ。「もうこの人は終わったな」という人は、好奇心や感動という情熱がなくなった人。
「好奇心」と「感動」をなくしたとき、人は老いる。いつまでも…「尊い好奇心」を持ちたいですね。

エンシンオイル、メーカー、OEM仲間の経営塾より

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『世界史を変えた詐欺師たち』

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東谷暁

歴史は繰り返すと言いますが、実際に繰り返すのは人間。そしてもっと正確に言うと、同じ人間が繰り返すのではなく、歴史を学ばない人間が、過去と同じような失敗をしている。

現在は人々が騙されやすい社会状況になっていますので、くれぐれも安易な儲け話には食い付かないように。
歴史的に有名な詐欺師である、チャールズ・ポンジを取り上げるのはわかるのですが、フランスの財政赤字に挑んだジョン・ローやアイザック・ニュートン、ベンジャミン・フランクリン、ヒャルマー・シャハト(敗戦後のドイツのハイパーインフレを抑えた)、ジョン・M・ケインズといった経済の功労者までを「詐欺師」と呼んでいる。
というのは、現在用いられている詐欺的手法は、すべて彼らに端を発しているからです。

オビには、「一人を騙せば犯罪だが、みんなを騙せば経済政策?」とまで書かれている。相手が個人であれ、国家であれ、詐欺に遭えば財産を失ってしまうのはみな同じ。

オルレアン公が目を付けたのはジョン・ローという人物だった。この男は、「紙の紙幣を印刷すれば、すべて解決するだけでなく、フランスのさらなる繁栄も可能になる」などと吹聴していた。当時、フランスにおいては、貨幣とは金か銀でなければならなかった。それを紙で作ればいい、とこの男はいうのである

イギリス人がミシシッピー・バブルに見出したのは、たいした根拠がなくても金儲けができるということだった

フランクリンは紙幣の発行が決まるや、それを自分が経営している印刷所で引き受けることにした

「ポンジ・スキーム」という言葉がある。これは集めた金を投資に回すことなく、一部の投資者に再分配してみせて事業実態があるかのように装い、さらなる投資を集めて最終的には持ち逃げする詐欺のことだ

降って湧いたような儲け話でも、相手の気が変わってふいになったら大損だと思わせるのは、詐欺師の典型的な手口である

詐欺はインフレーションの産物である。インフレーションになると、生計費が家計を圧迫し、追加収入を得るために家長に危険を冒させる、というのである

「ポンジ金融」というのは、元本と利益の安全は最初から守られないことが前提となっている。投資をしても情況のいかんにかかわらずマイナスの利益であることが、ほぼ運命づけられている。
では、そんな金融的行為をなぜ行うのか。それは金融的行為を行うわずかの人が、だまされた他の参加者の犠牲によって利益を得ることが可能だからである

シャハトはそれまでの紙幣印刷を停止して、新しい通貨である「レンテンマルク」を印刷させた。一レンテンマルクが旧一兆マルクに相当するとして、交換するか否かは個人の自由としたが、瞬く間に人びとはレンテンマルクに交換し、それまでの超インフレは終息に向かった。一兆倍の超インフレを終息させたのである

一九四四年七月、ついにシャハトはヒトラー暗殺計画に関係しているとの疑いで、警官に逮捕される。すでにドイツ帝国銀行総裁を辞任した時点で、彼に「魔術」を生みだす力はなかった。魔術が効果をあげるためには、魔術が存在すると信じる人たちの共同体が存在し、魔術師とされる人間が構成員によって畏怖されていることが条件なのだ

ノースが小論のなかで論じたのは二つの点だった。ひとつが、ビットコインはポンジ・スキームだということ、ふたつ目が、通貨の歴史や学説からすればビットコインはまったく通貨の資格を持っていないということである
現在、ビットコインはじめ仮想通貨にハマっている人は、ビットコインがいわゆる「ポンジ・スキーム」ではないかという著者の指摘は、ぜひ読んでおくべきです。(条件が当てはまりすぎている)

「相場は悲観の中に生まれ、懐疑の中で育ち、楽観の中で成熟し、幸福感の中で消えていく」(ジョン・テンプルトン卿)

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『さよなら、インターネット』

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武邑光裕

昔は、「お茶や水にお金を払うなんて」とみんなが思っていましたが、今ではみんなが普通にお茶や水にお金を払っています。社会の常識は変わるものです。同様のことは、プライバシーに関しても言えます。

かつてインターネットが普及し始めた頃、人々がプライバシーを手放すなんて、考えられませんでした。でも今は、「無料通話」や「無料メッセージ」に惹かれて、みんながプライバシーを手放しています。
IT企業は個人データを使って広告に生かし、さまざまなマーケティングを仕掛けています。しかしながら、最近ではこの行き過ぎた状況に水を差す兆候が出ており、なかでもEUが定めたGDPR(一般データ保護規則)は、強烈です。個人情報を搾取するシリコンバレーに対抗してEUが突きつけたもので、今後のIT企業の行動を著しく制限する可能性があります。

フェイスブック有料化で一番困るのはアドテック企業であり、広告主である。「プライバシーの死」がターゲット広告という奇跡を生み出した。いま、プライバシー保護は、「広告の死」と対峙している

日本はEUからデータ保護に関する「十分性認定」を受けていないため、データ保護に関しては米国と同様、世界の無法地帯とみなされている。
日本の改正個人情報保護法も、GDPRから見れば10年遅れの法律である。GDPR違反の制裁金は巨額だ。ひとつの会社で26億円規模の罰金、あるいは連結決算の4パーセントを課せられるケースもある

EU議会に所属するベルギー社会党のマーク・タラベラ議員は、GDPR違反の疑いがあるとして、「ポケモンGO」の調査を正式に議会に要請した。
ゲーマーのデバイスにクッキーとトラッカーを保存し、ユーザーの明確な同意なしにそれらのデータを抽出して解析することが可能なら、このアプリは、EUのeプライバシー指令にも違反する可能性がある

GDPRの重要な規制
1.「忘れられる権利」
2.データへのアクセスの容易性
3.データがいつハッキングされたかを知る権利
4.デザインによるデータ保護のデフォルト

商業的有用性を免れたわたしたちの個人生活はどこにあるのか?
それが現代のプライバシーをめぐる課題である。個人データのデジタル化は、人間生活の商業的利用を容易にし、拡張し、加速する。それは、わたしたちがデータ商品となり、現代の経済活動に不可欠な資源であることを示している。

今日、これを新たな「搾取」と呼ぶなら、それに抵抗するための新しい生活様式を開発する必要がある
ユーザーがアカウントを作成すると、フェイスブックはウェブブラウザに「トラッキングクッキー」を挿入し、あなたが訪れる各ウェブサイトを追跡できるようになる。これは、あなたのフェイスブックでの活動とは関係なく、あなたがウェブをブラウズするだけで、あなたが訪れるサイトをフェイスブックが知っていることを意味する

贈与や蕩尽より、生産と蓄財を重視する社会が形づくられ、社会に累積したエネルギーの消尽行為そのものが、社会から忌避され、呪われていった。「余剰」の「蕩尽」を実施する宗教祭儀によって支えられていた共同体は、富の「蓄積」と「投資」をめざす個人主義と資本主義経済に邁進する

「かつてプライバシーなんてなかった」というのは、インターネットビジネスの人間がよく言うことですが、このままIT企業にデータを渡し続ける人生でいいのか、疑問に思ってきます。(LINEなんて恋人同士の会話を全部記録しているんでしょうし)
また、現在のわれわれの社会の根底にある考え方が本当に正しいか、問い直す良いきっかけにもなります。

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