企業統治と株価

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 松本晃

アベノミクスは前例のない金融緩和から始まった。
当時ならば金融緩和を行えば自国の通貨は弱くなった。
一時はドルに対して70円台だった円は、
120円までの円安となった。

すると、輸出型の日本企業だけは業績を回復した。
いつもの事である。

超金余りの海外から日本に流入した金が、
株価の急上昇をもたらす。
そこで、日本企業の企業統治の異常な事が問題になった。

取締役の多くが執行を兼任している。
ダイバーシティには、ほとんど関心が無く、
取締役も日本人の男性だけ。
自己資本利益率(ROE)は欧米企業と比較して極端に低い。
儲かっても内部留保ばかりで株主に還元しないし、
また株主も、ほとんどモノを言わない。

今、企業統治(コーポレート・ガバナンス)を、しっかりやらないと
外国の投資家は、日本から逃げてしまう。
そこで、企業統治が叫ばれ、学識者を中心にして
まとめられた。

株価の上昇に乗り遅れて、
「しまった」と悔やんでいる人が乗り出すと、
決まって暴落が始まる・・・

エンジンオイル、OEM仲間の経営塾より

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「企業を蝕む熱意なき職場」

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西條都夫

米国企業は、一般に社員の意識調査に熱心だ。社員の不満が高まれば、優秀な人から順に会社を辞めて、大きな損失に繋がるからだ。
一方、日本は労働市場の流動性が低く、社員の離職率は高くない。だから経営者は働き手の心のありように鈍感だ。

社員が会社を辞めないことと、彼らが生き生きと仕事をしているかは、また別の話だ。
日本人は、受動的な真面目さはあっても、自ら積極的に仕事に向き合う姿勢に欠け、それが労働生産性の低さやイノベーション不足に帰結している。

処方箋はある。社員の意欲を最も左右するのは、直属の上司との関係だ。部下とよく話し、彼らの弱みではなく、彼らの強みに着目する上司がいれば、職場の意欲は目に見えて上がる。
マネージャーに適切な人を選び、部下の技量を高める工夫が企業には欠かせない。

こうした取り組みは、すぐに効果が上がるというものではない。だが、さぼれば、または経営者が無関心のままでは確実に組織の活力は減退し、業績に悪影響が出るだろう。
不摂生や運動不足を続ければ、いつかは重篤な生活習慣病に蝕まれる。それに似ている。

エンジンオイル、OEM仲間の経営塾より

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