零細製造業にこそ競争戦略を

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楠木 建

─性能よりも価値に目を向ける─

職人芸とよばれる高精度なものづくり技術を有する日本の企業には、経営者的な目線や新規事業開発への意欲が薄く、現状維持を支持する傾向がある。製造業、それも零細企業によるものづくりに新たな可能性を切り開くには、どのような視点が必要なのでしょうか。

そもそも戦略が必要となる最大の理由は資源制約があるからです。資源制約がないなら戦略も不要となります。思いっきり、思いつくこと全てをすればいいので。資源制約があるからこそ戦略をもつ必要があるのです。
ベンチャー企業がIPOして大量のキャッシュを手にした瞬間に、経営がゆるくなるケースはよく見かけます。資源制約がゆるくなると、一つ一つやることの背後にある論理的なつながりに目が向かなくなります。

戦略の本来の意味合いからすれば、厳しい資源制約におかれている規模が小さい企業の方が、自然と戦略的に行動してしかるべきなのです。とりわけものづくりの会社は、ものづくり自体を目的にせず、それの価値を顧客に届けるまでの一連のストーリー(戦略)を意識することが重要です。
ところが、ものづくり技術が強い会社ほど、それ自体を自己目的化する傾向が強い。

それをどうやって顧客に価値として認識させるかという当たり前の話にもっと時間を費やした方がいい。例えば育児用品のトップメーカー、ピジョンです。もちろん同社の哺乳ビンは性能がいい。しかし、それだけでは商売になりません。どうしたらそれを買うお母さん、その先にいる赤ちゃんに価値が伝わるかを突き詰める。そこにピジョンの経営と戦略の内実があります。
ものづくりという行為自体にマニアックになってしまい、本来の商売の本筋を見失ってはなりません。性能よりも価値に目を向ける。ここに戦略づくりの起点があります。

エンジンオイル、OEM仲間の経営塾より

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『感謝のエネルギー』

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医師、矢作直樹

《感謝のエネルギーは想像を超えて作用する》

そして大切なこと。それは、過去の自分と比べないこと。肉体は若いうちが華(はな)です。でも若いうちは経験値も低いもの。年を取ると経験値が上がりますが、逆に肉体は衰えます。肉体と経験値はトレードオフ(何かを得ると何かが犠牲になる)の関係にあるのです。
私自身、例えば5年前と比べると確実に衰えました。でも、これが加齢の正しい進展具合だなと実感していますので、今は無理のない範囲で動いています。そして体に感謝するだけで、疲労の回復が早いことは今も実感します。

私の友人に齋藤應典さんという方がいます。彼は映画やドラマの現場に欠かせない有名なスタントマンでしたが、ある日、仕事中に大事故に遭います。
その結果、脊椎骨折を含む全身約30カ所骨折、左腎臓裂傷という状態となり、医師からは再起不能と告げられました。
絶望の淵で自暴自棄となった齋藤さんでしたが、ぴくともしない体への強い怒りを、ある日を境に感謝の思いに変えます。彼は自分の体に向かって、こう言ったそうです。「これまで悪かった。これからは大事にする、だから一緒に頑張って欲しい。いつもありがとう」
関係者の誰もが齋藤さんが再び歩けるようになるなど想像すらできない中、そこから不思議なほど回復を始め、齋藤さんは現在、全国を飛び回る著名なパーソナル・トレーナーとなりました。感謝のエネルギーは私たちの想像を超えて強く作用します。どんなときでも、体に感謝。いつもありがとう、と感謝。体は最期の瞬間まで一緒にいてくれる、かけがえのないパートナーです。

〇筑波大学名誉教授、村上和雄
『自分の体は自分のものだと思っているかもしれませんが、実は私たちの体はすべて借りもの、要するに“レンタル”なのです。レンタルですので、期限が来れば返さねばなりません。これが「死ぬ」ということです』
貸主は神さま。借主は魂。体はお借りしているもの。しかも無料で。どんなに地位や名声があろうと、豪華な家屋敷や、億を超えるお金があったとしても、死んであの世に行くときはそれを持って行くことはできない。同時に、どんなに美人であろうと、鍛え抜かれた体であろうと、あの世へ自分の体は持ってはいけない。つまり、体も、豪華な家屋敷も、お金もすべて、この世にいる一瞬の間のレンタル。
スポーツの選手で、自分の道具を丁寧に扱い、まるで生きているもののように感謝の念を捧げる人は、道具から応援される。これは、体も同じ。体に感謝して大切にすれば、体も応援してくれる。「感謝のエネルギーは想像を超えて作用する」どんなときでも、体に感謝しましょう。

エンジンオイル、OEM仲間の経営塾より

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『打つ手は無限』

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医学博士、帯津良一

西洋医学の常識からいえば信じれないような方法でがんを克服した方がいます。たとえば、当時39歳だった女性です。肺がんを患っていました。
手術も抗がん剤も放射線もできないほどの状態で、何か西洋医学以外の方法をやってみたいと私の病院にやってきました。
彼女には、まだ死ねない理由がありました。幼い子どもがいたので、母として「まだ生きたい」という希望があり、「この子を残していけない」という責任も重く感じていたのです。
漢方薬を飲み、食事療法に取り組み、気功も熱心にやりました。しかし、経過は思わしくありませんでした。帰宅したり入院したりを繰り返していたある日、胸水がたまってきて緊急入院することになりました。腫瘍も大きくなっていて、背中に激しい痛みがあり、食事もとれず、トイレにも行けません。
そんな厳しい状況の中でもあきらめなかった彼女に、まさに神様は微笑みました。どこで情報を仕入れてきたのか、彼女はバケツに粗塩を入れ、そこへ足を突っ込んで、ゴシゴシと揉む治療法を始めたのです。
大病院の最先端治療で良くならず、漢方薬や食事療法などをやっても悪化してきたのに、粗塩で足をもむくらいで良くなるとは誰も思いません。ところが、彼女は、この治療法にかけました。一心不乱に、毎日毎日、粗塩で足をこすり続けました。すると、しばらくして、足のむくみがとれ、体調が良くなってきました。そして、半年後にはニコニコしながら退院していったのです。

粗塩で元気になった女性の話は、すぐに病院中に広がりました。誰もが藁をもつかむ思いでいますから、そういう情報には敏感で、病院のあちこちで、バケツに粗塩を入れて、そこへ足を突っ込んでいる患者さんの姿が見られるようになりました。
この方法で、「私も治った」という人が続出すればすごいことになります。まさしく、がんの特効薬です。ところが、そんな事にはなりませんでした。最初にやった女性のように劇的な回復を見せた人はひとりもいなかったのです。

アンドルー・ワイル博士という、統合医学の象徴のような医者がいます。彼は、30年以上も前に「人はなぜ治るのか」という名著を出しています。その本の中で、ワイル博士は、自分はいろいろな治療法を調べ研究し体験したが、「奇々怪々で、どれがいいのか悪いのか、当惑するばかりだ」と書いています。
そして、彼はこう言うのです。「絶対に効かないという治療法はない」どんな治療法にも可能性は秘められています。「何か方法はあるはずだ」と希望を持って治療法を探してください。「ただし」と、彼は続けます。「絶対に効くという治療法もない」

私は、この話は病気の治療だけでなく、健康法でも長生きの方法でも、もっと分野を広げれば、ビジネスで成功するとか、運気を高めるとか、恋愛が成就するとか、子育て法、人づきあいなどにも当てはまるものだと思います。
どんなに単純で稚拙な方法であっても、うまくいく可能性は必ずあります。しかし、ある人がこの方法でうまくいったからといって、あるいは理論的にもしっかりと構築された説得力のある方法であっても、それが誰に対しても絶対にうまくいく方法なのかというと、残念ながらそうはいかないというのが、この世の真理なのではないでしょうか。

〇『打つ手は無限』(滝口長太郎)
「すばらしい名画よりもとても素敵な宝石よりももっともっと大切なものを私はもっている
どんな時でも、どんな苦しい場合でも愚痴を言わない
参ったと泣き言を言わない
何か方法はないだろうか何か方法はあるはずだ
周囲を見回してみよう
いろんな角度から眺めてみよう
人の知恵も借りてみよう
必ず何とかなるものである
なぜなら打つ手は常に無限であるからだ」

人は、これができなかったら死ぬしかない、というくらい本気になれば、考えられないほどのパワーがでてくる。絶体絶命の境地になった人のパワーはすごい。背水の陣で、決死の覚悟ができ、そこに死力を尽くすからだ。本気のパワーだ。神様が応援したい人は、本気になった人。どんな難事がこようと…何か方法はあるはずだ、「打つ手は無限」と、決してあきらめない。

エンジンオイル、OEM仲間の経営塾より

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『擬(MODOKI)』

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編集工学研究所所長、イシス編集学校校長で、
読書家として知られる松岡正剛

「世」はすべて「擬」で出来ている

金銭を稼ぐことが目的として成り立たなくなり、
結婚の意味すらも曖昧になってしまった現在、
人間の営みそのものを考えることに、
とても大きな意味がある。

われわれが前提として受け取っているさまざまな事柄を
疑い、考察することで
世の中の真実や本質を明らかにして行きます。

社会にはいろいろ継ぎ目があって、
この継ぎ目にかかわるところには
人知をめぐる「ゆるみ」というものがあり、
手続きの「ぐあい」というものがある

微妙な継ぎ目と手続きにことごとく首尾一貫をもちこむと、
社会は次から次へと責任問題の所在判定と
その処罰とで埋め尽くされていく

カール・ポパーは「世界」を3つに分けて、
世界1を物理生物的な出来事に、
世界2を心的な対象と出来事に、
世界3を客観的な知識の世界にあてた。
一見、賢い区分のようだが、とてもつまらない。
なぜなら、世の中は混ぜこぜになっているからだ

「言ひおほせて何かある」は、表現できたからといって
それでどうしたの、何かをまっとうしたのという問いだ
表現するなら高きを知って俗に降りてきなさい

できれば思索と仕事と表現のあいだに、
科学やアートやコンピュータのあいだに、
「寂」や「絶間」や「おもかげ」が.残るようにしたい

ぼくが注目してきた仕事師たちは、内と外のどこかをつなげ、
内と外とをひっくり返していることが多い

どんな仕事も「あらわれている」を「あらわす」に
変えようとすることで成り立っている

日本語の「世」とは、竹の節と節のあいだのことをさしている

日本では「定め」と「世間」と「諦め」とは同義語に近い

「消費の欲求こそ、それに対する生産の欲求にくらべて
はるかに急速に模倣され、容易に広がっていく」
(タルドの模倣論)

「模倣可能性こそが文明文化の蓄積だった」(タルドの模倣論)

結局、世の中は「発明されたもの」か「模倣されたもの」かで
埋まっているだけなのである

人間の「世」の数々の営みの歴史のなかで、
最も多くおこなわれていたことが何かといったら、
おそらく好感(exchange)だったろう

モドキはそもそもが「何かのモドキ」であったのだから、
そこには必ず「何かの」がくっついている。
そして、その「くっついた何か」が日本文化の景色の中を
ずうっと摺り足で動いていく。
ここが重要だ。
日本の芸能は、この「何かの」を面影として継承するために
「擬きの芸」に徹した

エンジンオイル、OEM仲間の経営塾より

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『縮小ニッポンの衝撃』

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NHKスペシャル取材班

ベストセラー『未来の年表』と同様、
日本の不都合な真実をまとめた、未来予想図。

データが示す日本の未来は、
これからの政策や人々の行動によって
変わる部分はあるが、
本書が扱っているのは「今」である。

現在でもこれだけ苦しい自治体があるのに、
今後本格的に人口減少が起こり始めたらどうなってしまうのか…。

2016年に発表された国勢調査(2015年)によると、
我が国の総人口は1億2709万人。5年前の調査と比べて、
96万2667人の減少である。
「人口減少」と言われて久しいが、
実は、1920年(大正9年)の開始以来
100年近い国勢調査の歴史上初めて
日本の総人口が減少に転じた、ひとつの大きな節目であった

夕張では、破綻後、若年層の流出が加速し、
過去10年間で人口の実に3割が減少した。
その結果、住民の高齢化率は5割を超えた

2014年5月に発表された「消滅可能性都市」とは、
少子化と人口減少が止まらず、
将来存続が危ぶまれる自治体を指す。
全国の49.8%にあたる896の市区町村が
「消滅可能性都市」に挙げられた。
選定の基準は、2010年から2040年までの30年間で、
子どもを産み育てる中心的な世代である
20~39歳の女性が5割以上減少することだ。
5割以上減少すると、出生率がいくら上昇しても
人口の維持が困難になるとされている

2016年2月に発表された国勢調査(2015年)では、
全国の8割以上の自治体が人口減少に陥っている。
それとは裏腹に、東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県を
合わせた人口は、過去最高の3613万人を記録し、
世界最大の都市圏となっている

近年、豊島区に転入してくる若い世代は
年収が240万円ほどしかないため、税負担の能力は低い。
もし、非正規雇用に従事する人が多いとすれば、
将来的にも、給与水準が上がらない可能性がある。
もし、彼らが結婚し子どもをもうけることができなければ、
税金の担い手となる次の世代につなぐこともできない

「かつては、働けなくなった警備員は、
自分のタイミングで地元に帰るなどして
仕事をやめていっていました。
それがいまは、家族を持たない人が会社の寮に住み続け、
文字通り、体が限界を迎えるまで働き続けているのです」

「行政は『コンパクトシティ構想』って言ってるけど、
聞こえは良いけどもさ、
要は“厄介払いをする”っていうことでしょ。
コンパクトにして、
金のかかることは一切やらないようにして、
そして、地域を整理しますっていう計画でしょ」

東京をはじめとした大都市圏では医療や介護を必要とする
高齢者の急増は避けられず、
介護施設や医療機関で最期を迎えるのは
これまで以上に難しくなる

消滅をタブー視していては、何も進まない。
何を守り、何を諦めるのか

エンジンオイル、OEM仲間の経営塾より

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『人生100年時代のお金の不安がなくなる話』

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竹中平蔵、出口治明

高齢化社会が本格的に到来、
低金利でかつ年金もどうなるか分からない時代……。

1億円貯めれば一生金利で食っていける、
という時代はすっかり過去のものとなりました。

かつては、セミリアイア、プチリタイアなどのブームも
ありましたが、
これからのトレンドは、一生健康で働き続ける、というもの。

人生の在り方を考える上で必ずといってよいほど
引用される名著に、アランの『幸福論』があります。
彼は言います。
「悲観は気分である。しかし楽観は意志である」と
(竹中)

おもしろい統計があって、日本のGDPに対する
現金の比率は20年前には8%だったのに、
今は20%近くまで増えているんです。
こんな国は他にありません。
多くの国でキャッシュレスが進んでいる一方で
日本はまだキャッシュ決済に依存しています。
「日本は現金を持っていても安全な国だから」と
言っている人がいましたが、金融は情報であり、
モバイル決済をするということは
ビッグデータが溜まるということで、そこに大きな意味がある
(竹中)

歴史を見ているとよく分かるのですが、
一度栄えた国や社会が滅んでいくのは、
時間との競争に負けたからです
(出口)

産業革命によって「会社」の概念が変わりました、。
会社のはじまりは、17世紀の東インド会社ですが、
それまで一度航海するたびに利益を分け合って、
そのたびに解散していた。
つまり、1航海ずつ解散するのが会社だったわけです
(竹中)

若い人たちは、
「自分たちが高齢者を支えなければいけない」と
考えるかもしれませんが、
年齢フリーの社会を創り、みんながみんなを支える、
つまり、「僕は70歳まで、私は75歳まで」というように、
年齢フリーで働いて、働けなくなったら
年金をもらうようにすれば、
そんなに心配はいらないと思います
(出口)

マイナンバーで所得と資産を管理して、
金銭的に余裕があって年金なしでもやっていける高齢者には
年金を辞退してもらう。
そうすれば、本当に必要な方には
もう少し手厚く給付することができます
(竹中)

これからは高齢者が増えるのですから、
マーケティングも高齢者が
行なえばいいですよね
(竹中)

自分の人生を大事にするためにはお金は使い切った方がいい
(出口)

「自分が何をしたいか」が決まれば、
有限のお金と、有限の命の使い方を
前向きに考えることができるはず
(竹中)

兼業に限らず、やりたいことはすべてやってみればいい
(出口)

明治時代から、日本は「上」から変わってきました。
健全に日本を変えていくには、
もっと政策のことを語れる人が必要だと思います
(竹中)

ずっと健康で働くこと、お金は使い切って死ぬこと、
咲ける場所を探せというメッセージ…。

エンジンオイル、OEM仲間の経営塾より

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『アメリカンドリームの終わり』

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ノーム・チョムスキー

どうしてここまでひどい格差があるのに、
みな不満も言わずに頑張っているのか。
それは、「いつかは自分もああなれる」という
「アメリカンドリーム」があるからです。

でも、もしそのアメリカンドリームが
終焉に向かっているとしたら?
アメリカンドリームの重要な部分は、
階級の移動性であり、それが今、崩壊しつつある。

今後の先進国の政治・経済・社会をうらなう上で、
極めて重要な位置を占めています。

アメリカの偽善、資本家の偽善、そして見せかけの民主主義…。

サブタイトル「富と権力を集中させる10の原理」

重要なことは、特権階級や権力層が決して
民主主義を好んだことはない、ということです。
それには十分な理由があります。
民主主義は民衆の手に権力を委ねるものだからです。
逆に言えば、特権階級から権力を奪うものです。
だからこそ富裕層は民主主義を嫌います。
それが、富と権力を集中させる基本原理です

社会が不平等になればなるほど、
国民の健康に深刻な悪影響がもた
らされる、とされました。
富裕層にすら、その影響が出てくるというのです。
というのは、不平等という事実そのものが、
人びとの社会的な人間関係も、意識も、生活全般も
むしばんでいくからです

アリストテレスは正しかったのです。
かれの言うとおり、民主主義の矛盾を克服する方法は、
不平等を減らすことであって、
民主主義を減らすことではありません

最近の公教育は、教育を技術訓練に貶めることに
力を注いでいます。
こうして、子どもたちの創造性や独立心を奪うのです。
これは単に生徒・学生だけではなく、
教師の創造性や独立心さえも奪います。
それが「テストのための教育」です。
具体的には、ブッシュ大統領の「落ちこぼれゼロ法案」、
オバマ大統領の「トップをめざして競争せよ法案」です

会社経営の頂点に座る人たちは、いまや技術者ではなく、
大学の経営学修士号を取得した人たちばかりです。
かれらはさまざまな種類の詐欺的な金融操作を学んで
卒業してくるのです。
そしてこのことが、経営者の態度を一変させました。
かれらはますます企業に対する忠誠心を失い、
自分自身にだけ忠誠心を発揮するようになってきています

なぜそこに働く労働者や地域共同体が、
その鉄鋼会社を経営してはならないのでしょうか

考えてもみてください。
仕事を増やし、投資を増やしたければ、
需要を増やしさえすればよいだけです。
もし需要が増えれば、
投資家はその需要を満たすために投資するでしょう。
だから、投資を増やしたければ、
貧しい人たち、働く人たちにお金を与えればよいのです。
そうすればかれらは、それを高価なヨットや
カリブ海の休暇には使わないで、
生活必需品の購入に充てるでしょう

たとえ不法就労者であっても、
かれらはこのアメリカで生活し、
ビルの建設作業に携わり、芝生の草を刈ったりしています。
にもかかわらず、かれらは人間ではないのです

『国富論』の、たとえば、四五〇頁まで読み進んだひとは
そう多くないでしょうが、
しかし、アダム・スミスは、そのあたりから
分業を鋭く批判しはじめているのです。
分業は人を機械に変えてしまうから、というのがその理由です

真に知的な人間とは、難しいことの本質を、
平易な言葉で、かつワクワクしながら語れる人だ

エンジンオイル、OEM仲間の経営塾より

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『生きていくあなたへ』

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聖路加国際病院元名誉院長・日野原重明blog

一粒の麦は、地に落ちて死ななければ、一粒のままである。
だが、死ねば、多くの実を結ぶ。
(新約聖書 ヨハネによる福音書 十二章二十四節)

生きてきた時間のうち、人のために使った時間が多いか、
自分のために使った時間が多いかを測って、
人のために使った方が多い人が天国に行けるんだよ

名誉、お金、地位、他人からの賞賛、
そういうものに囚われていると、
ありのままの自分というのは
すぐに見えなくなってしまいます

自分の努力で変えられることと、
どんなに頑張っても変えられないことがある。
その変えられない現実の中で、真心をこめて生きたとき、
きっと神様が働いてくださる。そう信じて委ねるのです

人間というのは不思議な力を持っていて、
病によって弱められるのだけれど、
やがてその弱さの中から
ある種の強さというのが立ち上がってくるものなのです

確かに病は、筆舌に尽くしがたい苦痛を伴いますが、
これまでの無知だった自分をいさめ、
感謝という恵みを私達にもたらしてくれます

音楽も絵画も技術の素晴らしさが
人を感動させるのではなく、
そこに秘められた優しさや悲しみ、愛が
人々を魅了するのです。
医療も同じで、高い技術を駆使したところで、
患者さんを本当の意味で苦しみから
解放してあげられるとは限らないのです

一人で生まれてきた人間はいるのでしょうか? 
母親のお腹の中にいて、
母親の苦しみを経て、この世に生まれてきた、
その意味で人間は一人ではありません。
命自体が、自分一人の力で得られるものではないからです

医師の一色先生は「もし彼が歌声を取り戻せなかったら、
これまで築いてきたあなたの名誉に傷がつくだけだから、
そんなリスクのある手術をひき受けるべきではない」という
同僚や周囲の声に対し、
「自分の名誉が惜しくて
苦しむ患者を見捨てるわけにはいかない」と決心され、
きわめて成功率の低い手術に臨まれました。
同じ医療に携わる者として心から尊敬する姿だと思います

同時代の人がすぐには分からなくても、
真に価値のあるもの、
つまり真に美しいものに時代は必ず追いついてきます。
歴史の評価に堪えうる強さがあるからです。
本物というのは、
僕は「限りのないもの、区切りのないもの」だと思っています

エンジンオイル、OEM仲間の経営塾より

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情けは人のためならず

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見返りを期待せずに与えることで健康になれることが
科学的に実証されている。
幸せホルモン、愛情ホルモンと言われるオキシトシンが
分泌されて無上の幸福感を感じることができるからだ。

褒めることも、人に幸福感や激を与える。
感謝することも、身体的健康を増進することが分かっている。

心理学者アドラー
褒めるよりも感謝の方が効果は大きい。
よくできたねと褒めるよりも、
ありがとう、助かったよと感謝する方が効果は大きい。
さらに、見返りを求めない無償の行為ほど効果は大きくなる。

上杉鷹山「無欲万両」
欲を離れて無私の心で事に当たることには
高い価値がある。

褒める、感謝する、無欲万両を
合わせると無限の可能性が拓けていく。
人間なら誰でも、心の使い方次第で、
この無限の可能性を活用できる。
鬼に金棒の人生を送れる。

しかも、これはタダです。
使わんと大損ですな。
自分の機嫌は自分でとりましょう。

エンジンオイル、OEM仲間の経営塾より

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『バカ論』

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ビートたけし

歳を重ねるごとに、後世に遺せる仕事がしたい、と
思うようになってきましたが、
「遺す」ためには合理性を捨てなければならない、
ということが分かってきました。

要するに「バカ」にならなければならないということです。

吉田松陰的に言うと、「君たち狂いたまえ」という
言葉になるでしょうか。

「やりたい仕事が見つからない」
「老後をどう過ごせばいいか」

などというありがちな悩みに対しても、
毒舌でバッサリ斬っており、
その視点の斬新さが刺激的です。

バカを見つけるには、ひとつコツがある。
そいつに質問させればいい。
そうすればすぐに馬脚を現す

当事者同士の問題のはずなのに、
マスコミというのは集団ヒステリーを起こしたように
「責任をどう考えるのか?」
「社会に与えた影響は?」なんて、バカなことを
いちいち聞いてくる

一方で、誰かが賞を受賞したり表彰された時の会見は、
驚くほど時間も短い

離婚に限らず、最近はどんなことでも
「世間の皆様にご迷惑をお掛けしたことを
お詫び申し上げます」なんて言って謝るけど、
世間の皆様に謝る必要があるとは思えないことばかり

バラエティ番組でも、いつからか
「ケーキは番組終了後にスタッフで美味しくいただきました」
というテロップが出てくるようになったけど、
嘘つけ。床にぶちまけられたケーキを美味しく食べる奴が
どこにいるんだ。要するに全部クレーム対策

多数決で決まることをあまり信用しなくてもいい。
むしろ「お前はバカだ」と言われても、
九十九人の方ではなく、残りの一人になる勇気が必要

プロ野球で言えば、今の野球選手と、
長嶋さんや王さんを比べちゃいけないってこと。
技術だけで言えば、今の選手や芸人の方が
優れているかもしれない。
だけど、その人が活躍した時代状況が何よりも重要で、
その時にいかに周りより飛び抜けていたかが大事

何を盗むか、というのは、芸人として問われるべき
大事なセンス
そのセンスがない奴は、変な顔をするだけとか、
脱いだり奇抜な格好したりだとか、
ただの見世物、フリークみたいなお笑いしかできない。
結局それは、「笑わせている」んじゃなくて、
「笑われている」だけ

「かくし芸」を「売り芸」にしちゃダメなんだ。
「裏芸」はあくまで「裏芸」の良さであって、
それを「表芸」にしてしまったら、
芸人としての寿命が縮むだけ

──「やりたい仕事が見つかりません」
いきなり参っちゃうね。まあ若い奴なだんだろうけど、
はっきり言うと、
「やりたい仕事が見つからない」ではなくて、
やりたくてもそれに見合った実力がないだけ

大体、孤独じゃない死なんてあるのか。
そもそも人間なんてのは、
ひとりで生まれて、ひとりで死ぬものだろう

現在の日本人は、空気を読みすぎて
がんじがらめになっていますが、
『嫌われる勇気』なんて深刻な話ではなく、
批判されても「それがどうした」と開き直れること、うけあい。

エンジンオイル、OEM仲間の経営塾より

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