デキるビジネスマンの「お礼状」は字が汚くても印象に残る理由

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「稼げる営業マン」と「ダメ営業マン」の習慣 より菊原智明:営業サポート・コンサルティング代表取締役

〇意外に難しい「お礼状」を送るという行為
私は多くの方とお会いし名刺交換させていただく。その中で、ご丁寧にお礼状を送ってくれる方もいる。お礼メールでさえ送らない人か多い中、本当にすばらしいと思う。出会った人にお礼状を送るというのは“分かっていてもできない行動”の代表的なものだ。簡単そうに見えて、いざやってみると結構難しい。まずは《何かを書いたらいいのか?》と迷いだす。短い文章だとしても書き慣れないと、なかなか筆が進まないものだ。さらには《字が下手なので送るとかえって逆効果になるのでは》と心配する人もいるだろう。過去の私もそう思っていた。 結果的な「お礼状」という観点で言えば、文章や字の上手さなどはあまり関係がない。むしろ達筆で小奇麗なお礼状より、ちょっと汚い字で書かれていた方が好印象だったりする。むしろ字が下手な人ほど効果的であり、ぜひ活用してほしいと考える。

〇芸術的なお礼状なのに物足りなさを感じた実例で解説しよう。
以前、多ジャンルの人が集まる交流会に参加したことがあった。こういった場所では当たり障りのない会話だけで終わりがちなものだが、その時はなぜだか気が合い、3人の方と仕事からプライベートまで結構深いところまで話し込んだ。それから数日後、まずはAさんからお礼状が届いた。和紙風のハガキに墨文字でメッセージが書かれており、非常に芸術的な印象を受けた。なかなかここまでのものを送ってくれる人はいない。確かに嬉しかったのだが、なぜだか物足りなさを感じた。とはいえ、その時点ではAさんが一番印象に残った。
その翌日、Bさんからお礼状が届いた。Aさんのように芸術的ではなく、ボールペンで普通に書かれたもの。書かれている字もお世辞にもうまいとは言えない。しかし、このお礼状はとても印象に残った。ちなみに残りの一人のCさんからはお礼状もメールも届かなかった。Aさん、Bさん、Cさんを比較すると、お会いした時はBさんが一番印象に残らない方の人だった。しかし、Bさんからお礼状をもらった時点で、一番印象的な人に変わった。

〇最後に書かれていた1文で印象がガラリと変わった
何も接触がなかったCさんは別として、AさんとBさんの差はなんだろうか?理由はBさんからいただいたお礼状には“その人と私だけが知っているエピソード”が書かれていたからだ。お礼状の最後に「娘さんの受験、よかったですね」と手書きで書いてあった。その1文で《菊原さんだけのために書きました》というのが伝わってきたし、すごくうれしい気持ちになった。
一方Aさんは、ハガキは芸術的だったものの、他の人にも同じものを送っているように感じた。名前こそ「菊原さん」となっていいたが、その部分を「山田さん」「佐藤さん」に変えても十分意味が通じるものだ。これがAさんとBさんの違いだったのだ。
Bさんは長期間「結果」を出し続けている営業マンである。その訳もうなずける。これはお礼状だけでなく、メールを送る時にも言えることだろう。《大勢の人に同じものを送っています》という雰囲気が出てしまうと、お客様はシラけるもの。送らないマシだが、会社で用意したテンプレートを使ったのでは効果は低くなる。テンプレートを使わず一人ひとりに丁寧に送ったとしても《みんなにも同じものを送っているのだろう》と思われたのではもったいない。お客様と自分しか知らないエピソードを1文でも伝えるからこそ、お礼状でもメールでも効果が何倍にもアップするのだ。

〇その「ひと手間」によって営業成績の「結果」は変わってくる
とはいえ、私自身、これができていたかというとそうではない。実はダメ営業マン時代は、お会いしたお客様へのお礼状を事務の人に丸投げしていた。会社で用意した印刷物をそのまま送るだけ。メッセージなど一切書かなかった。もちろん効果などない。こんな無機質なハガキを送ったところで、お客様の心はつかめないのだ。
一方、当時トップ営業マンだった先輩はまったく違っていた。さまざまな業務に追われているにもかかわらず、お客様とのエピソードや関連した事を必ず一言添えて送っていた。こういった「地道な行動の差」が大きな結果の差になって現れていた。その先輩の契約数は私の5倍以上だった。 あなたは、どんな内容のお礼状、お礼メールを送っているだろうか?「会社から与えられた文章をそのまま送っている」という人は、今日からお客様との事を一言添えて送ってほしい。その「ひと手間」によって、あなたの営業成績は大きく結果が違ってくるものだからだ。

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「眠れぬ夜」

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清水市代、日本将棋連盟常務理事

なぜ眠れない?不安だから。何が不安?と自問自答を繰り返し、眠りを妨げる原因を挙げては、その対策を考える。ひとつひとつ解決していく作業に取り組んだ。やるべき事は、すべてやった。そう考えれば、後は対局開始を静かに待つだけである。その1局に、今、自分が持てるすべての力を出し切るだけである。勝負は、その日だけの自分が試される訳ではない。その日までの自分が、すべて盤上に現れるのだから。

そう思えるようになってからは、前日に眠れない、という心配は無くなった。逆に今は、対局後の方が眠れない。朝の対局開始から、長い時は10時間近く考え、読み続けていた頭は、なかなか冷めてくれず、熱い。熱過ぎて、溶けだしてしまいそうだ。身体と心は疲労困憊で、今にも倒れ込みそうなのに、頭だけは冴えわたり、眠れぬ夜となるのである。

負けた時は、なおさらだ。出るのはため息と呻きと、少々の涙。プロ入り30年、悟りの境地は未だ遠い。

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ありがとうの神様――神様が味方をする習慣

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小林正観
誰でもできる!「毎日が幸せな人」がやっている習慣

幸も不幸も存在しないそう思う「心」があるだけ
たとえば、ガラスのコップを見たとき、100人が100人とも「これはガラスのコップである」ことがわかります。
お箸を見たとき、100人が100人とも、「これはお箸である」ことがわかります。茶碗を見たとき、100人が100人とも、「これは茶碗である」ことがわかります。

では、100人が100人とも、「これは『幸せ』である」とわかるものは、あるのでしょうか?
すべての人が、絶対的な価値を持って「幸せだ」と思えるものは、存在しません。
Aさんにとっては「幸せ」なことが、Bさんにとっては「幸せではない」ことがあります。「幸せ」は、個人にのみ帰属するものです。「幸せの本体」がどこかにあるのではなく、私が「幸せ」と思えば「幸せ」に、「不幸」と思えば「不幸」になります。

個人が「これは私にとって幸せである」と決めた時に、その人にとっての「幸せ」になるのです。このコップの水は半分しかない。だから「不幸だ、不愉快だ」と思う人がいてもいい。
その反対に「半分あって嬉しい、楽しい」と思っても、あるいは、「半分残してくださってありがたい」と思ってもいい。
「コップの中に半分の水がある」という現象に価値を決めているのは、受け取る側の「心」です。

幸せも、不幸も、外的なもので決まるのではなく、「心」のあり方で決まります。「つらく」「悲しく」「むなしい」と思う事実は、じつは、存在していません。「そう思う心があるだけ」です。
ですから、「つらく」「悲しく」「むなしい」ことは、「そう思い、そう決めつけた自分の結論」です。

30年間病気をしたことのない人が、盲腸で2週間入院をしたとします。そのとき、「病気になったことは、不幸だ」と考えることもできますが、「2週間まとめて休むことができたので、すごく元気になった」というとらえ方もあります。「2週間会社を休んだ」という現象自体はニュートラル(中立)であり、何の評価もついていません。「本人のとらえ方」が、評価(幸か、不幸か)を決めているのです。

ひとつの現象や出来事に、プラスもマイナスも、幸も不幸もありません。
すべての人が、「幸せだ」と言える出来事や現象があるのではなく、自分が「幸せだ」と思った瞬間に、そう思った人にだけ「幸せ」が生じるのです。「幸せ」とは、存在するものではなく「感じるもの」です。

結局のところ、私たちが、目の前の現象をどう思うか、感じるかであって、普通に歩けることが幸せだと思った人には、幸せが1個。
目が見えることを幸せだと思った人には、幸せが2個手に入る。
耳が聞こえて幸せ、口で物が食べられて幸せ、鼻で呼吸ができて幸せ……と考えていけば、「幸せ」はいくらでも手に入ります。
すべての人に共通する「幸せ」はありません。ひとえに「私」が「幸せ」を感じるかどうかで、「幸せ」が存在するかが決まるのです。

〇神様が味方をしてくれる人になる習慣
人は1人で生きていると「ヒト」ですが、喜ばれるように生きていくと、人と人の「間」で生きる「人間」に変わります。人の間で生きるということは、「自分が必要とされている」ということです。

「人間」の生きる目的は、ほしいものを得たり、何かを成し遂げることではなく、「人の間で喜ばれる存在になること」「『ありがとう』と言われる存在になること」にほかなりません。
発する言葉や表情など、その人のふるまいが「まわりを喜ばせるもの」になっていれば、投げかけた結果として、まわりの人があなたにとっての「よき仲間」になってくれるでしょう。

「しあわせ」の語源は「為し合わせ」です。お互いにしてあげることが、「幸せ」の本質なのです。努力をして、頑張って、必死になって、自分の力だけを頼りに生きていこうとする人のもとには、人は集まりません。「孤独という状態」が続いてしまいます。
一方で、「自分の力なんてないんだ」と思っている人は、まわりに支えられて生きていることがわかっているので、「謙虚」です。「謙虚」とは「感謝」すること。「感謝をする人(「ありがとう」を言う人)」のもとにはたくさんの人が集まってきて、「よき仲間」に囲まれます。
教え合い、学び合い、交歓し合う「よき仲間」に囲まれたなら、それだけで「天国度100%」。頑張りも努力もいりません。

ただ、「喜ばれること」を続けていけばいいのです。「思いを持たず」、よき仲間からの「頼まれごと」をただやって、どんな問題が起こっても、すべてに「ありがとう」と感謝する(受け入れる)こと。
「そ・わ・かの法則(掃除・笑い・感謝)」を生活の中で実践することであり、「ありがとう」を口に出して言い、逆に、「不平不満、愚痴、泣き言、悪口、文句」を言わないこと。
すると、神様が味方をしてくれて、すべての問題も出来事も、幸せに感じて「よき仲間に囲まれる」ことになり、「喜ばれる存在」になる。これこそが「人生の目的」であり、「幸せの本質」なのです。

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米国型経営の誤った導入

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コーポレートガバナンスは、それぞれのコンポーネントが相互に整合性を持ったシステムとして機能している。このため、一部だけを無理やり変更しても、木に竹を接いだ形になって機能しなくなる。

ある会社のトップは、流行を追って組織のフラット化を断行して、管理職の段階を減らした。
一人の管理者が、ある程度内容を理解しながら指導できる人数は5人前後が限界だ。課や係は、それに対応して組織されていた。だが、1段でも組織をフラットにすると一人で20人以上を指導することになり、たちまち機能不全に陥った。

また、長期間の安定した勤務であった女性の一般職を大幅に削減した。
すると、各課、係の司書として機能していた人間データベースを減らしてしまい、この結果、組織の記憶が失われてしまった。

米国の異常に高いトップの報酬は、米国企業内の一体感を阻害する重大な要因である。
米国企業がトップに高額報酬を払う事が可能なのは、株主の了解無しに報酬委員会だけで、報酬を決められるからだ。日本は、会社法に委員会設置会社を導入して、この悪習を輸入した。

パフォーマンス重視の評価制度は、現場の管理者が部下の採用、解雇、評価を一手に行える場合には、機能する。人事異動も、本人と異動希望先の管理者との直接交渉で行われる。
だが、日本の人事制度では、現場の管理者に採用・解雇の権限が無い。人事異動も本人の希望が叶う事は少ない。
日本的組織で、パフォーマンス重視の評価報酬制度を導入しても、悪い評価を受けた部下が上司や人事部に不満を募らせるだけに終わる。

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個々のモチベーションをマネジメントする方法

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~時代の変化と多様性に対応する~
TOP ブログ記事 個々のモチベーションをマネジメントする方法


最近従業員のモチベーションを上げるのが難しいと感じることはありませんか?人事制度の見直しやマネージャーの教育も大切ですが、最も重要なのは【従業員ひとりひとりに向き合い、最適にマネジメントすること】。実践するのは難しいとお考えの方にこそお伝えしたいコツが満載です!

モチベーションマネジメントとは
モチベーションとは「意欲」のことです。ビジネスの世界において働く意欲を高めるには、何のために働くかという目的をはっきりさせる必要がありますが、その目的は個々人の価値観によってさまざまです。

とはいえ組織で仕事を進めていく以上、メンバー全員の意欲を高めて成果を出していかなければなりません。人間に共通する欲求として、「認められたい」という承認欲求があります。組織では、ここをうまく満たすことで上手に動機づけを行い、組織全体の雰囲気を盛り上げていく。これがモチベーションマネジメントです。

そもそもなぜ従業員のモチベーションが下がるのか?
従業員のモチベーション低下が近年問題となってきたのは、時代の変化と働く人の変化が原因にあります。インターネット社会になり、さまざまな情報が手に入ることで他人と自分を比べやすくなった、という背景もあります。

それでは、それぞれの原因についてみていきましょう。

原因1:時代の変化
バブル崩壊後、長期間働いてさえいれば待遇が右肩上がりになっていく、という昇進昇給が当たり前の世の中ではなくなり、より一層各人の努力が求められるようになってきました。しかし頑張ってもなかなか評価されない、収入が上がらない、失敗すると怒られる、という状況下では、モチベーションを保つのが難しくなります。

商品やサービスのライフサイクルが短くなり、競合相手より少しでもよい商品、よいサービスをお客様に届け、顧客満足度を上げるために、日夜努力を重ねています。戦略や方針の変更も多々あり、それをメンバー全員に浸透させるのは大変なことです。

時代の変化に合わせて、人事制度を見直し柔軟な勤務体系とする、評価をプロセスと結果できめ細かく見ていくように変更する、管理職の研修を行う、などのさまざまな改善策が試みられていますが、従業員のモチベーションを大きく上げるのはなかなか難しいようです。部下と組織の両方の間に立つ管理職の方々も、日々モチベーションを高く維持するのに苦労されるケースが多いのではないでしょうか。

原因2:従業員の多様化
幅広い人材を戦力としていこうと、ダイバーシティマネジメントが謳われている世の中、従業員の多様化が進んでいます。それにより、モチベーションを左右する要因も多様化しています。

例えば、小さい子供がいる方は、勤務時間がきっちりしていること、家庭の緊急時に柔軟に対応できることが大事になります。セカンドキャリアの方は、自分の能力やノウハウを活かすことにやりがいを感じ、それを求めます。ステップアップを目指して勉強中の方は、勉強時間を確保するとともに、本業でも多くの経験を積むことを望んでいます。

このことからもわかるように、一つの制度で従業員全員のモチベーションを高めるのは、難しい時代です。

ひとりひとりに最適なモチベーションマネジメントを行うには
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このような背景はありますが、社員ひとりひとりに合わせたマネジメントは、無理な話ではありません。ひとりひとりに向き合うことでその能力を引き出せれば、足し算ではなく掛け算で組織の力は強くなっていきます。そのためのモチベーションマネジメントのコツを述べていきます。

個々の話を傾聴する
すべてのマネジメントの基本が、「日常のこまめなコミュニケーション」です。

部下は、それぞれ異なった価値観や意志を持っています。こちらから伝えたいこともたくさんありますが、まずは相手の話を聞くという基本スタンスを忘れないでください。

管理職は、話しかけやすい雰囲気を常に持ち、部下の話には短時間でも手を止めてタイミングよく応じていくことが大切です。

面談の場だけでなく日常のさまざまな場面で、部下が今どのようなことに関心や希望を持っているのかを、折にふれて把握しておくとよいでしょう。

方針・指示を明確に伝える
何のために働くのかという目的をはっきりさせるために、組織の方針をわかりやすく明確に伝えることが大切です。

グランドデザインをまず示し、軸を動かさない。必要とあればメンバーを作戦会議に巻き込み、共通の成果に向けて各自が主体的にリーダーシップを持つよう誘導していきましょう。

また、指示を与える際に気をつけたいのは、朝令暮改や迷走を避けるということです。複数の部門や業務をまたぐプロジェクトに従事している部下には、指示命令系統を明確化して示します。また、受け身意識や負荷の偏りをなくすためにも、本人から目標やレベルを自己申告してもらうことも有効です。そのうえで、いかにそのメンバーがこの業務に必要か、また期待しているかということを伝えると、本人もモチベーションが上がるはずです。

さらに実績成果の評価については、「実績値」「達成率」「進捗率」の3つで実績成果を数値化させ、そこにプロセスでの努力を加味したフィードバックを行うと、自分はきちんと評価されていると感じられ、部下のモチベーションは高まっていきます。

人材育成方針を定め、実行する
管理職は、担当部署の業績を上げることとともに、人材を育成することも重要な使命です。人は勝手に育つのではなく、やる気を引き出し育てていくもの、という心構えを持ちましょう。

どのように育てるかは部下によって異なりますが、過保護にするのでも突き放すのでもなく、戦力として期待している、大事に思っているということをメッセージとして伝えます。

そして組織の方向性を勘案しつつ、どのような業務につけて経験を積ませるか、あるいはどの研修を受講させるかといったことを、具体的に育成策に落とし込み、実行していきましょう。また、この育成策のねらいを本人に伝えることが、さらなるモチベーションの向上や自己啓発につながります。

プロジェクト体制の最適化、部門間の調整
業務を遂行するにあたり、作業の内容やメンバー、リソースを確認し、この体制でゴールにたどり着けるか、目標が達成できるかを見極めます。初期段階で体制を整え、さらに進捗を見ながら体制を変えていく柔軟さが大切です。

複数の部門にまたがる業務であれば、その調整だけで担当者が疲弊してしまうこともあり得るので、必要に応じて手を差し伸べていきます。

このようにして、従業員がのびのびと働きやすい環境を作り、実績を上げることでモチベーションを高めることが、管理職の役割といえます。

まとめ 
組織内の人材の経験値や能力、希望を把握し、そのパフォーマンスを最大化するために、戦略的な人材配置や教育などの取り組みを行うことが、個々のモチベーション向上につながります。このようにメンバーのモチベーションを高め、相乗効果でチームワークをよくし、成果を上げ続ける組織を作っていってください。

エンジンオイル、メーカー、OEM仲間の経営塾より

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創造性の芽を潰してはいけない

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アダム・グラント

大人になって(スティーブ・ジョブズがいうところの)「宇宙をへこませる」ような人がどういう人かを考えてみると、まず頭に浮かぶのは“神童”だろう。2歳で字が読めるようになり、4歳でバッハを弾き、6歳で微積分をゆうにこなし、8歳までに7ヵ国語を流暢に話せるようになっているような天才児たちだ。クラスメートは羨望のまなざしで彼らを見る。

けれどもT・Sエリオットの詩の言葉を借りると、天才児のキャリアは「地軸がくずれると驚きもなく、ただひそやかに」終わる傾向があるのだ。実のところ、神童と呼ばれた人が大人になって世界を変えることはまれだ。

心理学者の研究によると、歴史上もっともすぐれ、多大な影響をおよぼしている人たちは、子ども時代にはさして才能に恵まれていたわけではない。天才児を大勢集めてその一生を追跡してみたとしたら、同等の家庭環境に育つふつうの子どもたちよりも、とくに優れているわけではない。これは直感的に理解できることだ。

才能に恵まれた子どもたちは、学問的な知識は優れているけれども、社会でうまく生きていくための知識に欠けていると、みな思うだろう。知的な能力があっても、社会的、感情的、実践的なスキルに欠けているのでは?だが研究の結果を見てみると、この説明では不十分なのだ…才能に恵まれた子どもたちのうち、社会的問題や感情的問題に苦しんでいるのは、4分の1に満たないのである。大部分はうまく社会に適応しており、社交の場であるパーティでも国語検定大会と同じように楽しく過ごしている。

ではなぜ、天才児は才能にも野心にも溢れているのに、世界を進歩させるようなことを成し遂げられないのかというと、「オリジナルであること」、つまり独自のことや独創的なことを率先して行う術を学んでいないからだ。カーネギー・ホールで演奏したり、サイエンス・オリンピックで優勝したり、チェスのチャンピオンになったりするうちに、悲しい結末が待ち受けている。訓練で技術は完璧になるが、新しいものを生み出すことができなくなるのだ。才能ある子どもたちは、高尚なモーツァルトのメロディーや美しいベートーベンの交響曲を奏でるようになっても、自分では作曲をすることはない。既存の科学的知識を吸収することには労力を注ぐが、新しい知識を提供することはない。独自のルールやゲームを考え出すのではなく、既存のゲームで体系化されたルールにしたがっている。そして全過程において、両親からの承認や教師の称賛を懸命に得ようとしている。

研究によると、創造性のもっとも高い子どもたちはむしろ、教師に好まれないことがわかっている。ある研究では小学校の教師に、お気に入りの児童と気に入らない児童をあげてもらい、リストに示されている特徴に照らして、両グループの児童を評価してもらった。その結果、もっとも気に入らないと評価された児童は、まわりに同調せずに自分独自のルールをつくる子たちであった。教師は創造性の高い児童を冷遇し、問題児としてあつかう傾向がある。そのため、多くの児童はルールにしたがうことを素早く学び、自分だけのユニークな考えを胸にしまっておくようになる。作家のウィリアム・デレシーウィックツの言葉を借りると、「このうえなく従順な羊」へと変貌を遂げる。

古来、どの時代においても、成功した人、生きのびてきた人たちに最も必要なのは、オリジナリティや独創力だ。ITやAIが発達する現代は、ますます個性的なことや独創的なことが重要視される時代となった。ルーティンの仕事や一般的な事務や作業のほとんどが今後AIに置き換わってくるときに必要なのが、AIにできない仕事、つまり、マニュアルにない仕事や、まったく新しいものを作る力や、対人関係能力だからだ。特に、新しいものを創り出していくことはロボットやAIにはできない。

親や教師は、「他人に迷惑をかけないこと」や「波風を立てないこと」、「ルールに従うこと」を重視する。そして、それが行き過ぎると、他人と違うことを否定するようになる。親や教師やリーダーは…人の創造性の芽を潰してはいけない。

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『人生を変える』

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本田健

人生は、つきあう人によって、大きく変わります。人生を変えるのに、てっとり早い方法は、洋服を変えること、つきあう人を変えることの二つ。

あなたが体験している失敗は、つきあっている人が原因である可能性があります。最新の心理学の研究では、あなたが日常的につきあっている人たちの幸せ度合いが、あなたの精神状態に大きく影響する。友人との関係も、あなたが積極的に新しい友人を作っていくタイプでなければ、固定化しているのではないでしょうか。すると、ふだん行くレストラン、旅行先もだいたい同じようなところになっているはずです。もし、あなたが大企業に勤めていたら、これからの年収がだいたい予測できるはずです。

変えたいなぁと感じたなら、自分がこれから行きたい世界の住人とのつきあいを始めることです。もし、今つきあっている人が、本来あなたがつきあう人でなければ、その関係を変えなければいけません。

ある人が、仕事仲間から愚痴を言い合う飲み会に毎晩のように誘われるのを断って、弁護士になる勉強を始めました。最初は、仲間にひどいことを言われましたが、そのうち、つきあいもなくなりました。数年して、試験に合格し、彼は弁護士になりました。あるとき、弁護士仲間とでかけたところ、昔の同僚グループが、偶然一緒のお店の隣のテーブルにいたのを見つけたそうです。彼が、そのまま変わらなければ、愚痴を言うグループにそのままいたことでしょう。つきあう人によって、人生はまったく変わるのです。

いくら人生を劇的に変えたところで、身近な人たちが幸せでなかったらそれは何の意味もない。家族や身近な仲間たちを不幸せにして、自分だけ成功したとしてもそれは偽りの成功。自ら変化を求めなくても、自らの魂を鍛え、日々修養し、人格を高めていくなら、自ずと付きあう人は変わってくる。
逆にいうなら、普通、自分よりレベルの高い人が、何の取りえもないようなレベルの低い人間とつきあってくれるはずがない。

また、環境を変えることによって運命を変えることもできる。環境を強制的に変えれば、つきあう人も自ずと変わってくる。悪に染まるような環境にいれば、悪に染まりやすいし、逆に周囲全員が、ポジティブで、新しいことに挑戦することが好きな勉強会やグルーブや会社に入れば、自ずと自分もそうなっていく。「人は環境によって大きく左右される生き物」だからだ。つきあう人によっても人生は変わる。

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ほんの少しの差が大きな差になる

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カクヤスグループ会長、カクヤス社長、佐藤順一

1店舗の商圏は半径1.2㎞でやってみたら配達効率が良く、コストも店頭販売とあまり違わない。そこで、送料を無料にして店頭価格でお届けすることを考えた。しかし、1996年には酒の市場が縮小に転じる。縮小マーケットではたくさん売っても、いつか報酬はもらえなくなる。つまり安売り商法が通用しない。さらに1998年には、酒販免許に関する規制緩和を2003年までに実施すると決まった。宅配の大手やスーパーが酒販免許取得したら、まったく勝てない。これが1990年代後半に私が診ていた市場だ。

カクヤスは配達をやるから景気がいいと知られてしまえば、大手の宅配が参入してくる。それを許せば勝てない。では、大手ができない配達とは何か。私は売り手である私たちの都合を徹底して排除することを考えた。当時の家庭への配達は、当日配達ではなかった。また5000円以上など金額や数量が決められていた。これらをすべて撤廃できないかと考えた。それまで半径1.2㎞の商圏で1時間あたり4.2件の配達ができていた。これならば注文から2時間以内に届けられるという読みもあった。都内23区全域どこへでもを可能にするには半径1.2㎞の商圏を横展開すればいい。この商圏の面積は1.2×1.2×3.14で出る。その面積で都内23区全体の面積を割ると、137という数字が出てきた。

2000年、毎年30店舗ずつの出店を決めた。価格軸ではなく、お届け軸で戦う。天命も「酒 スーパーディスカウント大安」から「なんでも酒やカクヤス」に変更した。酒販面器を持つ酒販店やコンビニを買収して店舗を増やし、2003年には予定どおり23区全域をカバーした。
しかし、当時の経営は厳しかった。価格戦略は結論が早い。安いことを訴求すればお客は入る。でもお届けでの付加価値戦略は時間がかかる。100円高くても宅配を選ぶ人もいれば、5円しか安くないのに店舗まで買いに来る人もいる。宅配が便利かどうかは、そもそも一度使ってみないと分からない。だから時間がかかる。当初、出店から半年で黒字化する予定だったが、実際には3年目にならないと黒字化できなかった。出店計画を進めながら、大きな赤字を抱えることになった。それでも、買収した店にはキャッシュが入るし、その店への売掛金は溜まっていくのでカクヤスの帳簿は傷まない。赤字を垂れ流しながらも、出店を続けられた訳だ。

若手営業スタッフの一言が苦境を救ってくれた。飲食店の中にも、急ぎの時にはカクヤスの店舗で買っているところがある。そこで、従来は倉庫からトラックでルート配達をしていた飲食店向けの業務用配送をルート配達より早い店舗からやってみた。すると大好評だった。飲食店の方が一般家庭よりも、2時間で届くサービス喜んでくれた。十数年やって積み上げた一般家庭むけの売り上げを飲食店むけの売り上げはわずか3年で抜き、会社は黒字化した。

2011年、年商1000億円を達成。2019年、東京証券取引所第2部に上場した。

コロナ禍が襲う。売り上げ構成は一般向け配達が3分の1、飲食店向け配達が3分の1、店舗での販売か3分の1だった。飲食店向けのほとんどが消失してしまった。飲食店向けの穴を家庭向けでカバーすべく、店舗からの宅配倍増計画を策定した。また、酒だけでなく、正午から夕方までの暇な時間には酒と親和性の低い商品、調味料やペット用品、介護用品なども配達する態勢を整えた。それと同時に、飲食店の需要が回復した時に拡大した宅配部門を縮小できないから、これまでの配達とピストン宅配の他に、業務用専門のサテライトの出荷拠点を30か所整備し、ルート、宅配、サテライトの3層物流を実現した。

コロナ禍で30億円もの赤字を計上する中でテレビCMを打つと決めた。コロナ禍で家飲みが増えている今こそ、売り上げを伸ばす時だからだ。コロナ禍を乗り切らないと先は無い。
こんなサービスがあったら顧客は嬉しいよねというものを、まずはやってみようと思う。やってみて数値で検証し、駄目ならやめればいい。他社に大きな差をつけるサービスは、もう、あまり残っていない。でも、でかいことををやる必要はなく、細かいことが大事。ほんの少しの差でお客さんに選んでもらう。その積み重ねがいつか途轍もない差になる。勝ち方とはそういうものだと思う。

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『心をつかむ技術』

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カート・モーテンセン

誰かから何かをしてもらったときに、「なんとしてでも、このお返しをしなければならない」という心理が働く。お返しをすることで、相手への貸しをなくすことができるからだ。「人に親切にすれば自分も親切にしてもらえる(情けは人の為ならず)」ということわざは、どの文化圏にもあてはまる。

たとえば、相手が笑顔を見せてくれれば自分も笑顔を見せようとするし、相手がほめてくれれば自分も相手をほめようとする。別にお返しをする必要がないときでも、人々はできるだけ早く借りを返そうとする傾向がある。場合によっては、借りを返そうという思いが強くて、してもらったことよりはるかに大きなお返しをすることすらある。

私は家族とともに新しい地域に引っ越したとき、妻と二人でささやかなクリスマスプレゼントを近所のすべての家に配って歩いた。どれも5ドル以下のプレゼントだ。近所の人たちとも顔見知りになりたかっただけだが、私たちが全員にプレゼントを手渡して30分もしないうちに、玄関のドアのベルが鳴った。ドアを開けると、一人の婦人が大きな箱を持って立っていた。箱の中には、50ドルはするような大きなチョコレートが入っている。彼女は「この町へようこそ、よい休日をお過ごしください」と言って立ち去った。彼女は突然できた借りに耐えられなくなり、そのお返しとして、受け取った贈り物の10倍以上の値打ちのある贈り物をしたのだ。

借りを返さなければならないというプレッシャーはたいへん強く、また、借りを返さないような人は軽蔑される。贈り物を受け取るだけでお返しをしない人は利己的で強欲で人情味がないと見られやすい。人々が借りを返さずにいられないのは、そういう心理的・社会的なプレッシャーによるものだ。
たとえば、相手の心の中に貸しをつくるために、あなたが与えることができるものを考えてみよう。たとえば、次のようなリストができる。サービス、情報、譲歩、秘密、ほめ言葉、笑顔、贈り物、招待状、時間

ただし、このテクニックが相手の心の中にお返しの必要性をつくり出すのは、相手があなたの行為を誠実で、妙な下心がないと思う場合に限られる。もしあなたの行為を罠だとか賄賂だとか思えば、相手はその手に乗るまいとするだろう。相手を利用して自分だけが利益を得る目的で貸しをつくろうとすると、あなたは確実に説得力を失う。
人々はあなたの下心を見抜き、あなたが差し出す贈り物をいっさい拒否し、場合によってはあなたといっしょにいることさえ嫌がるだろう。相手はあなたの贈り物を罠だと思い、あなたが「早く貸しを返せ」と言ってくることを警戒するにちがいない。心をつかむ達人になるためには、あなたはまず自分の動機が不純でないかどうかを検証すべきだ。

「返報性の原理」
人は何か他の人からプレゼントやおみやげをもらったりすると、その相手に対して「お返しをしなければいけないと思う」、この感情を言う。魅力のない人は、この返報性の原理からはずれている人だ。魅力というのは、人に与えることによって生まれるが、求めることによって無くなってしまう。欲しい欲しいとねだる人や、いつももらってばかりで一つも返さない人には魅力を感じない。心をつかむ達人は、下心なしに、与えることの多い人。

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『人望が集まる人の考え方』

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レス・ギブリン

実業家のヘンリー・カイザーは「人とうまくやっていく第一のルールは、すべての人を重要な存在とみなすことだ」と明言している。

デューク大学のJ・B・ライン博士は、それとまったく同じ意味のことをより科学的な言葉で表現している。20年以上にわたり研究を重ね、「人間が論理の生き物というより感情の生き物だと気づけば、人間関係の技術は飛躍的に向上する」と主張し、さらにこう言っている。

「当然、私たちの人間関係は、相手をどう認識するかにかかっている。相手をロボットか機械のようにみなすと、人との関わり方が利己的で一方的なものになりやすい。しかし、相手を独自の価値を持つ存在として大切に扱うと、相手の意見や考え方に敬意を払うようになる。
その結果、相互の関心、理解、友情にあふれたより高い次元の人間関係が可能になる」

人々に対して最も強い影響力を持つ人たちは、人々を重要な存在とみなす人たちである。また、あなたは身の回りで起きていることのほんの一部しか見えていない。自分にとって重要なものだけを選んで注目しているからだ。したがって、相手にもっと働いてもらいたいなら、その人に注目すると効果的である。それによって相手に重要感を持たせることができる。

ミシガン大学リサーチセンターの心理学者が科学的な研究をおこなった。どうすれば現場の作業員がより熱心に働き、生産性を上げ、よりよい仕事をするかを調べるためだ。

その結果、作業員に関心を示す監督は、もっと働けと命令するタイプの監督よりも大きな成果を上げていることがわかった。
一時期、バージニア州のハーウッド工場は離職率が高く、労働者を引き止めるのに苦労していた。そこで工場長はこの問題を解決するために有名な心理学者を呼んだ。その心理学者は人間の習性を見抜く達人で、一人ひとりの労働者に注目し、彼らの重要性を認めていることを本人たちに伝えるよう工場長に指導した。まず、人事部長は新規採用の労働者と面接し、生産工程を説明しながら一人ひとりの役割を明確に伝えた。

〇人とかかわるときに必要な4つのルール
1.すべての人は程度の差こそあれ自分本位である。
2.すべての人は自分に最も強い関心を抱いている。
3.すべての人は自分が重要だと感じたがっている。
4.すべての人は他人に認められたいと思っている。
すべての人は自尊心を満たしてほしいと強く思っている。その願望がある程度満たされて初めて、人々は自分のことを「忘れ」、他人に意識を向けることができる。また、自分が好きになって初めて、人々は他人に対して友好的になることができる。

従来、自己中心的な人は自尊心が高すぎると信じられてきた。だが、臨床心理学の研究で、自己中心的な人は自尊心が高すぎるのではなく低すぎることがわかったのだ。自分との関係がうまくいっているなら、他人との関係もうまくいく。自分との関係がうまくいっておらず、他人との関係もうまくいっていない人は自尊心が欠如しているので、自尊心を取り戻すことが唯一の解決策となる。
自分を少し好きになれば、他人のことも少し好きになることができる。いったん自分に対する強い不満を乗り越えれば、他人に対して批判的でなくなり、寛容の精神を発揮することができる。

「金持ち喧嘩せず」ということわざがあるが、まさに自分の心が満たされていれば、誰かと事を荒立てることはしない。自分の心が満たされるとは、自尊心が満たされているということ。自尊心が満たされるとは、愛情袋が満たされることでもある。愛情袋とは、愛情をためる袋のこと。
人からもらう愛情とは、「ほめられること」「笑顔」「称賛」「ハグ」「笑い」「親愛のまなざし」「認めてもらうこと」等々。そして、自分の愛情袋がまず先に一杯にならないと、優しい言葉や、気遣いといった、人を思いやる余裕はできない。

エンジンオイル、メーカー、OEM仲間の経営塾より

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