「試行錯誤に漂う」

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 保坂和志

試行錯誤の意味は、何事かを試みては過ちを繰り返す事。多くの場合、試行錯誤を経て望ましい結果にたどり着く。

錯誤を伴う試行は、事の成就の為に必要な回り道である。保坂の解釈は違う。試行錯誤のまっただ中に留まること。結果に飛びつかずに、そこで漂い続けること。それこそが、人生を豊かにするのだ。

成就とか達成とか完成とかは無い。完成があるように思えたとしたら、それこそが過ちなのだ。ただひたすら淡々と考えること。考えながら書くこと。試行錯誤すること自体が一種の軌跡を可能にする。

表現や演奏が実行される前に、まず、その人がいる。その人は、体を持って存在する。その体は、向き不向きによっていろいろな表現の形式の試行錯誤をする。

試行錯誤には厚みがあって、開かれている。その厚みは、世界それ自体の厚みでもある。世界とは、驚くほど不完全にできている。いつまでも完成することはないと考えるんでんな。また、一つの人間の考えでは捉えきれない。説明がつかない。それほど、複雑なものなんですな。試行錯誤が終わることはない。

エンジンオイル、OEMの仲間の勉強塾より

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アフターファイブ、外国人の同僚とどう付き合う ?

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〇「飲みにケーション」は、外国人も大好き。気軽に誘う。外国人社員は、家族や友人とのプライベートな時間を大切にする。だから、仕事が終わると、さっさと帰る。これは思い込み。小さな子供がいる外国人社員は、仕事が終わるとすぐ帰る。しかし、日本で働く外国人は、結構一人暮らしが多い。彼らは、日本人社員と、よくバーに飲みに行っている。実は、外国人は日本人以上に「飲みにケーション」を大切にする人が意外に多い。外国人社員を飲みに誘う事は、全く問題ない。もし嫌なら、日本人と違い、はっきりと断るからだ。酒がご法度のイスラム教徒でも個人差がある。誘っても問題はない。酒は飲まないが、参加する人は多い。

〇酒の席では、相槌を打つばかりよりも、議論をした方が外国人には喜ばれる。子供の頃から、ディベート教育を受けたり、ダイバーシティ(多様性)に飛んだ社会で育った外国人社員は、議論を喜ぶ。意見の相違や、白熱した議論は、彼らにとって極上の酒の肴である。彼らは、酒の席でも遠慮せず、議論をぶっかける。でも、日本人と違い、感情的になる事は決してない。

〇相手が日本語を話せないのであれば、英会話を訓練する格好の場と心得て積極的に会話する。

〇食事マナーの違いを逆手にして、日本の文化を説明する。「お酌」「ズルズルと音を立てて麺を食べる」などお酌は、外国人社員には、酒の強要ととられる可能性がある。あえてお酌をして、その効果や文化的背景を説明すれば、日本の文化に興味のある外国人社員ならば新鮮な発見に映るだろう。

〇政治や宗教の話題は慎重に。しかし、杓子定規に考える必要は無い。

〇「クリスマス」は、キリスト教の行事。不特定多数に出す挨拶状などには使わない。「メリークリスマス」よりも、宗教色を消して「ハッピーホリデー」が一般的。

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自社株買い

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詠み人知らず

自らの資金で自社株式を買い戻したらどうなるか。1株当たりの利益が高まる。純資産が減るので、自己資本利益率(ROE)も改善し、株価が上がる。ROEは、機関投資家が企業に求める経営指標の断トツ1位である。

近年、株主への利益還元が、こんな手法で積極的に行われている。企業利益の伸びは鈍化している。それでも、自社株買いをすれば、てっとり早くROEを高められる。

これは、手放しでは喜べない。株式市場は、何の為にあるのか。起業家が、新たな事業創造に果敢に挑戦するのに、必要な資金を調達するためにある。株主への利益還元の為に、資本が吸い上げられて市場が縮小する。これは、本来あるべき姿ではない。

自社株買いと企業の価値創造への挑戦意欲。これは、トレードオフの関係にある。利益分配の適正にもかかわってくる。

自社株買いの原資である余剰資金は、社員や取引先など、会社に関わる多くの人の長年の貢献の賜物だ。たまたま一時的に株式を保有していた株主に、多額の利益が還元される。それなのに、余剰資金の積み上げに長く貢献してきた人への利益還元が行われていない。

これは、適正とは言えない。適正な利益配分の中にこそ、企業の競争力が宿る事を忘れてはいけない。

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「百人一首」

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 水原紫苑

藤原定家は、何故この歌を選んだのか。この歌人なら、もっと名歌があるのにと思われる事もある。

しかし、選ばれた歌と比べると明らかな違いがあった。それは、韻律、調べである。同じ歌人の歌の中でも、とりわけ調べが流麗で美しいのだ。

意味の上では、もっと素晴らしい歌があるが、調べを口ずさむと納得できる。短歌にとって、韻律は生命とも言える。

意味だけなら、詩や小説に到底、太刀打ちできない。しかし、韻律の美しさによって、それ以上のモノを伝える事が出来る。定家は、そのことを教えてくれている。

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ネクスト・マーケット

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C.K.プラハラード

世界に40億人いる貧困層(BOP)へのビジネスは企業単独ではなし得ない。途上国には、先進国以上に多様な取引先・ステークホルダーがいる。彼らを巻き込む仕組みを作らなくてはならない。

この多様なプレーヤーを巻き込む仕組みを、エコシステム(生態系)と読んでいる。BOP市場に進出する先進国企業にはエコシステムの形成が求められる。欧州企業ユニリーバのインド子会社HULを見る。日用品・食料品を扱うHULのエコシステムには、多様なプレーヤーがいる。150の工場からなる中小サプライヤー、1万2000の卸業者、30万の中小・零細の小売業者、4万の部族民、州政府など中でも興味深いのは、シャクティ・アマと呼ばれる多数の個人起業家である。

インドのような巨大BOP市場では、農村部までHULの直販網は届かない。代わりに、シャクティ・アマが担っている。ここで、彼らをエコシステムに巻き込むポイントは、教育である。座学ではなく、実際に市場でのビジネスを経験させる。そこで、製品、価格、収益の知識を学ばせる。一番重要なのは、契約の知識だ。

彼らに契約の概念を教える。契約を順守すれば、利益が得られる事を体感させる。そうして、シャクティ・アマは一人前の起業家として育って行く。ビジネスを通じて彼らを教育する事は、彼らの尊厳の向上にも繋がっている。HULがインドで契約するシャクティ・アマは今や100万人に達している。BOPのエコシステムは、民間企業が市場メカニズムの規範を植え付ける事で形成される。そして、それが貧困問題解決にも繋がっている。

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本音を引き出す意外な質問

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昌子幹

「それじゃ、うまくいかないと思うよ」これは今から約1年前、ある友人に言った言葉です。彼は2年前に独立して小さな会社の社長をやっているのですが、新しいビジネスを考えているところでした。そこで相談を受けたのですが、、、はっきり言って「これは無理だな」と思ったのです。なぜなら、そのビジネスモデルは単に他から商品を仕入れてネットで売るというものだったからです。しかも、その市場はレッドオーシャン。すでに同じようなことをやっている競合がたくさんいたのです。そこで僕なりにアドバイスはしたのですが、、、

あれから1年後。お互い忙しくてなかなか会う機会がなかったのですが、先日、久々に再会しました。彼は、例のビジネスの現状を話してくれたのですが、、、正直、ぶっ飛びました…なぜなら、僕のアドバイスどころか、それをはるかに凌ぐビジネスモデルにグレードアップしていたからです。「下手したら、その市場を席巻してしまうんじゃないか?」とすら思ったほどです。ちなみに、僕はそのビジネスのペルソナではないのですが、それでも「使いたい」と思ってしまいました。実際、それがうまくいったら、他の市場に横展開することも考えているようです。そのビジネスがスタートするのは来年からなので、もちろん、やってみないことには何とも言えないのですが、たぶんかなりうまくいくんじゃないかと思ってます。

なぜなら、、、断る理由がどこにもないからです実は、最終的に販売する商品は以前と変わっていません。つまり、どこにでもあるような商品です。ですが、彼はフロントエンド商品を新たに設置。その商品自体がとても魅力的なのはもちろんですが、お客さんにとってそれを使わない理由がどこにもないのです。文字通り「断れないオファー」です。そして、その後でバックエンド商品を販売するまでの仕組みを完全にシステム化しています。他に同じような商品があっても、これまた、他を選ぶ理由がないようにしてあります(もちろん、値引きをすることなく)。彼はいったいどうやってそのビジネスモデルを作ったのか?不思議に思って聞いてみました。

ですが、彼がやったことはいたってシンプルでした。彼は全国を回りながらその市場に関係する人たちに会い、直接話を聞いて回っていたのです。それだけでも、なかなかできることではないですよね?でも、僕が「さすがだな」と思ったのは彼が見込客にしていた質問でした。彼は、、、「どうやったら買ってくれるんですか?」と、どストレートに聞いていたのです。「いやいやいや、そんなあからさまな」とあなたは思うかもしれません。

でも、これはトップ営業マンがよく使う質問のひとつで、とても効果があります。なぜなら、それらを全部つぶしてしまえば、相手にとって買わない理由がなくなるからです。もちろん、それらに全部応えることができるかどうかは別問題ですが、少なくとも大きなヒントを得られることは間違いありません。例えば、その質問をすると、相手は割と率直に理想の条件を答えてくれます。そこで、「なぜその条件が必要なのか?」をさらに聞いていくと、その人の抱える問題や悩みが分かってきます。そうすると、もし今の商品やオファーではその条件を満たすことができなくても、「だったらこういう方法でも、その問題を解決することができるんじゃないですか?」と別の提案もできるというわけです。

実際、そのリサーチを元に彼は、見込客が断れないオファーを考え、それでも利益が出るビジネスモデルを作り上げたのです。相手の本音を聞き出す方法時々、「リサーチで相手の本音を聞き出すにはどういう質問をすればいいんですか?」と聞かれることがあります。この質問の裏には、相手の本音を引き出すには何かテクニック的なことが必要だという思い込みがあるかもしれません。ですが、難しく考えずに彼のように結構ストレートに質問した方が相手は率直に答えてくれるかもしれません。

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国家資本主義の黄昏

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今や中国が世界経済にとって、最大のリスクとなりつつある。成長率の低下自体は問題ではない。輸出・投資主導の高成長から、消費主導の中成長への移行は、望ましい構造変化であり、着実にすすんでいる。

経済がサービス化すれば、成長率は下がっても、完全雇用は維持できる筈である。

問題の1つは、4兆元の対策がバブルを生んでしまった結果、国営企業の過剰設備や、地方政府の過剰債務が後遺症として残っている事にある。足元で問題になっているのは、昨年来、市場との対話ミスを繰り返している事だ。強引な株価対策や、唐突な人民元の切り下げで「中国経済は、そんなに悪いのか」との誤解を招いてしまった。

世界市場の動揺も、中国当局の拙劣な対応に起因するものが多い。やはり、国家資本主義は剛腕を振るうのは得意でも、市場との繊細な対話は苦手なようだ。企業や産業の再編まで、政府が主導する露骨な国家資本主義は慎むべきでしょう。

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人生を難しく考えない

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もともと考える力が無いので、そうなるのだが。

縁が在って、課題ができる。それを、自分で工夫して、淡々と進める。今まで出来なかったことが、今日、できるようになる。そこに、成長の悦びを感じれる。

それは、仕事の上での悦びでもあり、人生の悦びでもある。

また、新しい課題ができる。また、それにトライする。前を向いて進む。それだけだ。ワークライフバランスなどと、分けて考える必要は無い。ワーク=ライフでもある。

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「小商いのすすめ」

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平川克美

右肩上がりの時代は終わった。「小商い」を勧める。事業規模の小さい家業に戻れという事ではない。信用を基本に、リピート客を離さない。大儲けは出来ないが、事業を継続して行けるビジネスだ。老舗旅館などにある。

高齢化が進んでいるので、介護分野にもビジネスチャンスがある。介護は、利用客から信用を得る事が何より大切だ。「正直商売」としての介護サービスなら、いくらでも需要がある。

給料が上がって行った時代を知っている人には、成長の無い社会は受け入れ難い。今は、世界的に中間層がやせ細り、一部の成功者と多くの脱落組が生まれてしまう。日本も例外ではない。いらだちは理解できるが、定常化経済社会が当面、続くのだという現実は、しっかりと認識しておかないといけない。

皆が互いにハッピーな、「ウィン・ウィン」は、右肩上がりの時だけだ。落語に「三方一両損」という噺がある。皆が少しずつ損すれば問題は解決する。本当は、日本人はそれが得意なはず。これからは、少しずつ不満を分け合うという意味の「ルーズ・ルーズ」という生き方にシフトしないといけない。

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『小さな人生論』から 

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致知出版代表・藤尾秀昭

老人が松の苗木を植えていた。通りがかった君主が老人に年齢を尋ねた。「八十五になります」君主は笑った。「その松が立派な木材になっても、自分では使えないだろうに」と。
八十五翁は言った。「国を治めている人のお言葉とは思えませぬ。私は自分のためではなく、子孫のために植えているのです」
君主は恥じ入るほかはなかった。太宰春台の『産語』にある話である。

人を育てるのもまた、かくの如しだろう。一人ひとりを丁寧に教育し、根づかせ、成長をうながす。だが、そうして育てた人たちが担う時代の豊かさを、先人が享受することはない。それでも人を育て続けなければならない。それは命を受け継いで後から来る者に対する、先行する者の不可欠の責務なのだ。

人生は駅伝のようなもの。タスキをつなぎ続けていく。なので、よりよいタスキをつないでいってあげないといけない。私たちの責任は実は重いのですね。

エンジンオイル、OEMの仲間の勉強塾より

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