『あなたがなりうる最高のあなたになる方法』

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ジェリー・ミンチントン

わたしたちはみな、「みんなと同じようにしなさい」と
言われながら育ってきました。
まわりに合わせて、外れてしまわないようにと。

なぜなら、そのほうが「安心」だから。

多くの人は、自分と似た人といっしょにいると
居心地がいいものです。
ですから、周囲とあまりにも違っている人は、
批判や攻撃にさらされやすい。

親は、そのことをよく知っていますから、
わが子の「安全」のために、
みんなと同じようにしていなさいと子どもに言うのです。
そして、自分たちも安心します。

教師にとってはなおさらです。
自分とあまりにも違う子どもは理解できないし、
もしすべての子どもが一人ひとり違っていたら
指導はとてもたいへんなものになります。

つまり、みんなと同じでいることは、
大人たちの利便性と安心のためなのです。
さらに、そうした大人たちの様子を
敏感に察した子どもたちは、
少しでも自分たちと違う子が周囲にいると攻撃します。
つまり、いじめます。
自分にはしたくてもできないことをしているから。

たしかに、人と違っていることによる
デメリットはたくさんあります。
けれども、アメリカの思想家、
ラルフ・ウォルド・エマソンの言葉を
ここで紹介する必要もあるでしょう。

「人間は周囲の人に合わせることによって 
いかに多くのものを失うかを考えなければならない」

失うもののひとつは、たとえば、自尊心です。
自分の行動の決定権を周りに委(ゆだ)ねるような
生き方は、確実に、人の自尊心を損ないます。

では、自分らしさを大切にするために、
どんなことができるのでしょうか。

間違えてはいけないのは、
わざと人と違うことをするのではない、ということ。

そうではなくて、ただ、次の四つのことを行います。

①考え方  
できるだけ自分の考えに従いましょう。

②決定  
自分の経験と知識をもとに決定をくだします。

③行動  
周囲の人がするから自分もするというのは
賢い態度ではありません。

④ライフスタイル  
既成概念にとらわれるのではなく、
あくまでも自分の判断に従いましょう。

自分らしさを大切にすることによって、
失うものと手にするものが出てきます。

それらを比較して、自分の行動を自分で選んでください。

エンジンオイルのOEMも、この4つを忘れずに進めましょう。
とても、簡単なことですから。

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エンジンの逆襲

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ダイヤモンド編集部 千本木啓文

★トヨタHVの揺るがぬ底力、EVだけで環境規制はクリアできない

自動車メーカーの経営を左右する環境規制をクリアするためには、 
内燃機関の改善が欠かせない。 
規制値の達成は、ハイブリッド車(HV)と電気自動車(EV)の
両面作戦でないと困難なのだ。

今年6月、「トヨタ自動車が電動化の目標を5年前倒しする」
というニュースが 駆け巡った。 
このトヨタの発表は2020年に発売するEVのデザインの
お披露目とセットだったので、 
トヨタがEVシフトを鮮明にするかのような印象を与えたが、
実態はそうではない。

★計画が5年早まるのは電動車
(HV、プラグインハイブリッド車〈PHV〉、 
燃料電池車〈FCV〉、EV)の販売目標の達成年であって、 
「前倒しになるかなりの部分がHVだ」(副社長の寺師茂樹)。 
つまりエンジンを搭載したHVの販売がトヨタの電動化を牽引しているのだ。

そもそもトヨタが18年に販売した電動車163万台の
97.0%がHVで、PHVは2.9%、EVは0%だ。 
トヨタのEVの発売・販売のスケジュールが前倒しされたわけではない。

HVの販売は19年も好調で前年比10.4%増の180万台を見込む。 
独フォルクスワーゲン(VW)のディーゼル不正問題後の欧州市場では、 
それまで環境負荷低減の主軸だったディーゼルエンジンの
失速の隙を突いてトヨタのHVの販売が伸びている。

別の追い風も吹き始めた。 
中国政府が自動車の環境規制において、
HVの扱いを優遇する方向で検討を始めたのだ。

HVの技術開発や販売を巡る競争は、王者トヨタを主軸に展開されている。 
各メーカーの新型パワートレインが、 
燃費性能などでトヨタハイブリッドシステムに追い付いたように見える。

だが、HVを安く造る力は、HVの販売台数が累計1500万台に迫り、 
量産効果が出ているトヨタに一日の長がある 
(トヨタはHVの装備をガソリン車よりハイグレードにする傾向が強いため、 
HVシステムの金額は車の価格差より少ない額になる)。

世界初の量産HV「プリウス」を世に出したトヨタは、 
HVの先行者利益をさらに享受しようとしている。

★トヨタは世界の大手メーカーの中でトップの実績である。 
車の平均的な性能を問われる環境規制では、
たとえEVを売っていなくても、 
HVを大量に販売しているトヨタが有利になる。

環境規制には、メーカー別に平均値を改善させるCAFE
(企業平均燃費)規制と、 
一定比率でZEV(Zero Emission Vehicle。EVとFCV)の
販売を義務付けるZEV規制がある。 
CAFE基準を採用する代表格は欧州であり、 
ZEV基準を採用する代表格は米カリフォルニア州だ。

ZEV規制はEVを値引き販売して実績を作れば達成できるが、 
とりわけ欧州規制のハードルは高く、 
全ての自動車メーカーの頭痛の種になっている。

実際に、「ZEV規制より平均燃費規制の方がすごくきつい」(寺師)。 
未達成なら競合メーカーから超過達成分のクレジットの
購入などが必要になるし、 
ブランドにも傷が付くため各メーカーが神経を尖らせる。

★電動車の販売計画の5年前倒しを発表するトヨタの寺師副社長。 
EVよりHVを売りたいという本音をのぞかせた 

平均燃費をいかに改善するかについて寺師は 
「HVでできるだけ(平均値を)下げておいて、 
足りないところはPHVやEVで対応する」と明言。 
環境規制への対応でHVが主力になることを強調した。

欧州連合(EU)は30年までに域内で販売する乗用車のCO2排出量を 
21年の規制値に比べて37.5%削減する方針だ。 
この規制値は、グローバルで見ても環境対応が進んでいる 
トヨタのHVやPHVですら達成は難しい。

だからこそ20年からEVを販売するわけだが、 
それでもトヨタはエンジンを搭載したHVを中核に据える。 
寺師は6月の記者会見で、EVよりHVを売りたいという
本音をのぞかせた。

★「EVの大容量バッテリーの製造などで発生するCO2も踏まえて 
環境負荷を考える“Life Cycle Assessment”の考え方では、 
EVよりHVを売る方がCO2排出量は少なくなるのでは」 
との取材陣からの疑問に答え、 
「その通りだ。一番肝心なことはその点だ。 
いろんな場面でメッセージを発信していく」と明言したのだ。

バッテリーには、製造時のCO2排出の問題だけではなく、 
原材料の不足・高騰リスクもある。

とりわけボトルネックになりそうなのがコバルトだ。 
こうした希少資源をどこに振り向けるのが環境に良いのか――。 
バッテリー容量がEVの数十分の一で済むHVを当面は増やしつつ、 
原材料リスクが低い次世代バッテリーが実用化してから 
EVを本格的に普及させる。
これが現実的な解かもしれない。

トヨタのHV「アクア」。
トヨタは2019年上半期の登録車国内販売台数で
HV「プリウス」が首位、アクアが3位に付けた 

トヨタのHV拡大戦略は今年、本気モードに突入している。 
同社は4月、HVを製造するメーカーを増やすために
HVシステムの特許を無償開放することにした。 
HVを環境対応車の世界標準にして、 
有利なルール作りや生産コストの削減を進めるのが狙いとみられる。

環境規制のさらなる厳格化を見据え、
自動車メーカーは多額の投資を行っている。 
それに目を付け、強かに商機を狙っているのがドイツ勢だ。

ドイツ連邦議会は16年、エンジンを搭載した新車の販売を 
30年までに禁止する決議を行う 
(議会が政府に対して要望するもので法的拘束力はない)など、 
EV推進の急先鋒のイメージがある。 
だが、実は「エンジン中心主義」でもあり、二面性を持っている。

★2015年の独VWのディーゼル不正後、 
EVにかじを切ったドイツ。 
メルケル首相も中国にEVを売り込む 
  
VWは、中国での新車販売に占めるEV比率を35年までに 
50%にする方針を示すなど
EV普及の旗手のように振る舞う一方、 
品質問題で沈んだディーゼルの復権すら考えている節がある。

実際に、VWグループ会長のヘルベルト・ディースは 
業界紙のインタビューで新型のディーゼルエンジンについて 
「長距離を高速移動する大型モデルには
いまも最適なソリューションだ」と譲らない。
VWのみならず、ダイムラー、BMWなど他のドイツ勢も 
排ガス浄化性能を高めた新世代クリーンディーゼル搭載車を
次々と発表している。

ボッシュ、コンチネンタルといったドイツ系 
メガサプライヤーもHVとEVの両面作戦を遂行中だ。 
両社ともEVのパワートレインを丸ごと自動車メーカーに売り込むと同時に、 
小型モーターでエンジン走行をアシストする簡便なHVシステム 
「マイルドハイブリッド」の売り込みに躍起になっている。

ボッシュのパワートレインソリューション事業部
ゼネラル・マネージャーの清田茂之は
「簡便なマイルドハイブリッドシステムは、 
EVのための電動化システムと(売上高ではなく)台数ベースで同規模の
世界市場になる」と予想する。

ドイツ政府が環境規制の厳格化を進め、 
ドイツの企業がそのソリューションを提供する。 
しかも、EVだけでなく、HVという現実解の市場も 
同時に押さえにいく“商売根性”は日系企業も見習いたいところだ。

中国は国策でEVを優遇するが、バッテリー価格は高止まりしている。 
補助金なしでEVは普及しないのが実態だ 

EV一辺倒に見えた中国とドイツが軌道修正を行い、 
「エンジンの逆襲」が鮮明になっている。 
EVの本格的な普及がいつになるにしても、 
内燃機関の技術は当面、自動車メーカーの競争力を決定づける
重要な競争領域だ。 
EVブームのさなかでも各社の技術者がひたむきに 
その技術を磨いているのはそのためなのである。

エンジンオイルのOEMも頑張らねば。エンジンの時代はまだまだ続く。

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「仕事後進国」日本から脱却

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岡田兵吾 [マイクロソフト シンガポール シニアマネジャー]

●日本はスピードが致命的にトロい 
●時間は限られている。圧縮化が必要 
●自分でやったほうが早い!は損している 
●部下をヒーローにするためのマネジメントをする

仕事をうまく任せることで、
周りの人間が仕事ができるようになる。 
そうすると、自分は別の仕事をすることができる。 
このサイクルで、仕事は効率良く回り、
プライベートとのバランスも取れるようになる。

会社の人間と信頼関係が気付けないと、仕事の効率も下がる。 
余暇の時間を作るためにもコラボレーションは大事だ。

日本人は世界的に見ても、協業(コラボレーション)がヘタだ。 
これは日本が得意としている
「チームワーク=号令のもと一糸乱れぬ行動をすること」に関して
ということではなく、 
人種や価値観の異なる人々と考え方をオープンに話し合って 
仕事を進める協業が下手だということだ。

日本社会では、ちょっと質問したり、少し意見を述べるだけで 
怒られてしまう場合があるので、
気軽に「色々なことを聞いても良い人」が限られてしまう。
それに比べて外国人は、実にうまく対処する。 
異なる意見や考えを笑顔で聞いて、
お互いに素直に話し合って議論する。 
また上司にしても、海外では上下関係があまりなく、フラット。 
友人のようにフランクに接する場合が多い。

上司の仕事の本分は、上下関係よりも自分のチームに 
最大限のアウトプットを出させることなので、 
「How can I help you?(なんか手助けできないか?)」 
「Any problem?(何か問題あるか?)」と、 
上司のほうから積極的に気にかけて問題点を聞き出し、 
部下がより働きやすい環境で
アウトプットを出しやすいよう、サポートしているのだ。
  
このような環境下であるからこそ、
ガチンコ本音で発言しやすくなり、 
新しい価値観を生み出しプロジェクトを進めることができる。

もちろん、反対意見も歓迎される。 
これは、ディベートテクニックとして
相手に反対意見をぶつける 
「悪魔の代弁者(Devil’s Advocate)」という
手法を使い慣れていることもある。

しかし、日本社会では理論的にディベートテクニックを使うことさえも、 
「異なる意見=相手の思想を否定=相手が嫌い」と捉えられてしまい、 
ケンカした小学生のように仲が悪くなってしまう場合もある。

日本の「仕事後進国」の改善にこそ着手していかないと、 
シャープや東芝のようなケースがこれからも、続いていく懸念を拭い切れない。

日本企業がイノベーションを生み出せない一番の大きな弊害は、 
意見やアイディアが磨かれない環境だ。
マイナス評価や意見をすると嫌われてしまう環境では、 
多くのアイディアの種は埋もれていることだろう。

日本の従来型である「1人の絶対的なリーダーがいて全責任を取る」
環境にも、問題アリだろう。 
あらゆる異なる意見を受け入れる環境では、 
メンバー全員がリーダーシップを発揮する 
「メンバーのリーダーシップの総和で業務を推進する協業」こそが、
新しい価値観を生む。 
結果として、業務を効率的に効果的に時間短縮し、推進し、 
インパクトとイノベーションを生み出してゆく。

とにかく日本にとっては、意見やアイディアの芽を発言しやすい環境へと 
スイッチを切り替えるための模索が急務であろう。

デロイトコンサルティング東南アジアにて、
シンガポールを基軸に 
アジア全域の日系企業進出支援を行っていたが、 
欧米多国籍企業と日系企業では圧倒的なスピード差があり、驚愕したものだ。

たとえば、アジア全域の業務統合の
基幹システム(ERP)導入プロジェクト。 
日系企業は1ヵ国に1年ほどかけて導入していたが、 
欧米多国籍企業がシステム導入に業務改革も含めて、 
10ヵ国を10ヵ月で完了してしまったのを見たときには、
この違いに唖然としたものだ。

日本では大規模プロジェクトでは、よく
「Go/No-Go Meeting(実施するか否か)」と 
プロジェクトの実施可否判定を行うが、
海外ではこんなものは存在しない。

「Go/How Meeting(実施する。じゃあどのように?)」と、 
プロジェクト達成に向け動く前提で実現方法を模索していく。 
日本流の「Yes, let me think」
(了解。じゃあ、どうするか考えさせてくれ)ではなく、 
グローバルは「動きながら考える」のが基本スタンスなのだ。

また、「シャープへ出資、最大2000億円減……
鴻海打診、機構の3000億円下回る」という記事が報じられたが、 
意思決定のスピードの遅さが首を絞めた典型例だ。

トロトロちんたらし続ける様子は、
外国人には理解しがたい「無意味ワールド」だ。 
結果、シャープは選択肢が狭まり、再生機会を大幅に逃した。

台湾企業に買収されるシャープをはじめ、 
日本のビジネスがアジアなどの海外で勝てなくなった背景には、 
仕事のやり方に関する「後進性」にも原因がある。

日本人は勤勉で真面目なので、効率よく仕事しているように思いがちだが、 
日本人は効率的に仕事をするのが苦手だ。

お笑い芸人でありながらIT企業役員を務める
厚切りジェイソンが発した言葉 
「日本はスタート時間に厳しいのにエンド時間にルーズ」は鋭い指摘だ。

エンジンエオイルのOEMも、エンドの時間をもっと考えねばなりませんね。

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