『錯覚の法則』

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サンリ会長、西田文郎

45年以上に渡って脳の研究をしてきた結果、
いま、ひとつ断言できることがあります。

それは、「脳が『正しい』と思っていることのほとんど、
99パーセントが錯覚」だということです。

景気が低迷し暗いニュースが飛び交うなか、
仕事もうまくいかないし、
売り上げは落ち込む一方だと嘆く人がいますが、
それは「錯覚」。

結婚したくてもいい人がいない、出会いがない、
私は結婚には向いていないというのも「錯覚」。

子どもが言うことを聞かない、
思うように育ってくれないというのも「錯覚」ですし、
人間関係がうまくいかないのも、
お金がなかなかたまらないのも、
すべて脳が起こしている「錯覚」の結果です。

人は、「肯定的錯覚」をする人と、
「否定的錯覚」をする人の2種類しかいません。

脳の特性上、正反対のふたつのことを
同時に思考するのは不可能だからです。

前述したような人は、うまくいかないことを放棄する
「否定的錯覚」だけをする人。

苦労を背負い込み、自分は苦労でがんじがらめに
なっているという錯覚に陥っています。

「自分はダメかも」「自分には無理なんだ」と思うことで、
現実から逃避しようとする傾向にあります。

否定的なことばかりを口にしていると、
脳はどうなると思いますか?

否定的な記憶データが脳に強烈にインプットされ、
脳はそのとおりにはたらいてしまうのです。

「無理だ」と脳に問いかけると、
まだやっていないことにもかかわらず、
当然無理だと想像し、記憶づけてしまう。

結果、口に出したとおりの未来が待ち受けています。

一方で、「肯定的錯覚」をする人はどうでしょうか。

努力を苦しいとは思わず、楽しんでいる。

常に前向きで、まだ経験していないことでも、
「自分ならできる」と根拠なき自信に満ちている。

当然、発する言葉も肯定的ですから、
脳にも肯定的な条件づけをします。

脳は「できる」と勘違いをして、
いつの間にか夢を実現させてしまう。

小さな町工場を世界に通じる「ホンダ」に押し上げた
本田宗一郎は、超肯定的錯覚を起こしていた代表例
といってもいいでしょう。

よく考えてみてください。 
私たちは誰もが赤ちゃんでした。 
実は赤ちゃんは、超ポジティブ思考なのです。

ハイハイをした赤ちゃんは、何度ひっくり返っても、
転んでも、頭をぶつけても、
「立とう」とする行為をやめません。

もし仮に、否定的な赤ちゃんがいたとしたら、
「100回も転んだのだから、きっと立つという目標は
無理なんだろう。やめよう」と諦めるはずです。

ですが、そんな赤ちゃん見たことがない。

何度転んでも立ち上がり、いつの間にか当たり前のように
目標を達成し、歩けるようになります。

私たちは、大人になるにつれ、世間の常識にとらわれ、
さまざまな情報に操作されるうちに、
否定的な思考を取り入れるようになってしまったのです。

小さな常識の枠のなかで物事を考え、判断をし、
結論を出そうとするから、「どうせ無理」と
自己防衛本能が出てくる。

そして、いつの間にか、否定的な脳、否定的な
スーパーコンピュータがつくられてしまうのです。

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経済は、人類を幸せにできるか ?

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ダニエル・コーエン

金融危機後の世界において、
経済学が有用な学問であり続けるには、
幸福の問題を避けて通る訳にはいかない。

幸福が感情の問題であって、
定量化や測定には馴染まないモノであったとしても。

経済学は、金融危機の前には幅を利かせていた。  
経済学は、合理性に基づいて個人主義的に行動する人間像を
前提に組み立てられていた。
それが、ホモ・エコノミクス(=経済人)である。

彼らは、ホモ・エシックス(=道徳・倫理的人間)や
ホモ・エンパシス(=共感的人間)との競争に
勝ったと思い込んでいる。

しかし、幸福や人間性の問題を封じ込めてしまった。
最終的には、自らも非合理的となり、衰退の道を歩んでいる。

競争だけで未来を築けると考えるのは、 人類学上の幻想である。
その事に気付き、競争と協力のバランスを考える。
無償と有償の境界を整理する。
文化的多様性の問題に直面する欧州知識人の苦悩は、
グローバル化の波に洗われる日本人にも共有できる筈だ

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