『ありがとうの奇跡』

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小林正観

どうやら、人間の愛情というのは、結婚してから「3年」でなくなるらしい。結婚して20年、30年続いている夫婦がいますが、この人たちがどうして長く続いているのかというと、結婚してから3年の間に、「愛情以外の別の概念」をつくり上げることができたからです。

愛情を永遠のものだと勘違いして、その愛情だけに寄りかかっていると、結婚生活は破綻をきたすらしい。「いつまでもこの人を愛し続けよう」と思っても、「いつまでもこの人から愛され続けるだろう」と信じていても、生物学的に見ると、愛情は、「結婚後、3年で終わってしまう」ようです。

結婚すると、普通は「ゴールイン」といわれますが、じつは結婚した瞬間から、「3年間の執行猶予」がはじまります。この執行猶予中に、「愛情以上の価値観=尊敬」をつくり上げることが「結婚生活」のようです。では、どうすれば相手を尊敬できるようになるのでしょうか。

それは「常に相手のよい面を見つけること」です。目の前の夫、目の前の妻を、自分の思い通りにつくり変えようとするのではなくて、「相手はこういう個性があって、自分とは違うものを持っているんだ」と、丸ごと全部受け入れる(感謝する)。そして、相手のすばらしいところ、社会のよいところ、宇宙の楽しさを、自分の中で見出す訓練ができるようになると、あれこれと批判、論評をしなくなり、お互いを認め合うことができるようになります。

同じ言葉を他人から言われたときは、怒らないで踏み止まることができるのに、同じ言葉を妻(夫)から言われると、すぐに腹を立てる夫(妻)がいます。外では踏み止まれるのに、家では踏み止まれない(正確に言うと「踏み止まらない」)のは、「幼児性」があるからです。

結婚は、何のために存在するのか。じつは「幼児性を克服するため」に存在しているようです。家庭というものは、自分の思いを通す場所でも、甘える場所でも、ストレスを発散させる場所でもありません。家庭は「幼児性を削って大人になる作業をする場所」として存在しているらしいのです。結婚をして、わがままが言える相手ができた状態になった時、いかに踏み止まって相手を受け入れるか。それを問われているのが「結婚の本質」のようです。

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『ヤンキーの虎』

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藤野英人

たしかに、日本全体の経済は縮小しています。人口は減り始めていますし、少子高齢化は急速に進んでいます。多くの企業は活路を求めて海外に進出し、国内に留まる企業も生き残りに必死です。そして、この傾向は、都市部より地方の方がはるかに強い。都市部はまだ人口も多く、若者の消費も活発ですが、地方ではシャッター商店街や、かつて賑わっていた百貨店が閉店してしまっているような光景をよく目にします。私も、はじめ地方に対して、そのような暗くて後ろ向きなイメージを持っていました。

ところが、実際に全国各地を回りますと、地方の暗いイメージとは正反対の人たちがたくさんいることに気付いたのです。例えば、地方に根を張ったビジネスで大きく儲けている人。地方で多くの事業を積極的に起こす人。地方経済は確かにシュリンクしているのに、成功している人たちがたくさんいることを知ったのです。

地方の成功者に共通するのは、「リスクテイカー」だということが分かってきました。縮小する地方の中でリスクをとるなんて、馬鹿げていると思われるでしょう。しかし、彼らは、逆に考えています。地方だからこそ、リスクをとれば勝てる。守りに入るのではなく、攻めの姿勢で事業を拡げていけば儲かると思っているのです。実際、そのやり方で、彼らは成功を収めています。

私は、このように地方で貪欲にビジネスを広げている経営者たちを「ヤンキーの虎」と名付けました。なぜ「虎」なのかと言いますと、ビジネスに関して言えば、彼らの多くが、まさに「虎」のように自分から積極的に動いてリスクをとる肉食系だからです。

私は、ヤンキーの虎のようなリスクテイカーが、地方経済を立て直す一つの大きな可能性になると考えています。彼らは、事業を拡大するために積極的にお金を借りてガンガン儲け、地域の自治体に多くの税金を納めています。すでに地方経済を回す重要な存在になりつつあるからです。その傾向は、今後ますます加速しますし、彼らの存在感は一層強まっていくと思います。

「ヤンキーの虎」とは、ひと言で言いますと、次のような人や企業のことです。「地方を本拠地にしていて、地方でミニコングロマリット(様々な業種・業務に参入してる企業体)化している、地方土着の企業。あるいは起業家」彼らが最も好むのは、「シンプルで、でっかく儲けられそうなもの」。それほど複雑なビジネスモデルではありません。とにかく儲けられそうだと思ったら、すぐに始める瞬発力と柔軟さを持っているのです。

ヤンキーの虎たちは、驚くほど様々なビジネスを展開しています。パチンコや、ウェディングビジネス、携帯電話のショップ。保有している裏山を改造してサバイバルゲームフィールドを作って集客する経営者もいました。事業に一貫性はありませんが、多角的に儲けています。そこで働いているのがマイルドヤンキーであり、彼らを束ねているのがヤンキーの虎です。

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『人生の流儀』

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城山三郎

屈託なく生きる人に共通している要素は多い。思いつくままに挙げてみると、一、積極的にやってみる。迷ったときには、まずやることに賭ける。
二、イエス、ノーだけでなく、第三の道でもよいから、自分なりの三つを見つける。徳富蘇峰が大久保利通について評価したように、「最善を得ざれば次善、次善を得ざればその次善と、求めてやまない」
三、賭けはするが、蛮勇をふるうのではない。失敗への備えというか、用意を欠かさない。
四、やみくもな大目標はかかげない。ごく身近なところに、在るべき姿、具体的な目標を設定する。
五、強い好奇心の持ち主である。とりわけ、人間に対する関心や興味が強い。六、人なみ以上の努力をする。人に数倍する努力をする。
七、努力の報われることを神経質に求めず、また初心を忘れない。

屈託のなさは性格による…というふうには思いたくない。それではあまりに味気ないし、救いがない。それに、本物の屈託のなさは、性格というよりも、生きていく姿勢の積み重ねから出てくるのではないか。それは、ただ明るいというのではない。単に粗野であったり豪傑タイプであったりする人に魅力はない。それに、そうした人たちには、弱みを見せたくないという心理が働いていて、意外に屈託があるということも多い。

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スマートシティ

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詠み人知らず

トヨタは更地に理想的なスマートシティを作る。美しい未来都市が出来上がるが、それは間違っている。

インフラを効率よく使うためには、人は都市に集まる他はない。都市はより多くの人口を取り込まざるを得ない。過密、交通渋滞、環境、衛生の悪化、疫病や台・地震などの災害、貧困、貧富の格差などの問題を解決せねばならない。

スマートシティとは、そうした都市の課題を低いコストで、効率的、迅速に解決するツールに変わってきている。

ひと昔前の夢のように外観の美しい都市を作ることではなくなった。あくまで今の都市を生かし、身近で些細な問題から解決していく。小さな解決の積み上げが都市を快適で生産性の高い街に変えていくのが正しい。

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『一瞬で忘れられない人になる話し方30のコツ』

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書店「読書のすすめ」店長、清水克衛 

私の友人のフリーライターの話です。あるパーティーではじめて会って、名刺交換した編集プロダクションの社長から、数日後電話がかかってきたんだそうです。挨拶して数分立ち話をしただけなのに、なんだろうと思ったら、いきなり著名人のインタビューをして欲しいという依頼でした。

もちろん、快く引き受けて原稿を納めたのだすが、その時彼は、その社長に聞きました。「なんで、1回しか会ったことのない私に、これまでの実績も聞かず、こんな大事な仕事を任せてくださったんですか」

そしたら、社長はこう答えたそうです。「たくさんライターさんは知ってるけど、あなたに会った瞬間に、あ、なんかこの人すごく明るくて、一緒に仕事したら楽しそうだって思ったんです」このご縁で、彼は、それからその仕事以降も、その編集プロダクションとはずっと良好な関係だそうです。

物を売る商売に置き換えて考えると、彼は、彼が売る商品の説明も一切なしで、それを売ることに成功したわけです。要するに彼は、この社長に「好かれた」わけです。

「人に好かれる」そうひと言でいっても、実は、これがとってもむずかしいんですね。「好き嫌い」というのは、どうしても感情に大きく影響されれます。それではどうすれば、人から、「あ、あの人、ちょっと好きかも」と思われるようになると思いますか?

もっとも理想的なのは、「憎めない人だなぁ」多少おっちょこちょいでも、失敗しても、笑って許せてしまう。そんな人になることだと思います。それに必要なのは、話し方のうまいヘタなどではなく、ズバリ、【愛嬌(あいきょう)】です。

松下幸之助氏は、松下政経塾の面接試験の選考基準を聞かれて、「運の強そうな人と、愛嬌のある人やな」と答えたそうです。愛嬌のある人というのはつまり、「いつも笑顔で、挨拶ができる人」です。自分が上司なら、部下は理屈をいうヤツよりも愛嬌があるヤツのほうがいいでしょう。「そうおっしゃいますけど、私はこう思います」なんて、自分の考えをスパッというのが、理屈では正しいかもしれません。よく学生にそういう人がいるんですけど、そういう人は社会に出たら嫌われちゃいますよ(笑)。

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『ビジネスの限界はアートで超えろ!』

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増村岳史

絵を上手く描けるようになるには、感性を磨くしかない。小中学校で、そう思い込まされましたね。実は、デッサンが上手くなるコツの半分は、数学的なものごとの見方や論理力なのです。そして、もう半分が自身の感性の力を引き出すことです。

デッサンの半分が数学的なものの見方というのは、意外なことに聞こえるかもしれません。しかし、ここに紛れもない事実があります。それは、我が国唯一の国立の芸術大学である東京藝術大学の現役合格者の多くが、中高で数学が得意だったということです。これはつまり、絵を描くことには、感性や感覚をつかさどる右脳と、論理をつかさどる左脳を統合した、調和のとれた戦力が必要とされることを意味しています。

小中学校の美術教育どおりに、思うがままに描くと、右脳と左脳が調和しない書き方になってしまうのです。そのように考えると、ここ最近、MBA(Master of Business Administration/経営学修士)以上にMFA(Master of Fine Arts/美術学修士)ホルダーが注目されつつある、ということにも納得がいきます。かつて、ビジネスの世界では、MBAを持つことがステータスとなり、一つの勲章とされていました。しかしながら今、アメリカではMBAよりも、MFAを持っている人材のほうが重宝されています。給料も待遇も、MBAを持っているより、MFAを持っている人のほうが圧倒的に高くなる時代になっているのです。

不景気になって、モノだけはあふれ続ける世の中で、魅力的な商品を生み出せるか、商品を買いたくさせられるかには、デザイン性、アート性が鍵となります。そのため、それらを大学院で徹底的に研究してきたMFAを持っている人々は、右脳と左脳を統合してバランスよくものごとを考えることが可能であり、売り上げに直結するスキルを持っているということで高く評価されているのです。MFAは、当然、MBA取得者より人数が断然少なく、その希少価値も評価されていることの一因です。

複雑で変化がとても激しく、不確実性が高い今日のビジネス環境において、従来の知識や論理的思考・分析のみに頼った発想や思考では限界があります。ビジネスにおいても、全体を直観的に捉える感性や、課題を独自の視点で発見し、創造的に解決する力の重要性が日増しに高まってきています。今まで我々は、主に左脳がつかさどるロジカルシンキングを鍛えてきました。論理が持つ力ももちろん重要ですが、これからの21世紀をしなやかに生き抜いていくためには、アートが持つ感性の力も同じぐらいに重要なはずです。

『今もって世界をあっと言わせている企業のCEOは、CCO(最高クリエイティブ責任者:すべてのデザインやブランド活動に関わる最高責任者)に真っ先に声をかけます。その理由は至ってシンプルです。CEOの頭の引き出しの中にしまい込まれている事業アイデアを他のボードメンバーにもわかるようにビジュアル化してもらうことができきるからです。言語やグラフが持つロジカルな力も重要ですが、イメージ化によって共有する力はそれ以上に重要なのです。

生前のスティーブ・ジョブズが、アイデアを閃くとCCOであるジョナサン・アイヴを即呼び寄せプロトタイプを作らせたのは有名な話です』

また、フェイスブックの本社のオフィスはアートで埋め尽くされている。そして、フェイスブックがユニークなのは、そのほとんどの絵が未完成だ。それは、スタートアップの精神を忘れない、常に「この会社はアップデートし続ける」というメッセージです。

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『ああ正負の法則』

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美輪明宏

世界の歴史の中で、超弩級の美人だった人は、その美形度の度数が上がれば上がる程、《正負の法則》でそれに見合っただけの悲惨な人生を送っています。クレオパトラも楊貴妃(ようきひ)も、小野小町(おののこまち)にしろ、ローラ・モンテスもエンマ・ハミルトンもグレタ・ガルボもヴィヴィアン・リーもエリザベス・テーラーもグレース・ケリーも、たび重なる心労、病気、大手術、孤独、波乱万丈、哀れな死。

なまじ美人に生まれたばっかりにそれに釣り合う代償を払わされる破目(はめ)になるのです。高い所へ登った人ほど、落ちた時には大怪我か即死です。低い所にしか登れなかった人は落ちてもせいぜい軽いカスリ傷か怪我くらいですむのです。それが《正負の法則》ですから仕方がありません。

ですから、「まあどうにか見られなくもないかな」と言われるくらいの、容姿容貌の人々はそれにふさわしく、まあまあ可もなく不可もなくという無事平穏な人生を送ることが出来るのです。美人をうらやましがる必要は少しもありません。

ハリウッドの女優だった、グレース・ケリーは、裕福な家庭に育ち、美貌で才媛、アカデミー賞を受賞して、それからモナコの王妃になりました。〈正〉だらけです。でもそういいことばかりがあるものではありません。子供たちはスキャンダルだらけ、心配事はひっきりなし、あげくの果ては事故で悲惨な死に方をしました。しかも、暗殺だとか他殺だとかいろんなことを言われて。

グレタ・ガルボの場合は自分から〈負〉を作り、その〈負〉を受け入れて生きていった、稀有な存在です。大根役者ではありましたが、大女優の名をほしいままにしました。今の若い人たちはご存知ないかも知れませんが、「ガルボの前にガルボなし、ガルボの後にガルボなし」と言われたほどの美貌だったのです。彼女はある盛りを頂点として、自分からさっさと引退していったのです。そういう〈負〉の作りかたもあるのです。

原節子さんの場合と似ています。同じように絶世の美女ですが、自分でさっと引退という幕を降ろし、〈負〉を選んで、それで〈プラス・マイナス・ゼロ〉にしてしまったのでしょう。その後は隠者のように遁世して暮らしていらっしゃいます。

エリザベス・テーラーはアカデミー賞も受賞し、世界一と言われた美貌の持ち主でしたが、富と名声に恵まれ、子供たちもいて、何が〈負〉かと言うと、ここぞというときに必ず大病をするのです。それも大手術を伴うような命がけの大病ばかり。しかも8回も結婚と離婚を繰り返し、一生、男性の愛情による平穏が得られなかったのです。

フレッド・アステアはタップダンサー、モダンダンサーとしては世界一でしょう。あれだけの踊り手はもう出て来ません。ただ彼は美しい男ではなかった。二枚目の役もやってはいたけれど、シリアスなものはいっさいダメでした。そして、彼の何よりの〈負〉はものすごいばかりの練習量だったのです。

かの〈日本の誉(ほま)れ〉イチローさんも同じと聞いています。才能だけでなく、その努力たるやハンパなものではないそうです。

幸田露伴「幸福三説(こうふくさんせつ)」三説とは、「惜福(せきふく)」「分福(ぶんぷく)」「植福(しょくふく)」の三つの福のこと。惜福とは、福を全部使ってしまわずに惜しむこと。人気絶頂の俳優が、まだあと何十年と活躍できるにもかかわらず、惜しまれながら引退する、というようなこと。分福とは、人に福を分けること。植福とは、子孫や未来の子供たちのために、福を植えておくこと。

福が連続して続くことはない。だからこそ、この「幸福三説」が必要となる。表があれば裏があるように、正があれば必ず負もある。したがって、どんな結果にも、その原因がある。だから、もし努力を伴わない成功というものがあるのなら、その代償はいつかどこかで払うことになる。

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『自分を変える89の方法』

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スティーヴ・チャンドラー

私はアーノルド・シュワルツェネッガーとランチをともにしたことがある。あれは1976年のことで、シュワルツェネッガーはまだ無名だった。当時の私は、地元紙『ツーソン・シティズン』でスポーツコラムを書いていた。シュワルツェネッガーに1日密着し、日曜版に彼の紹介記事を書く。それが私の仕事だった。

私も、彼のことはまったく知らなかった。取材を引き受けたのは、仕事だからだ。気乗りのしない取材だったが、終わってみれば生涯忘れられない体験になった。ランチの時間も彼と同席した私は、何気なくこんな質問をした。

「ボディビルの世界は引退したわけですが、次の目標は何でしょう?」シュワルツェネッガーは、落ち着き払った声で淡々と答えた。「ハリウッドで、もっとも稼ぐスターになるつもりです」私は、あからさまに驚いた顔はしないように努力した。もちろん内心は驚いたし、おかしくもあった。だいたい彼が初めて出演した映画は興行的には大失敗だったのだ。

彼の言葉にはきついオーストリア訛りがあるし、それにあのボディビルダーの筋肉だ。彼は、ハリウッドスターのイメージにはほど遠かった。私はなんとか落ち着きを装うと、今度はこう質問した。「それでは、ハリウッドのトップスターになるための具体的な計画はありますか?」「ボディビルの世界と同じですよ」と彼は説明した。「まずは、なりたい自分のビジョンを描くこと。次はあたかもそれが実現したかのようにふるまえばいいだけです」拍子抜けするほどシンプルな計画だ。シンプルすぎて、意味などないようにも思えた。

しかし私は、その言葉をノートに書き留めた。そして、ずっと忘れなかった。のちにシュワルツェネッガーは、インタビューで言った目標を達成する。『ターミネーター2』の大ヒットで、彼は世界でもっとも客を呼べるスターになったのだ。

テレビでそのニュースを聞いた瞬間のことを、私はずっと忘れないだろう。あれ以来、私は「なりたい自分のビジョンを描く」という方法を、自分のやる気を高めるツールにしている。さらに工夫を加え、企業セミナーでも活用してきた。ポイントは“自分で描く”ということだ。ビジョンは誰かから与えられるのを待つのではなく、自発的に作り出したものでなければならない。

ビジョンがある人生とは「毎朝、目覚める理由がある人生」とも言える。ビジョンの力で、あなたは毎朝、前向きな気持ちを感じられるようになるのである。なりたい自分のビジョンは、今すぐ作ることができる。先延ばしにしてはいけない。今すぐ作ってしまおう。気に入らなければ、後からいつでも変えることができる。

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『こころのチキンスープ 7』

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ジャック・キャンフィールド

去年のクリスマスはとてもつらかった。家族も親友も、はるか遠い故郷のフロリダにいた。私は一人、寒いカリフォルニアで働き続け、体調も崩していた。私の職場は、航空会社のチケットカウンター。その日はクリスマス・イブ。私は昼夜のダブルシフトをぶっとおしで勤務していたが、夜も九時をまわり、内心みじめでならなかった。

当番のスタッフは2,3人いたものの、乗客の姿はまばらだった。「次のお客様、どうぞ」カウンター越しに声をかけると、柔和な顔をした老人が杖をついて立っているのが見えた。老人がそろりそろりとカウンターまで歩いてくると、聞き取れないほどの小声でニューオリンズまで行きたいと言った。

「今夜は、もうそっちへ行く便がありません。明日までお待ちいただくことになりますが」と言うとその老人はとても不安げな顔になった。「予約はしてあるのですか」「いつ出発のご予定だったのですか」などと聞いてみたが、聞けば聞くほどいよいよ困った様子で、ひたすら「ニューオリンズに行けって言われたから」と繰り返すばかり。

そのうち、いくつかのことが分かってきた。老人はクリスマス・イヴだというのに、義理の妹に「身内のいるニューオリンズに行きなさい」と車に乗せられ、この空港の前で下ろされたらしい。彼女は老人に現金をいくらか持たせ、「中へいってこれで切符を買いなさい」と言って立ち去ったのだ。

私が「明日もう一度来ていただけますか」と聞くと、「妹はもう帰ってしまったし、今晩泊まるところもない。このまま、ここで待つことにします」と言った。これを聞いて、私は自分が恥ずかしくなった。私はクリスマスの夜にひとりぼっちのわが身を憐れんでいた。

でも、クラレンス・マクドナルドという名の天の使者が、こうして私の元につかわされ、ひとりぼっちとはどういうことか、本当の孤独とはどんなものかを教えてくれている。私の胸は痛んだ。

私はただちに「ご安心ください。万事うまくやってあげますからね」と彼に伝え、顧客サービス係に明朝一番の便を予約してもらった。航空運賃も年金受給者用の特別割引にし、差額は旅費の足しにしてあげることができた。一方、老人はくたびれ果てて立っているのも辛そうだ。

「大丈夫ですか」とカウンターの向こうに回ってみると、片脚に包帯を巻いている。こんな脚で、衣類をぎっしり詰め込んだ買い物袋を下げて、ずっと立ちつくしていたのだ。私は車椅子を手配し、みんなで老人をその車椅子に座らせたが、見ると足の包帯に少し血がにじんでいる。「痛いですか」と聞くと、老人は「心臓のバイパス手術をしたばかりでね。そのために必要な動脈を脚から取ったんだよ。」なんということだ!老人は心臓のバイパス施術を受けたばかりの体で、付き添いもなく、たった一人で!

こんな状況に出くわしたのは初めてだった。何をしてあげたらいいのだろう。私は上司の部屋に行き、どこかに老人を泊めてあげてほしいと相談した。上司はすぐさま、ホテル一泊の宿泊券と夕食と朝食の食事券を出してくれた。カウンターに戻った私は、ポーターにチップを渡して「この方を階下までお連れして、シャトルバスに乗せてあげて」と頼んだ。車椅子の彼の上に身をかがめて、ホテルのこと、食事のこと、旅の段取りをいまいちど説明しながら、彼の腕をとんとんと叩いて励ました。

「すべて上手くいきますからね。」いざ出ていく段になると、老人は「ありがとう」と頭を下げて、泣き出した。私ももらい泣きしてしまった。

後になって、上司の部屋に礼を言いに戻ると、彼女はほほえんでいった。「いいわねえ、こういう話。その人は、あなたのためにやってきたクリスマスの使者だったのよ。」《レイチェル・ダイヤ―・モントロス》

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『武田鉄矢とコンプレックス』

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俳優で歌手の武田鉄矢さんが売れなかった頃の話です。
武田さんは、子どものころからコンプレックスの塊でした。
貧しいタバコ屋の息子で、服はいつも同じ物。胴長、短足。
高校時代のあだ名は「バケモノ」。女の子にモテるわけがありません。

大学を出て、仲間と海援隊というバンドを結成。
自らの半生と母への思いを歌った「母に捧げるバラード」が大ヒットしますが、その後は不遇の時代が続きます。
生活は逼迫し、才能に疑問を感じ、
いつもコンプレックスに悩まされていました。

そんな武田さんが、コンプレックスとのつき合い方を学んだのは、
高倉健主演の『幸福の黄色いハンカチ』という映画に出演し、
山田洋二監督からしごかれたのがきっかけです。
下痢をして、ディッシュペーパーをもっていくシーンがありました。
武田さんは、おしりを押さえて一所懸命に走る演技をします。
おかしさのあまり、まわりの人はワッと笑いました。
ところが、山田監督からは君のいまの演技には下品な心があると注意されます。そのシーンのやり直しが、15~6回も続くと、
さすがに武田さんはひとり落ち込みました。
日頃のコンプレックスが噴出してきて、
また明日撮影所にいかなければと思うと、怖くて毎晩酒を飲みました。

そんなとき、尊敬する高倉健さんから声をかけられました。
「おまえはいいな。監督はずっとおまえしか見ていない。
監督ってのは、伸びるからしごくんだよ」
武田さんは、健さんのこの言葉に救われます。

「僕にとってコンプレックスは吹き飛ばすというより、
上手につきあっていくものです。
片方の天秤にコンプレックスがあり、もう一方の天秤にうれしい想い出を積み、バランスをとる生き方をつかんだのです」
武田さんは、健さんのやさしくうれしい言葉をもう片方の天秤にのせて
立ち直り、この役を見事に演じきったのです。

高倉健「愛の反対は、無関心。関心を持つことは愛だと思います。はい。」
マザー・テレサも同じことを言っている。まったく関心がなければ、
人は人を無視する。
「関心を持つことは愛」厳しく叱責されたり、しごかれたとき、
そう思えたら少し心が楽になる。健さんのやさしさが心に沁みますね。

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