『第四次産業革命』

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西村康稔

シリコンバレーでは次から次へと新しいものが生まれています。
Googleの自動運転車も街のあちこちで見かけました。
多少スピードは遅いものの、走行する姿に違和感はありません。
ドローンもどんどん進化しており、ブレスレット型の超小型のものが、
まもなく発売されます。普段はブレスレットのように手首につけるのですが、
はずせば超小型のドローンとなります。カメラを搭載しており、
自律飛行するため、
宙に浮かせて、写真やビデオを自撮りすることもできるのです。

また、アマゾンの「エコー」は水筒ぐらいの大きさで、話しかければ、
様々な質問に答えたり、音楽を流してくれたりします。天気、歴史的事実、
世界各国の人口なども、百科事典やスマートフォンに代わって
教えてくれるので、
いまでは小学生が宿題をするのに重宝しているそうです。

電気自動車テスラの最新モデルXは車庫入れを無人で行ってくれるし、
縦列駐車も全自動で楽ちんです。
また、毎週のようにソフトウェアがアップデートされます。
自動運転機能さえもソフトウェアのアップデートで付与される
驚きの仕組みです。
一定の速度以下に設定しておけば、前を走る車との車間距離を保ちながら、
スピードを上げたり下げたりするのを自動で行ってくれます。

何故、シリコンバレーでは、このようなイノベーションが
次々と進むのでしょうか。私はその理由を次のように考えます。
第一に、言うまでもありませんが、
何よりも「失敗を恐れない気風」が挙げられます。
テスラにしても、安全性には細心の注意を払っていると思いますが、そ
の他のソフトウェアはバグ(不具合)も結構あるといいます。
完璧な商品でなくとも世に出し、むしろ、消費者がバグを見つけ、
オープンな環境で、消費者を巻き込みながら、商品を世に出した後に、
だんだんと完全なものに仕上げていくという発想です。
この点、テスラに出資しているトヨタとテスラの共同開発の車
「RAV4」について、興味深い話を聞きました。
RAV4を世に出すにあたって、そのバグを完璧に処理した上で発表したい
トヨタと、発表のスピードを重視するテスラとの間で、
議論があったそうなのです。
結局、RAV4の発表後にいくつかのバグが見つかりましたが、
トヨタには苦情が寄せられた一方で、
テスラには、ほとんど苦情が届かなかったそうです。
このエピソードは、重要な示唆を含んでいると思います。
トヨタに代表される日本のモノづくりには、高品質に基づく
、高い信頼性とブランド力があります。
一方で、多少粗削りでも、次から次へと新しいものを世に問う
テスラのようなシリコンバレーの企業は、
そのチャレンジングな姿勢とスピードが支持を得ているのです。
日本企業のモノづくりの品質に対し、消費者の期待値は高く、
不具合があればクレームに直結しますが、
シリコンバレーの企業の品質に対してクレームが起こりにくいのは、
「不具合があっても(ベンチャー企業ゆえに)そのチャレンジ精神を評価し、
多少のことは許す」という文化が根付いているからではないでしょうか。
安定感、信頼感はあっても、消費者の目は厳しく、
不具合が大きなクレームになりやすい日本企業は、
トラブルにつながるリスクを回避することを最優先にしようとするため、
チャレンジできず、動きに早さが出せないのです。


シリコンバレーでイノベーションが進む第二の理由は「多様性」です。
シリコンバレーの多くの方々からある種の不満を聞きました。
AIやIOTについて、多くの日本企業が視察にくるものの、
どの企業も40~50代の男性数人でやってきて
(担当役員、部長、課長といったところでしょうか)、
どの企業も同じような質問ばかりして帰って行くというのです。
女性も外国人もおらず、若い人もいない。
しかも、帰ったあと、何の反応、提案もない。
これではがっかりするのも無理はないでしょう。
シリコンバレーの企業は、多様な人材が、様々な新しい視点からの問いかけ、
提案を待っているのです。
変化のスピードが極めて速い時代に、安定感があるが躍動感に欠ける、
日本の大企業のこれまでのやり方では対応が難しくなっているのが現実です。
企業内「特区」、別ブランドによる挑戦、兼業の容認などを通じて、多
様な人材を確保し、イノベーションを推進することが急務ではないでしょうか。
高品質な日本のモノづくりへの信頼感の維持と両立しながら、
大胆なイノベーションを生み出す取組みが急がれます。

今までの常識をひっくり返すような大きな技術革新が起こると、
今まで先頭を走っていた企業が、一挙に最後尾になってしまう、
というような事態が発生する。
それはあたかも、環境の急激な変化についていけなくて絶滅した
巨大な恐竜のように、大きければ大きいほど変化への対応は遅くなる。
たとえば、2012年、デジタルカメラやスマートフォン登場による変化に
ついていけなくなった世界最大の写真フィルムメーカーのコダックが倒産し、
その130年の歴史に幕をおろした。
直近では、経営不振になり台湾の鴻海に買収されたシャープがある。
退任したシャープの高橋興三社長の最後のコメントは、
「経営のスピードが世の中のスピードについていけなかった」、だった。
企業も人も、時代の変化に対応できなければ生きていくことはできない。
ITやIOTの進化により、20年後には、
今の仕事の半分はなくなると予想されている。

我々エンジンオイル、OEMのチームは
時代の変化に取り残されないよう、チャレンジし続けましょう。

1川口 達夫

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『一生 ボケない脳をつくる 77の習慣』

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精神科医、和田秀樹 

「記憶力」には、「モノを覚える力=記憶する(インプット)力」だけでなく、「モノを思い出す力=記憶を引き出す(アウトプット)力」があります。
この「記憶を引き出す力」、脳のどこかにしまわれた記憶を引っ張り出してくる「インデックス(検索)機能」を担っているとされるのが、前頭葉です。
この前頭葉が委縮(老化)してくれば当然その機能も衰え、
モノがなかなか思い出せなくなります。
そして何よりこわいのは、この機能が衰え始めると、
「悪循環」によってこの機能の衰えにさらに加速がかかってしまうことです。
それは「モノが思い出せなくなる」ことにより、
「話題も出てこなくなる」からです。

長年付き合ってきた友人や家族などの間では、歳をとる以前から
「アレ」「ソレ」「コレ」の指示代名詞だけで
てっとり早く話をすることもあるでしょうし、
それをいちいち「単語」に置き換えて話すのも
どこかぎこちなさを感じることもあるかもしれません。
しかし歳をとって、「思い出せないから指示代名詞」の会話になってきたら、
むしろあえて「指示代名詞NG」のルールを自らに課してみます。

例えば学生時代からの友人同士で、「ほら、隣のクラスの、なんてヤツだっけ、あの、いつも野球帽を逆さまにかぶっていた…」
「ああわかった、アイツだよな」
「そうそう、アイツ。名前思い出せないけど、まあいいか」…という
会話になったとき。ここでとりあえず一件落着して他の話題に移っても、
密かに頭のなかで「誰だっけ、誰だっけ…」とめぐらせているうちに、
何かの拍子に思い出せることはままあるものです。

「思い出そう」とすることで、脳のインデックス(検索)機能が
頑張って頑張って、ついに記憶を引き出すことに成功する…
こうしたことを続けていくうちに、
「思い出そう」ともしない頃より脳のインデックス機能は格段にアップします。

また、出力系を鍛える最も簡単な方法は、“誰かと話すこと”です。
歳をとっても若々しい人というのは、
自分の知らないことや知りたいことがあると、
素直に「わからないから教えてほしい」と訊き、
相手の説明に熱心に耳を傾けます。
そして、自分なりの経験や実績を積んできた人ほど、
積極的に質問し、教えを乞います。

松下幸之助氏は晩年になっても「自分にはわからないこと」があれば、
初歩的なことでも自分の孫ほどの年齢の技術者や研究者に、
徹底的に訊いていたといいます。
こんなことを言ったら、こんなこともわからなかったら、
こんなことを訊いたら「恥ずかしい」…そんなプライドは捨て去って、
「わからないことがあったら、訊けばいい」という気持ちで
とにかく人と話してみること。
これが出力系を鍛えることに直結するのです。

かなり若い年齢の人でも、「アレ」「ソレ」という指示代名詞が会話に
頻繁(ひんぱん)に出てくる人がいる。しかし、それに慣れてしまうと、
「モノを思い出す力」はますます弱くなるという。
これは人の名前だけでなく、漢字や、単語、熟語、お店や商店の名前を
思い出さない等々も同じ。
アウトプットをしくみとして強制的に行う方法には、
会社の朝礼や会合でのスピーチや挨拶を積極的にするなどの他に、
ブログやSNSで近況や読書録等を毎日アップすることなどがある。
ブログを続けて書いていれば、
素敵な言葉やしゃれた言い回しを書きたくなるので、
始終自分の記憶の中を検索するようになる。
また、出力系を鍛えるためには会話力を上げるのがよいというが、
それはとりもなおさず何事にも「好奇心」があるかどうかということでもある。

好奇心がなければ質問そのものが浮かんでこない。「アレ」「ソレ」「コレ」を無くし…モノを思い出せるように。
エンジンオイル、OEMの仲間は気を付けましょうね。

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西谷 昌也
記憶の過程は、古典的に、三つの段階に、分けられます。
1:記銘物事を覚えるそうさ。
2:保持それを保ておくこと。
3:想起保持していた事を、思い出すそうさ。
歳を取ると、想起障害が起こります。うっかりミスも、そのひとつです。

保持障害が起こると、覚えていた事も忘れているので、認知機能障害となります。

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