『アリエリー教授の人生相談室』

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ダン・アリエリー

人は誰かに相談するとき、
基本的には「聞いてもらいたい」のだと思いますが、
本当に意味ある答えを求めるなら、
学問の基礎がある人に相談する方がいい。

☆望ましい優先順位を守るための簡単な方法3つ

1.頼みごとをされるたびに、
「来週だったらどうするか」と考える
ほかの予定をとり消してでも時間をつくろうと思えるなら、
引き受ければいい
2.予定表を見てその日に動かせない予定が入っていた、
と想像する
残念だと感じるなら、頼みごとを引き受ければいい
3.キャンセル・エレーション(高揚感)
キャンセルして喜びを感じるなら……
どうすればいいかはわかっているね?

今度休暇(たとえば三週間ほど)をとって、
君が転職を検討しているタイプの会社で
ボランティアをするといい。
私がかなり長い試行期間を勧めていることに
気がついたかな。
最初の目新しさが消えたときに
その仕事がどう感じられるかは、
時間をかけないとよくわからないからだ

意思決定にまつわる三つ目のバイアスは、
不変性バイアスだ。
私たちは、いったん決めてしまうと
二度と変更できないように思われる
重大な決定(結婚する、子どもをつくる、
遠くに引っ越すなど)を迫られると、
その永続性におじけづいて、
一層重大で手ごわいように感じる。
しかも、そうした決定は後悔の余地も大きいんだ

デート相手に関していえば、
相手のことを知れば知るほど、
恋愛感情は高まるどころかむしろ薄れる

外から招かれたCEOは、
生え抜きのCEOに比べて高い報酬を得るが、
実績はむしろ低いことを示す証拠がいくつかあがっている。
この場合も情報不足のせいで、
期待がむやみに高まるのが原因なんじゃないかな

人は自分の不正な行いの多くを正当化できる。
またそうした行いと現金との距離が遠ければ遠いほど、
正当化しやすい

嫌いな科目を好きな先生に教わるときは、
先生に集中すれば科目が気にならなくなるし、
好きな科目を苦手な先生に教わるときは、
授業の内容に集中すれば先生のことは気にならなくなる

音楽や人混みは、性的興奮を高める効果が
とても高いことがわかっている。
そう、性的興奮だ。
デート中の人は、騒音や人に囲まれると
興奮度が高まることが多い。
そしてここが肝心なんだが、
自分が興奮しているのは一緒にいる相手のせいだと
勘違いする場合があるんだ
(社会科学で「感情の誤帰属」と呼ばれる現象だ)

私が個人的に一番気に入っているのは、
進化にまつわる説だ。
男性がハイヒールに惹かれるのは、
それを履いている女性は逃げにくいと、
無意識に思っているかららしい

衝動に抗う力は筋肉に似ていて、
使えば使うほど疲れがたまり、
あるとき──夜のことが多い──
誘惑に抵抗できないほど意志力が弱くなる

エンジンオイルのOEMばかりやっていると、
分からないことですね。
ハイヒールは、カッコいいだけではなかった。

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『ヤンキーの虎』

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藤野英人

昔、父親に都会の商売と地方の商売の違いについて
教わりました。

いわく、「都会では専門化を図れ。
地方ではラインナップを揃えろ」。
つまり、都会ではカレー専門店が流行るが、
田舎ではカレーでもそばでも
何でもあるお店が流行るというのです。

どうやらこれはビジネスのポートフォリオにも
当てはまるようで、
いま、地方で元気な企業は、
一貫性のない多角化ビジネスを展開しているところと
相場が決まっています。

☆ヤンキーの虎
地方を本拠地にしていて、
地方でミニコングロマリット
(様々な業種・業務に参入している企業体)化している、
地方土着の企業。あるいは起業家

ヤンキーの虎たちは、驚くほど様々なビジネスを
展開しています。
例えば、パチンコやラブホテル、ウエディングビジネス、
携帯電話の販売ショップ。
保有している裏山を改造して
サバイバルゲームフィールドを作って
集客する経営者もいました。
事業に一貫性はありませんが、多角的に儲けています

なぜ彼らは順調に成功できたのでしょうか。
その理由の一つは、地銀や信用金庫の存在です。
地方の金融機関は、金融の地産地消を進めていて、
ヤンキーの虎たちに積極的に融資しているのです

むしろ今は、都市から進出してきた人たちは
「選択と集中」によって地方から撤退するモードに
入っています。
こうして残されたマーケットの中、
ほとんど無競争といった環境で、
隙間産業を束ねて伸びているのが、ヤンキーの虎なのです

東京の大企業がどんどん地方に進出し、
それをヤンキーの虎が橋渡しする形で、
両者は地方での存在感を強めていったのです

ヤンキーの虎は、東京にもしばしば訪れ、
情報収集を怠りません。
東京で流行っているものや人気の出そうなものを探して、
地元に持ち帰るのです。
いわゆる「ミニタイムマシン経営」です

今は、社長が社員をお客さんだと考える時代

ヤンキーの虎のキーワードは
「事業意欲」「仲間意識」「スポーティ」

藤堂さんのM&Aの狙いは、ここにもありました。
買収先にいる、
元々経営者や管理者の志を持った人たちや後継者、
あるいはその教育を受けてきた人たちに目を付けたのです

彼らは地縁・血縁による顧客網と、
地域の情報を豊富に持っています。
これを武器に、東京で流行っているものを地域に持ち込み、
色々な商品を束ねて売りまくって成功しています。
つまり「販売力」が強いのです
一方で、彼らは製造業にはほとんど参入していません

コシダカは、地域に「居場所」をつくって成功した

ヤンキーの虎は、一つの本社に
複数の事業がくっついているのです。
本社コストは一カ所で済みますから、
ここでかかるコストを抑制することができ、
その分利益率が上がります

彼らの家は、地域の大地主である場合が多く、
不動産業をやりながら市議会議員をしているケースを
よく見かけます。
すると、自分が市議会議員ですから、
道路や開発などの情報が、何となく分かってしまうのです

エンジンオイルのOEMも、マーケティング面では
この発想が必要です。
郷に入れば郷に従えですね。

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『靴下バカ一代』

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越智直正

経営には、王道と覇道がある。

王道は質の経営、覇道は量の経営であり、
規模拡大を第一義とする会社は、
まず覇道の会社と言っていいでしょう。

しかしながら、中小企業が良い会社を作ろうと思ったら、
目指すべきは王道の経営。

王道を堂々と歩み、
靴下業界で確固たるポジションを築いたタビオ
(「靴下屋」で有名)創業者の越智直正

50年以上前、丁稚奉公先の大将によくこう言われたんです。
「音楽家や絵描きが自分の思いを形にしたら楽譜や絵になる。
靴下には靴下屋の心や精神が表れるんや。
靴下だと思うな、自分自身やと思え。
いい靴下を作りたければ、人間を磨け。
人格にふさわしい商品しか作れない」

☆大将から教わったこと 
・商品と残品は似ても似つかぬものだ。
商品は利益を生み、残品は赤字を生む
・計算ばかりするな。キタナイ商売人になるぞ。
そろばんぐらい目ではじけ
・予算などあるか。予算は発想を限定する
・まず頭を使え、次に体を使え。銭は最後の切り札だ。
銭さえ出せば馬鹿でもできる
・儲けの秘訣は、貧乏人は金持ちを、
金持ちは貧乏人を相手にすることだ

一生懸命に頑張っていれば、仕事があなたを守ってくれる

自分で職業を選ぶのではない。仕事があなたを選ぶのです

☆ダン(タビオの旧社名)の創業理念
「凡(およ)よ、商品は造って喜び、売って喜び、
買って喜ぶようにすべし。
造って喜び、売って喜び、買って喜ばざるは、道に叶わず」
※二宮尊徳の言葉をアレンジした

その頃、紳士物市場は大手メーカーが
かなりのシェアを押さえていました。
これに対し、当時まだ市場規模が小さかった婦人物には
大手はあまり手を入れておらず、
参入企業は中小メーカーや問屋が中心。
婦人物だからと、品質よりデザインを重視するメーカーが
ほとんどでした。
僕は自分のところの靴下の品質に
絶対の自信がありましたから、
この市場に懸けた。
おかげさまで気付いたら
婦人物靴下のトップブランドになっていました

競争をして覇道に入ってしまえば、
経営の楽しさがなくなってしんどい部分だけが残る。
相手からも疎まれる。
だから、そうならないように、
僕は誰が何と言おうと戦わない経営をする。
同じ戦うならば、自分の理想と戦いたいと思うのです

仲間の利益をまず優先せよ

☆隋の文帝楊堅の妻、伽羅からの手紙
「あなたは天下取りという
一日に千里走る虎の背に乗っているのです。
乗った以上、途中で下りることはできません。
もし途中で下りれば、たちまちその虎に食い殺されますよ」

僕は経営というのは商品の研究だと思うんです。
商品が良くなかったら売れない。
売れなかったら経営なんか何の役にも立ちしませんのや

エンジンオイルのOEMにも、越智さんの考えが必要です。
忘れてはいけませんね。

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