「やさしさ」という技術』

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医師、ステファン・アインホルン

なぜやさしくなければいけないのか? 
なぜ良い人でなければならないのか? 
なぜ倫理的でなければならないのか?

その答えは、
良い ことをすべき理由がたくさんあるからだ。 
いくつかの例をあげてみよう。

★ 良い ことをすると気分がよくなる。
ある研究によると、他人に良い ことをすると
愉快な気持ちになるという。

★周囲の人のために良い ことをすると、
周囲の人の気分がよくなる。
気分のいい人たちに囲まれるのは楽しく、
心身の発達にもつながる。

★他人に対して良い ことをすれば、
間接的には自分自身の利益になる。
なぜなら、他人のための行いは、
やがて自分に返ってくるからだ。

★倫理的な考えが浸透している社会は、
そうでない社会よりもうまく機能している。

★よい行いの結果、よりよい世界を築ける。
ひとりの力など無力だとあなたは思うかもしれないが、
ちがう。
良い 行いの結果は水面の輪のように広がっていくものだ。
私たちは他人のために想像以上のことができる。
そうして私たちは世界を変えていくことができる。
よい世界は、悪い世界よりもずっと生きやすいはずだ。

結局のところ、やさしい心で生活すると得をし、
そうでないと損をする。

「自分の得になるから」というのは、
やさしく生きる理由としては悪くない。

アメリカの元大統領のセオドア・ルーズベルトは、
かつてこう述べた。

「成功のレシピでもっとも大切な材料は、
他人とうまくやっていく方法を知ることです」

まったくそのとおりだ。
人生で成功を収めるために、
仲間といい関係を築く力ほど重要な能力はない。

北風と太陽が、どちらが強いかを競う寓話がある。 
通りがかった男のコートを、早く脱がせたほうが勝ちだ。

北風が力いっぱい吹きつけると、
男はコートをますますしっかりと着込んだ。
次に太陽が明るい日差しをさんさんと降らせると、
男は暑くなってコートを脱いだ。

この寓話には真実が含まれている。

もし何かを成し遂げたいと思ったら、
攻撃的な態度をとるよりも、
愛情ぶかい態度を示すほうが早道だ。

イギリスの作家で哲学者のオルダス・ハクスリーは晩年、
次のように語っている。

「お恥ずかしい話ですが、
私は生涯、人類の行く末について考えてきたというのに、
結局は『もう少し人にやさしくしなさい』という
言葉以上の助言はないことがわかったのです」

つまるところ、それはほんとうに簡単な…そして、
とても難しいことなのだ。

やさしさは、私たちが周囲の人に、
そして自分自身に差し出すことができる、
最高の贈り物なのである。

エンジンオイルをOEMするときも、
周囲への笑顔と優しさを忘れない。

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