EI(感情的知性)を高める3つの自問

Pocket

エンジンオイル、OEMの櫻製油所は
難しく書いてるが、内容はそんなにも難しくないと思いました。

ダニエル・ゴールマン,ミシェル・ネバレス

特定のEI能力を伸ばそうとするならば、
自分が達成したい目標とともに、
「他者に指摘された要改善分野」も考慮すること。
そのうえで、それらの分野について
単に概念上で理解して安心するのではなく、
積極的に習慣化するのだ。

そこに至るために、まずは次の3つの問いを
自問することから始める。

★問い1: 
「自分から見た自分」と「他人から見た自分」の違いは何か

最初のステップは、
自己認識(自分で自分をどう見ているか)と
自分の評判(他人が自分をどう見ているか)が
いかに異なるかを知ることだ。

なぜなら人は、自分がコミュニケーションにおいて
感情的要素をどう表現し、
どう読み取っているのかについて、
認識が偏っているのはもちろんのこと、
まったく見えていない可能性があるからだ。

たとえば、ほとんどの人は
自分が優れた聞き手だと思っているが、
実はそうではないことが多い。
外から見た現実を確かめなければ、
自分の行動が自分のパフォーマンスに
どう影響しているかを把握するのは困難だろう。
また、他者からフィードバックをもらうことで、
自分の行動を変える必要性が証明され、
それを実行する弾みにもなりうる。

さらに、EIはIQと違い、
単一のスコアに落とし込むことができない。
感情的知性を単に「優れている」とか
「劣っている」などと言うことはできない。
EIには、自己認識、自己管理、社会性、
人間関係管理の4つの領域があり、
人はいずれかの領域が他より優れているものだ。

ここでカギとなるのは、
次のようなツールを見つけることだ。
まず、フィードバックをくれる人に関する
機密性が保証されるもの。
そして、業績評価(フィードバックを歪めてしまう)
ではなく育成に焦点を当て、
自己評価と他者評価との違いを
つぶさに把握できるものだ。

★問い2: 
自分にとって重要なことは何か?

評価ツールやコーチによるフィードバックを得たら、
そこから自分の要改善点が分かる。
一方で、自分自身が望む目標は何かも考慮しよう。
いま自分がしていることで、どこを向上させたいか、
または将来的にはどうなりたいかである。

EIは自己意識と強く結びついているため、
長きにわたる習慣を変えるときには、
単に予算編成のようなスキルを学ぶときよりも、
内発的な動機に基づく努力が重要となるのだ。

つまり、自分が積極的に取り組む分野は、
「他者からのフィードバック」と
「自分自身の願望にとって最も重要な分野」とが
交わる部分を選ぶべきだ。

自分に問いかけてみよう。
能力を伸ばしたい理由は、
リーダーの地位に就きたいからだろうか。
チームのもっと良き一員になりたいのか。
ポジティブな影響力をもっと発揮したいのか。
自己管理能力や、重要な目標に集中し続ける能力を
高めることなのか。
それとも(目標は仕事に関するものでなくてもよい)、
自分の配偶者や十代の息子・娘との関係を
改善したいのだろうか。

EIの強化に取り組むなかで、
自分の現在のEIの傾向が、
最終的な目標に対してどう作用するのかを理解しよう。
それが、長期にわたり努力を持続させる一助となる。

たとえば、自分は良い聞き手だと思っている人が、
「良い聞き手ではない」というフィードバックを
受けたとしよう。
その評価を攻撃と受け止めたり、
単に否認したりする代わりに、
一歩下がって自分の目標について考えてみよう。
それは、もっとうまく人と関係を築き、相手を理解し、
コミュニケーションにおいて
影響力を発揮することかもしれない。
これらを実行するうえで、人の話をよく聞くことは、
どのように役立つだろうか。
この点に照らしてフィードバックを見つめれば、
それを脅威というよりも、
目標に向かって発展するための
チャンスと位置付けることができるだろう。

★問い3: 
目標を達成するために、何を変えるべきか?

どのEIのスキルに重点を置きたいかを決めたら、
自分が取るべき具体的な行動を特定しよう。
たとえば、良い聞き手になろうと取り組むのであれば、
人と会話する際には、間を入れる時間を取り、
話し手が伝えたい内容に耳を傾け、
返答の前に理解しているか確認しよう、
と心に決めるかもしれない。
やるべき行動を具体的に決めてこそ、
変えたい習慣を変えることにつながる。

また、自分が開発中のスキルを訓練する機会が
自然に生じたら、
たとえどんなに小さな機会でも、
必ず利用するべきだ。
よくある状況でいままでと違う反応をするよう、
脳を訓練するのだ。

「神経の可塑性」の原理によれば、
特定の脳の回路がより頻繁に使われるようになるほど、
その内部の結合が強化される。
そして脳は、習慣を変えるにあたり
自宅と職場の区別をしない。
したがって自宅でも職場でも訓練しよう。
上司や直属の部下と同じように、
配偶者や十代の子供も訓練の相手になる。

自分の新たな習慣を実践する
このような好機を見極めるためには、
少し強めに意識する必要がある。
最初のうちは努力がいるだろう
(実際、実践してみると違和感があるかもしれない)。
だが、実践するたびに、脳の新たな経路の結合が強化され、
新たな行動をより容易に、習慣的にしてくれる。
そのうちに、言葉を返したい衝動に駆られて
相手の話をさえぎるよりも、
間を取って耳を傾けてから返答する方が
自然になっていくだろう。
そしてある日、脳神経的な目標点に到達するはずだ。
新たな習慣が、努力をしなくても自動的に作動する。
それは、新たな習慣が古い習慣に取って代わり、
脳のデフォルトの回路となったことを意味する。

これら3つの問いに答え、
自分のルーティン的な反応を変えることで、
プラスにならない古い習慣を突きとめ、
それを新たに改善された良き習慣へと改めることが
できるだろう。

自動代替テキストはありません。
 
 
Pocket