『明日を支配するもの』ドラッカー 

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「最初から完璧なものはありえない。 
必ず予想しなかった問題が出てくる。 
逆に大きな障害と思ったものが、たいした事なかったりする。
仕事というものは、初めに考えていたものとは 
必ず違ったものになる」 
 
特に、真に新しいものには、 
それを創った者には想像できなかったニーズと市場がある。

その代表例が、ジェームズ・ワットの実用蒸気機関だった。 
炭坑の排水用に開発したものが、
紡績で使われて予期せぬ成功を収めた。 
紡績会社が蒸気機関を使い始めるや、
綿糸の価格が7割下がった。 
近代工場が生まれ、近代経済が生まれた。
それが、産業革命だった。

新しいものには、新しい市場と新しい展開があるとするならば、 
すべて新しいものは、小規模に始めなければならない。 
見通しを得るための紙上のアセスメントでは不足である。

新しいものは、すべて小規模にテストしなければならない。 
つまりパイロットしなければならない。 
そして予期せぬ成功があれば、
それを追求しなければならない。

加えて、変化の先頭に立つには、
そのための予算が必要である。 
しかし現実には、あらゆる組織が、
景況に合わせた1種類の予算しか持っていない。 
その予算を、好況時には一律に増やし、
不況時には一律に減らしている。

そのようなことでは、
チェンジ・リーダーにはなれない。

未来を築くには、未来のための予算が必要である。 
好不況にかかわらず、一定に保つべき予算である。 
その規模は、全予算の10~20%であろう。 
未来のために何かをやろうというのであれば、 
そのための予算が必要なことは当然である。

成功を追求するための予算も、この未来予算に含まれる。 
成功したから、それでよしと終わってはならない。 
成功したからこそ、継続して力を入れなければならない。

「われわれは、報告に基づいてマネジメントしがちである。 
したがって、チェンジ・リーダーたるには、 
予期した以上の成果をあげている分野、
予期せぬ成功を収めた分野、 
機会のある分野に焦点を合わせた報告が必要である。 
さらには、未来を生みだし、変化の先頭に立つことを
見込んだ予算が必要である」 

明日を支配したいと願う、
エンジンオイル、OEMの櫻製油所でした。

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『プロフェッショナルの条件』ドラッカー

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「成果をあげるには、人の強みを生かさなければならない。 
弱みを気にし過ぎてはならない。 
利用できる限りの、あらゆる強み、 
すなわち同僚の強み、上司の強み、自らの強みを 
総動員しなければならない。 
強みこそが機会を生かす力である。 
強みを生かすことは、組織に特有の機能である」

「弱みを克服せよとは、決して言うな。」 
そのようなことは不可能である。 
たとえ、成功しても、その過程で強みまで危うくする。 
しかし組織は、人それぞれの弱みを意味のないもの、 
大した事ではないものにする事はできる。

組織の役割は、一人ひとりの強みを、 
共同の事業のための建築用ブロックとして使うことにある。

人の強みを生かし、
弱みを意味のないものにする事こそ、 
組織の正当性の唯一の根拠だ。 
これができていれば、組織には、どなたかのお子さんに 
あれこれ命令する権利、権力など許されるはずがない。

「人事は強みを中心に行え」
米国の南北戦争時の逸話である。

北軍を率いたリンカーン大統領は、
最高司令官の人選のとき、 
グラント将軍の酒好きを心配した参謀に対し、 
「銘柄が分かれば、他の将軍たちに贈りなさい」と言った。

リンカーンも、酒好きの危険は承知していた。 
しかし、北軍の将軍の中で、
常に勝利をもたらしてくれるのはグラントだった。

酒好きという弱みではなく、戦い上手という強みに基づいて 
最高司令官を選んだがゆえに、
リンカーンの人事は成功した。

南軍の最高司令官、リー将軍にまつわる話も、 
強みを生かす事の意味を教える。

あるとき、部下の将軍の一人が命令を無視し、
作戦を台なしにした。 
しかも、初めての事ではなかった。

感情を抑える事のできるリー将軍が、珍しく怒った。 
だが、落ち着いたところで、
副官が、「解任しますか」と聞いたところ、 
驚いたという顔をして、
「馬鹿を言うな。彼は指揮ができる」と言った。

「大きな強みを持つ者は、ほとんど常に大きな弱みを持つ。 
 山があるところには谷がある」

社員の多様性とは、このような事をも受け入れるということですね。
経営に生かそうと決めた、エンジンオイル、OEMの櫻製油所でした。

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