世界を動かした脳の病気 小長谷正明

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優秀な経営者は、リーダーを評価する時に
顔の表情を見ている。
面構えがいいとか、美形であるとかではない。
正しい判断を下せる健康状態かどうかを見ている。

残念ながら、優れたリーダーが、
いつまでも優れている事は難しい。
多くのリーダーが、いつかは衰え、病気を患い、
判断を間違えてしまう。
しかしながら、彼らは持ち前のカリスマ性により、
実権を握り続けて悲劇を起こしてしまう。
脳の病気が歴史を変えた。そんな例は、いくつもある。

ヒトラーに政権を奪われたヒンデンブルクは認知症だった。
知的能力の低下は明らか、義務感も低下していた。
国防軍のナチ化や、国際連盟からの脱退などの重要な時。
彼は準備された書類に言われるがままに署名するだけだった。

ヤルタ会談でスターリンの言うなりだったルーズヴェルトは、
史上最低のアメリカ大統領だった。
彼の高血圧が降圧剤で治療できていたなら、
ヤルタ会談の中身は変わっていただろう。
東西ヨーロッパを分断した鉄のカーテンや、
日露の北方領土問題も起こらなかっただろう。

ジャンヌ・ダルクとドストエフスキーは側頭葉てんかんだった。
敬虔なキリスト教徒であったジャンヌ・ダルクは、
教会の鐘の音で神秘体験をし、
フランスへ行けという神の声を聞いた。
いつも神を意識していたドストエフスキーも、
神の音で発作が始まり、
宗教的な幻影を見て高揚感が発現した。

最高権力者の失語症は、歴史の流れに強い影響を与えている。
レーニンはロシア革命に成功した数年後に、
失語症と右辺麻痺を伴う一過性脳虚血発作を繰り返して、
言葉と身体の動きを失ってしまった。
スターリンはレーニンを追い落とし、
反対派を粛清して権力を握った。
ソビエト連邦は、労働者の天国となる筈だったのに
圧政国家となってしまった。

ブレジネフは太り気味で糖尿病があり、
ヘビースモーカー、大酒飲み、睡眠薬を常用していた。
1973年頃から、知的機能の低下が出て来た。
彼の振る舞いは、彼の地位と場にそぐわないものであり、
抑制が外れていて、多幸的な傾向が在った。
彼は前頭葉に問題を持っていた。

老醜を晒したくないと思った、エンジンオイル、OEMの
櫻製油所でした。

 

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