岡本健・著 KADOKAWA

奈良県立大学地域創造学部准教授

観光客は、今や景勝地を訪れ、グルメを楽しむだけではない。

日本のアニメや映画、小説などの舞台を訪れるために、

はるばる不便な地方にまで足を伸ばしている。

アイドルの聖地、歴史上の人物の聖地、野球やラグビー、

ボクシングの選手や観客にとっての聖地、かるたの聖地、

特定の職業、趣味の聖地、映画やアニメ、

小説の舞台としての聖地、パワースポットとしての聖地など、

実に多様な聖地がある

近年存在感を増しているのが「ライブエンタテイメント」。

中でも2・5次元ミュージカルが注目されている

「人間が移動してお金を落とさないと、

観光業は儲からない」という指摘を受ける。

確かに旧来の観光産業の枠組みだとその通りだ。

しかし、これからはわからない

アニメ聖地に行って、最も多くの人々が実施するのは、

アニメの背景と同じアングルで写真を撮影すること

アニメ聖地に神社がある場合、

そこにはアニメの絵があしらわれた

痛絵馬がかけられる

インターネットを用いた発信をするという回答は179あり、

回答者全体の61.1%を占めている。

中でも「Twitter」による発信が多く、

次いで「ブログ」「Facebook」が多くなっている

(アンケートを実施したのは、アニメ『氷菓』の舞台となった

岐阜県の高山市)

久喜市商工会鷲宮支所の経営指導員である坂田圧巳氏、

松本真治氏は、

訪れる巡礼者に話しかけ、事情を聞いてみることにした。

そこで、初めてアニメ『らき☆すた』の舞台として

鷲宮神社が取り上げられていることを知ったそうだ。

話を聞いてみると、近隣からだけでなく

日本全国や海外からも訪れていることがわかった

巡礼者が訪れる理由がわかったところで、

二人はこのように考えました。

「こんなにたくさんお客さんが来てくれているのに、

買って帰ってもらうものが何もないのは

商工会としても問題ではないか」と。

そこで、アニメの製作委員会に名を連ねていた

角川書店(現、KADOKAWA)に問い合わせをし、

イベントの企画やグッズの製作などを行うことにた

複数のバージョンがあるグッズは

すべてをコレクションしたくなる

ホテル大野屋では、『ラブプラス+』ユーザーに、

独自のサービスを行った。

それは、「『ラブプラス+』で泊まります」と

予約時に一言添えれば、1人で宿泊しているにもかかわらず、

布団を二組敷いてくれるというもの

「事故」や「事件」、「戦争」などの

人間の負の部分すら観光資源になる

インターネットによって、自分と同じ趣味を持つ人々と

比較的簡単にコンタクトを取ることができるようになっている

昨今ですが、現実空間上において

同じ価値観を持っているかどうかを確かめ合う術は

あまりない。

オタクスケープが現出することで、その価値観を

理解できる人間が集う場所であることが、

現実空間上で確かめられ、

同好の士の間で交流が起こってくるきっかけが作られる

国が違っていても、類似の価値観を持っているユーザーは、

コンテンツの面白さを発見する

「見方」「楽しみ方」を創出する人、

「価値」を見つけ出す人々が関わることで

、巡礼ビジネスにも好影響

コンテンツツーリズムを持続する際に重要なのは、

それぞれの利益を最大化できるように

状況をハンドリングするメタな視点に立てるアクターの存在

日本は今、観光だけに躍起になっているが、

製品ピラミッドを考えた場合、

宗教・アートがトップで、飲食や物販はピラミッドの底辺な

ピラミッドの頂点(来日するための強力なインセンティブ)を

創るのに、この『巡礼ビジネス』は重要な示唆を与えてくれる

エンジンオイル、メーカー、OEM仲間の経営塾より