田中修治
1.事業を信じることの大切さ
2.『論語と算盤』を駆使し、大胆に事を進めることの大切さ
このお婆ちゃんとの出会いを通じて、
僕はとても大切なことに気付かされた。
(メガネを掛けないと、目は見えない。
目が見えないということは、
時に人から、かけがえのない大切なものを
奪ってしまうこともある。
自分たちは視力という、人々の生活に欠かせない、
とても重要なものを扱う仕事をしているのだ)
タクシーに揺られながら、
流れ行くシンガポールの幻想的な夜景を眺めていると、
亡くなった父親に言われた言葉が頭にふとよぎった。
(男なら荒れる海を超えていけ。そして自分を試してみろ。
広い大海原で、思うがままに舵をとれ。
迷子になれば、また港に帰ってくればいい。
若いうちにしかできないことをやらなきゃダメだ)
恐れを振り払って一歩を踏み出すことで、
このハリボテの砦を本物の砦に変える。
それしか自分たちに生き残る道はない。
次の2店舗を続けて成功させることができれば、
確実に「OWN DAYS」は
次のステージへと駆け上がるはずだ。
「アフリカに『早く行きたいなら一人で行け。
遠くへ行きたいなら、みんなで行け』という諺がある。
『OWN DAYS』は遠くへ行けるポテンシャルを持った事業だと
僕は強く感じていた。
僕は目先のお金云々より、
とりあえず今は遠くへ行ける可能性に懸けたい。
みなさんと一緒に『OWN DAYS』を
世界的なブランドに育てていきたい。」
海山は、代々続く建設会社の跡取りだ。
何もわざわざ、その立場を投げ捨ててまで、
債務超過で資金繰りに苦しむオンデーズの役員に
参画するメリットなど、常識から見れば何もない。
しかし、海山は自らオンデーズの
経営陣に加わることを望んでいた。
このシンガポール4店舗目となるネックス店は、
海山と溝口の宣言通り、
綺麗な放物線を描いて場外へ消えていく程の
特大ホームランとなった
「お金を産まない本社」にお金を掛けるのが
間違いなのではなく、
「お金を産めない本社」を作ってしまうことが
問題の本質なのだ。
「まあいいよ。出店は進める。
今ここで、この勢いは絶対に止めたくない。
そもそも、中小企業の社長を安定的に続けたくて
オンデーズの社長をやってるわけじゃないし、
世界一を目指せないのなら、社長なんてやってる意味がない。
だから成長のペースは絶対に止めない。
まあいいさ。資金繰りが回らなければ、
その時は、その時でまた考えれば」
「やっぱり百聞は一見に如かずだ。
これは見に来ないと絶対に解らない。
決算書なんかじゃ伝わりきらない
オンデーズさんの持っている勢いと、
とんでもない可能性が、改めてよく解りました。
なんとしてでも一日も早く銀行取引を正常化させて
バックアップする必要がある。
これを手掛けなきゃ私もバンカーとして
生きている意味がない。
日本に戻ったら、すぐにもう一度、
強く本部に掛け合います!」
福丸部長は、そう言うと奥野さんの手をガッチリと掴んだ。
船長と航海士が代わっただけでは、
ボロボロの船は何も変わらない。
変われるものは唯一「乗組員」だけだった。
個人的に、起業には3つの「後悔」がある
1.起業しないことの後悔
2.起業したことによる失敗への後悔
3.成功しても、さらなる成長を求めなかったことによる後悔
エンジンオイル、メーカー、OEM仲間の経営塾より