熊本の元・県立高校の教師でサッカー部監督の平岡和徳

<サッカー部のビジョンを明確に>

「大津高校サッカー部も最初は

無気力な連中が多く集まっていた。

彼らにはサッカーを強くする上で欠かせない

人間力が欠けていて、

ゼロからつくり上げたという点では熊商と一緒だった。

しかし、熊商でのやり方がそのまま大津高校で

通用するわけではない。

しかも、熊本県国体が間近に迫っていた時で県民の期待も高く、

ゆっくりと選手たちを育てる余裕は無かった。

スピード感、機動力を意識しながら

選手たちを変えていった。

例えば、自分たちの思いを文字化、可視化して共有する。

ビジョンを明確にしないと組織は動かない。

僕たちの場合、そのビジョンが「年中夢求」だった。

これには1日1日の24時間を自分流にデザインし、

夢の実現に向かって凡事を徹底し、身体を鍛え、心を磨き、

人生をプロデュースできる人になるという意味を込めた。

その上で、夢の実現のためには

「本気のオーラ」を出すことが重要であり、

それがなくては何も始まらないことを

繰り返し伝えていった。」

<1日の練習を100分に絞り込んだ理由>

「人間、終わりがないと途中を本気で頑張れない。

そこで大津高校では練習時間を100分と決めて、

それを全力でやり切ることを習慣化した。

この100分間はストーリーを大切にし、一切の無駄をなくす。

コーチの笛を合図にウォーミングアップから、

パスワーク、シュート、戦術練習、ゲームへと次々に進み、

選手たちの足が止まることはない。

練習が15分刻みだとすると、10分過ぎくらいから

「ラスト何分」と追い込みをかけ、

ギリギリまで全力を出させ、

さらに一歩を踏み込ませた上で、次のメニューに移る。

ここでできたよい流れが次の日の朝練習に繋がる。

選手が「あのトレーニングがゲームの中で

このように繋がるのか」と感じてくれれば、

そこに自ら考え行動する力(考動力)が生まれる。

100分という時間に無限の工夫をするチャンスがあることに

気づけば、普段の生活も変わってくる。

自ら課題を発見し、問題を解決しながら

24時間をデザインする力も

その中から生まれてくる。

そういうメソッドを少しずつつくり上げて

選手の意識を変えていた時、

志の高い新入生が入部し、彼らが2、3年生になる時に

国体で2年連続準優勝を果たした。

高い目標を持って日々のトレーニングに全力で励む選手は、

いつも変化を求めている分、成長は早い。

変化の先にしか進化は無いので、

変化を創り出す内側のエネルギー、

「内発力」がないといけない。

その大前提となるのが主体性。

やらされ感では何も行動(考動)は変わらない。

良くなるのは返事だけ。」

エンジンオイル、メーカー、OEM仲間の経営塾より