内藤誼人
アドラーによると、人に好かれる人には、共通してみられる特徴がある。
それは、相手から何かを「とろう」とするのではなく、
むしろ自分から相手に何かを「与えよう」とする。
そういう人が、周囲の人たちに嫌われることはない。
私たちは「与えてくれる人」が大好きで、
そういう人とつきあいたいと思う。
ケチな人は、人とうまく交わることができない。
ケチな人は、自分から何かを与えようとはしない。
そんなことをすると、自分が損をしてしまい、
それは彼にとっては許せないことだからだ。
オランダにあるユトレヒト大学のアーク・コンターは、
相手に贈り物をする行為は、
相手との感情的な結びつきを強める、と述べている。
コンターによると、特に「見返りの要らない贈物」が重要であって、
そういう贈物をする人は、誰にでも好かれる。
世界でナンバーワンの営業成績を出すような、
伝説的な人たちの本を読むと意外だ。
彼らは、他の営業マンに比べて、話術が巧みであるとか、
説明上手であるとか、そういうことはない。
彼らは、ただ、他の人がやらないようなこと、
たとえば、お客さまの誕生日に、必ずバースデーカードを出す、
といった「与える」行為をしている。
たったハガキ一枚で、差をつけているのだ。
田中角栄さんといえば、「人たらし」で有名であったが、
特に難しいことをしたわけではない。
角栄さんは、結婚する人がいると聞けば、誰よりも早くご祝儀を出すとか、
家族に亡くなった人がいると聞けば、律儀に花輪を出す、
ということをしていただけだ。
「私は、お金持ちではないので、そんなに贈物ができません」
という人もいるだろうが、それは言い訳になる。
高価なモノを贈る必要はない。
ハガキでも手紙でもいい。とにかく「与える」ことが重要なのであって、
その金額は関係がない。
「与える人」の反対は、「奪う人」。
奪う人は、ちょうだい、ちょうだいと何でも欲しがる人であり、
人から、物だけでなく、時間や、情報や、エネルギーを奪う。
そして、もらってばかりいて、与えることをしない。
人にストレスを与え、不平不満を口にし、相手の気持ちを冷やし、
がっかりさせる人。
与えるとは、物やお金だけでなく、「ほめること」「喜ばすこと」
「元気」「夢」「癒(いや)し」「愛のある優しい言葉」「笑顔」等々。
人を喜ばせ、幸せにする人だ。だから、まわりにどんどん人が集まる。
しかし、奪う人からは、仲間は逃げていく。
一緒にいても何のメリットもないからだ。
エンジンオイル、メーカー、OEM仲間の経営塾より