堤未果

外国人(とくに中国人)がものすごい勢いで
日本の不動産を買っている。
「安全保障上、大丈夫なのか?」と疑問を持って、調べてみた。
外国企業の隠れ蓑を使って中国人に法外な条件で融資している日本の金融機関、
外資系企業の片棒を担いでいるコンサルタントなど、
魑魅魍魎が蠢いていた。

もちろん、外資が入って日本が豊かになるなら、何の問題もない。
ただ、なかには日本人の富を奪ったり、
生活のリスクを増大させる深刻な案件も相当数ある。


2015年に84兆円だった世界の水ビジネス市場は、2020年には100
兆円を超えると予測されている。
世界が水道再公営化に向かう中、日本も民営化をスタート。
複数の電力会社が一つの送電網を共有して電気を流す電力と違い、
1本の水道管がつなぐ水道は、1地域につき1社独占になる。
つまり水道というインフラには、利用者を引きつけるために
サービスの質や価格の安さで他社と勝負する競争が存在しない。

種子法が廃止された今、公的制度や予算なしに
農家が自力で種子開発をするのは経済的にも物理的にも厳しくなった。
安い公共種子が作られなくなると、農家は開発費を上乗せした民間企業の
高価な種子(現在、公共種子の約10倍の値段)を買うしかなくなり、
その分、これから日本人の主食である、コメの値段も上がってゆく。


業界最大手の米モンサント社(2018年に独バイエル社が買収)は、
遺伝子工学で1年しか発芽しない種子を作り、
その種子が自社製品の農薬にのみ耐性を持つよう、遺伝子を組み換えることに成功した。
これは画期的な発明だった。
農家はこの種子を毎年買わねばならず、除草剤もセットで買うことになる。

日本は野菜40種のネオニコ残留基準を大幅に緩和。


日本人が大好きな魚にも注意が必要だ。
成長スピードが速いキングサーモンの成長ホルモン遺伝子と、
一年中成長する深海魚の遺伝子をアトランティックサーモンに組み込むことで、
2倍速で成長する「遺伝子組み換えサーモン」ができた。
これは既にアメリカとカナダで認可され、2017年8月から出荷されている
(アメリカでは200万人がFDAに抗議コメントを送ったが無視された)。
日本での販売は許可されていないが、
筋子やいくらなどの卵の加工品としてなら、いくらでも日本に入ってくる。
外食には表示義務がないため、レストランや回転寿司なら全くわからない。

自社の会長が偶然と言ってるが国家戦略特区会議のメンバーで、
特区で農地をたくさん買い占めたアグリビジネスも上昇気流に乗っている
オリックスは、「森林経営管理法」でまたしても、
会心のヒットを飛ばした。

パソナはフィリピンの人材派遣大手「マグサイサイグローバル」の
家事代行部門と提携を済ませ、
2016年1月にはフィリピンで研修を終了した家事手伝い50人が、
パソナと直接雇用契約する段取りをつけた。


今後は住民票や生活保護、幼稚園や保育園の申請などが、
無料通信アプリ「LINE」を通して、
マイナンバーカードをスマホにかざすだけで、
行政サービスと連動するマイナポータル
(政府が運営するオンラインサービス)を通し、簡単に手続きできるようになる。
LINEでやりとりする内容や個人情報の扱いを決めるのは、
日本政府が直接手を出せない、
韓国や外資の民間企業にいる本来弱者を守るべき責任ある人々が、
「日本売り」を実行している。


現状には、本当にガッカリさせられる。「日本はこれからどうあるべきか」を考えた。
その結論は「世界に尊敬される国になること」だった。
世界に尊敬されるインフラ、世界に尊敬される住環境、世界に尊敬される技術、
世界に尊敬される食文化…。
これが実現できれば、アメリカや中国、インドの富裕層が日本を訪問し、
かつ商品を買ってくれる。
日本のやり方がスタンダードになることで生まれるメリットも、
たくさん生まれてくる。


資産を切り売りするビジネスではなく、豊かさを創出するビジネス。
ビジネスを超えた国作りをせねば…。

    エンジンオイル、メーカー、OEM仲間の経営塾より