浜までは海女(あま)も蓑着る時雨(しぐれ)かな

滝瓢水

これから海に潜る海女が、雨を避けるために

蓑を着て浜に向かう。

どうせ海に入れば濡れてしまうのに、

なぜ蓑を着る必要があるのか。

浜までは濡れずに行きたい、

というのが海女の気持ちなのである。

つまり人間は、少しでも自分を愛おしみ、

最後まで努力を重ねていかなければならないのである。

この句の“浜”を“死”と捉えれば一層味わいが深まる。

どうせ仕事を辞めたんだから、どうせ老い先短いんだから、

と投げやりになるのが年寄りの一番よくないところである。

死ぬ時までは、とにかく蓑を着る。

日が照りつければ日傘を差す。

そうして最後の最後まで前向きに、

少しでも美しく立派に生きる努力を重ねていくべきなのである。

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