医学博士、石原結實

日常生活の中で、誰もが使う「ストレス」

という言葉をつくり、

その概念を打ち立てたのは、カナダのハンス・セリエ博士だ。

「心身に負担が加わると、交感神経や副腎が刺激されて、

アドレナリンやコルチゾールなどのホルモンが分泌され、

血圧や血糖値が上昇する。

これは体が力を出し、外敵や心身への負担と戦おうとする

防衛反応であるが、長く続くと病気が発生してくる」

これが、「セリエのストレス学説」である。

このストレスから逃れる最良の方法が

「感謝の気持ち」をもつことだ。

セリエ博士は自らガンを患ったが、

西洋医学の治療を拒否し、

「自分はストレスの多い生涯を送ったから、

ストレスをとることで何とかガンを克服したい」と

種々の方法を試みた。

最後に「西洋人には希薄だけど、

東洋人独特の“感謝の気持ち”をもつことが

心を安寧にし、ストレスをとるのに一番大切」と

悟り、毎日、周囲の人たち、自然、神、

自分の置かれている環境などに「感謝の気持ち」をもって

生活したところ、見事にガンを克服できたという。

東京帝国大学医学部出身の塩谷信男医師は、

2002年に100歳になられたとき、

「100歳だからこそ、伝えたいこと」を上梓された。

その中で「100年生きて言えることは、

いつも明るく、前向きに、愚痴をこぼさず

感謝の気持ちをもって“こうなるんだ”と

断定的に思い込むと、100%実現する」と述べておられる。

私たちは、1人で生きていけるものではなく、

自然や周囲の人々の助けの中で生きている、

というか生かされている。

よって、自然(太陽、月、空気、水など)や

神(造物主)への感謝、父母や先祖への感謝、

教え、導いてくださった先生や師匠への感謝、

何とか助けてくれ心の支えになっている兄弟姉妹をはじめ、

周りの人々への感謝。

そして、周囲の植物や生命がないと思われている物体などにも

感謝の念をもつことは、

心の安寧をもたらし、副交感神経がよく働いて、

ストレスがとれ、白血球の力も増し、

病気の予防や改善に役立つことが科学的にも証明されている。

「病気」に罹った場合、「病気」は私たちの

それまでの生活習慣の誤りを指摘しているのだからと、

むしろ「病気」に感謝して、

これまでの生活習慣を反省すれば、

免疫力が増して、病気は治りやすくなる。

同様に、自分にふりかかってきた

「悪い(ように見える)こと」も

むしろ「ありがたい」と思うとよいだろう。

「悪いこと」の後は、耐えて努力をしていれば

「良いこと」が起こるものだし、

「悪いこと」が起こったとき、謙虚に反省すると、

これまで自分の至らなかった点もおのずと見えてくるものだ。

ともかく、自暴自棄にならず

「人事を尽くして天命をまつ」の心境で

たゆまぬ努力をしていれば、必ず事態は好転し、

「起こることはすべてよし」「苦あれば楽あり」

という結果になるものである。

ある雑誌のアンケートによると、

日本人の約8割が「日頃ストレスがたまっている」と

言っているそうだ。

そのストレスの原因となるものの大半は人間関係だ。

人間関係の問題は、「仕事」「家族」「友人や仲間」

「近所や学校や属している組織」等々さまざまなところで、

軋轢や摩擦、不協和音が生じ、

それがストレスとなる。

■五日市剛

『いつも、心から「幸せだなぁ」と感じられる人には、

ある共通項があります。

なんだと思いますか。

それは、「たくさん感謝している」ということです。

幸せなことがあるから、感謝しているのではありません。

感謝しているから、「幸せだなぁ」と感じられるんですね』

「ありがとうの習慣がある人は、

そうでない人とくらべて

ストレスホルモン(コルチゾール)の分泌が23%少ない」

という調査の結果がある。

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