鍵山秀三郎

お客様へのサービスを議論するとき、よく出る意見が「お客様の立場に立って考える」です。もっともらしい意見ですが、この考えでご満足いただけるサービスを提供できた試しがありません。
「お客様の立場に立って考える」、このこと自体は正しい姿勢です。ところが、そういう人にかぎって、行動するときは「自分の都合」で動いてしまう傾向があります。これでは、お客様が真に喜ぶサービスにはなりません。大事なのはお客様の立場に立って「考えて」、お客様の立場に立って「行動」しなければ、お客様は満足してくださらないということです。

サービスは理屈ではありません。お客様に「何を言ったか」ではなく「何をしたか」で評価が決まります。つまり行動の伴わないサービスはお客様に受け入れられることはありません。

私はその行動力を身につけるためにも、長年掃除をしてきました。足元のごみを気づいたときにさっと拾う実践を積み重ねていると、突発的な出来事にも即対応できるようになります。この行動力ばかりは、実践しなければ絶対に身につかない習慣です。毎日の腹筋運動がお腹の筋肉を鍛えるように、掃除の実践がサービスに即対応できる行動力を育むのです。動いて喜びを提供できてこその、サービスでなければなりません。

「この地球は行動の星」と言ったのは、斎藤一人さん。考えているだけ、思っているだけでは、何も変わらない。行動することでしか、この地球上では何事も動かないのだ。その行動力を身につけるには、いくら考え力を強化してもダメだ。そうではなくて、具体的に、行動することをクセにすることだ。
例えば、掃除。掃除を長く続けていると、足元にゴミが落ちているのが、とても気になり出し、体が勝手に動き、それをサッと拾うようになる。或いは、仕事において、新商品を出したり、新しいお店や、営業所を出すのも、やってみなければうまくいくかどうかは分からないのだから、かけるお金を最小限にして、まずやってみる。しかし、成功する率は本当に少ないから、失敗の山となるが、それを続けているうちに、失敗を恐れなくなり、結果的に行動力が身につく。

行動できない人は、失敗を恐れる人が多い。つまり、行動力を身につけるには、サントリー創業者の鳥井信治郎氏の言葉、「やってみなはれ」の精神。口で、ああだこうだ言っているうちは何も変わらない。

エンシンオイル、メーカー、OEM仲間の経営塾